Youtubeやネットの記事などで、「馬力」や「トルク」という言葉を見たり聞いたりするかもしれません。なんとなく分かるんだけど自信が無いかたもいらっしゃるかもしれません。でも大丈夫。ド文系の筆者と一緒に、エンジン性能の指標である馬力とトルクについて勉強していきましょう。
トルクとは
トルクとは、車のタイヤを回す力のことです。分かりやいように自転車を例にしてみましょう。トルクとは、自転車のペダルを押す力のことです。踏み込む力(トルク)が大きいほど自転車はより加速します。
トルクの求め方
トルクは、この「クランク軸とペダルの距離」×「ペダルをを下に踏み込む力」で求められます。例えば、クランク軸とペダルの距離を20cm、ペダルを踏みこむ力を20kgだと仮定すると
0.2(m)×20(kg)=4(kgf・m)
踏み込む力が40kgだと
0.2(m)×40(kg)=8(kgf・m)
ということになります。つまりペダルを踏みこむ力によってトルクが変化するという事になります。
エンジンだと?
自転車のだと、ペダルを踏み込んだときにしかトルクは働きません。しかし、車のエンジンでは、燃焼室で爆発が1回起こるごとにクランクシャフトにトルクがかかり、そのトルクがドライブトレインに伝わり、最終的にタイヤに力が加わります。
自転車の場合、先ほどの式のように、ペダルを踏みこむ力によってトルクが変化します。それに対して、エンジンでは、エンジンの回転数に応じてトルクが変化します。
トルクの表記
車のカタログを見ていると、最後の方のページに主要諸元表がありますね。この主要諸元表を見ていると、車の大きさや、エンジンの性能について書かれています。筆者の愛車90スープラ RZを例に出してみましょう。スープラの主要諸元表のトルク欄には
500Nm(51.0kgf・m)/1600-4500rpm
といったように記載されています。rpmは「revolution per minute」の略で、1分間でのエンジンの回転数を表しています。つまり90スープラは、1,600回転から4,500回転の間で、最大トルク51.0kgf・mが発生する」という意味になります。 しかし、スープラのレブリミット(エンジン回転数の上限値)は6500回転。4500回転から6500回転の間では、トルクは発生しますが、最大トルクを発生しません。
なぜエンジン回転数が上がるとトルクが落ちるのか?
トルクは基本的にエンジンの回転数が高くなると増加しますが、ある一定の回転数に達するとピークを迎えます。そしてまたある一定の回転数以降から徐々に減少します。これは回転が速くなると、爆発の間隔が極端に短くなるので、ピストンを押し下げる効率が悪くなるからです。
馬力とは
トルクが瞬間的な力なのに対し、馬力とはその力を持続する事によってどの程度の仕事を行なえるのかを表すために考えられた指標です。もう少し詳しく説明すると「75kgの物体を毎秒1メートル動かす仕事率」のことを指します。車における馬力とは、1分間あたりの総出力トルクのことで、「トルク×回転数」で求められます。スープラの場合、主要諸元表に記載されている数値は
最高出力:250kW (340PS)/5,000rpm
といったように記載されています。これは5,000回転の時に最高出力である340馬力を発生するという意味です。
まとめ:トルクと馬力の違い
トルクとは、車のタイヤを回すための力のことで、瞬間的な力です。このトルクが大きければ大きいほど回転しようとする力が大きくなります。それに対して、馬力とは継続的な力で、大きければ大きいほどスピードが出るという事になります。