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エンジンオイルとオイルポンプ|循環・油圧・潤滑の仕組み

内外のローターが見えるToyota Coaster用オイルポンプ
内外のローターが見えるToyota Coaster用オイルポンプ。Oil Pump from Toyota Coaster Bus.JPG — Ll1324 / 出典 / CC0。

エンジンオイルは、入れておくだけで各部へ届くのでしょうか。中を流れる仕組みを見ていきましょう。

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オイルポンプは、潤滑油をエンジン各部へ送る

エンジンには、回転する軸、軸を支える軸受、往復するピストンなどがあります。金属同士が直接こすれることを減らすため、その間にオイルの膜を作ります。潤滑とは、このように動きを支え、摩擦や摩耗を抑えることです。

オイルポンプは、必要な場所へオイルを送り出す部品です。エンジン下部や前側などに置かれ、クランクシャフトやチェーンなどで駆動する構成があります。ポンプの位置と駆動方法は、エンジンごとに違います。

Toyota Coasterの1HZエンジン用。内側と外側のローターを使う内接ローター式の例です。
オイルポンプ内部の実物
Toyota Coasterの1HZエンジン用。内側と外側のローターを使う内接ローター式の例です。Oil Pump from Toyota Coaster Bus.JPG — Ll1324 / 出典 / CC0。

ボルトくん

オイルは、金属をぬるぬるさせるだけ?

ハグルマ先生

摩擦を抑えるほか、熱を運び、汚れを分散し、さびを防ぎます。ピストンリングの密封や、油圧で動く部品にも関わります。

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オイルパンから吸い上げ、通路を通し、戻して使う

一般的なウェットサンプ式では、エンジン下のオイルパンに油を蓄えます。ポンプは、吸い込み口のストレーナーを通して油を取り込みます。ストレーナーは、大きな異物を吸い込まないための網です。

送られた油はフィルターを通り、エンジン内部の油路へ進みます。油路は、部品の中へ設けた油の通路です。クランクシャフトの主軸受や、コンロッドの軸受、ヘッドのカムまわりなどへ分配します。オイルクーラーやピストン裏へ噴くノズルを備える構成もあります。

Toyota 7M-GTEのオイルポンプ。オイルパン内の油を取り込むための管と吸い込み口が付く例です。
吸い込み側の部品を持つポンプ
Toyota 7M-GTEのオイルポンプ。オイルパン内の油を取り込むための管と吸い込み口が付く例です。7M-GTE oil pump.jpg — Neodarkshadow / 出典 / CC BY-SA 3.0。

各部を潤滑した油は、重力などでオイルパンへ戻ります。すべての部分へ同じ方法で圧送するわけではなく、飛散した油を使う部分もあります。ドライサンプ式では別の回収ポンプと外部タンクを使うなど、この経路が異なります。

ボルトくん

一度使ったオイルは、排気と一緒に外へ出る?

ハグルマ先生

潤滑した油の多くは戻り、繰り返し使います。燃焼室へ入って消費する分や、劣化、漏れは別に管理します。燃料のように一回で使い切る仕組みではありません。

歯車やローターの空間を変えて、液体を送る

歯車式やローター式のポンプは、回転でできる空間へ油を取り込み、出口側へ運びます。入口側で空間が広がり、出口側で狭くなることを利用します。液体を高速の風で吹き送る装置ではありません。

二つの歯車の外側とケースの間で液体を運ぶ仕組み。これは外接歯車式で、先ほどの1HZの内接ローター式と同じ配置を示す図ではありません。
外接歯車ポンプの既存アニメーション
二つの歯車の外側とケースの間で液体を運ぶ仕組み。これは外接歯車式で、先ほどの1HZの内接ローター式と同じ配置を示す図ではありません。Gear pump animation.gif — Jahobr / 出典 / CC0。

一定の回転で送れる量を持つポンプでも、実際の油量は回転数、粘度、内部の隙間などで変わります。可変容量ポンプは、必要に応じて一回転で送る量を変え、余分に送りすぎる損失を減らす方式です。

ポンプが回っていても、吸い込み口が油から離れたり、空気を多く吸ったりすれば、正常に送れません。油量が少ない状態や、車の姿勢・加速による油の偏りも、設計と管理に関わります。

ボルトくん

ポンプは油圧を作るから、空気を吸っても同じ?

ハグルマ先生

まず液体を必要な量で送ることが前提です。空気が混じると、油膜や油圧で動く部品へ正しく供給できない場合があります。

油圧は、流れと抵抗の結果。高いほどよいとは限らない

油圧は、油を送る流れに対して通路や軸受などが抵抗を持つことで生じます。冷たい油は流れにくく、圧力が上がりやすい傾向があります。暖まって粘度が下がると、同じ条件でも圧力は変わります。

高すぎる圧力を抑えるリリーフバルブや、必要に応じた圧力制御があります。フィルターの前後で差圧が大きいときに働くバイパスバルブは、別の役割です。どちらもバルブですが、何の圧力を基準に何を守るかが違います。

軸受の油膜は、送る油だけでなく、軸の回転と隙間、粘度によって成立します。圧力計の数字が高くても、必要な場所へ十分に流れているとは限りません。詰まりで上流の圧力だけが高くなる場合もあります。

ボルトくん

粘いオイルへ替えて油圧が上がれば、潤滑は改善した?

ハグルマ先生

圧力の変化だけで判断できません。低温時の流れ、各部の隙間、必要な規格まで合わせる必要があります。指定に合うオイルを使います。

油量と油圧の警告は、同じ意味ではない

油量は蓄えている量、油圧は送り出した系統の圧力です。油量が適正でも、ポンプ、吸い込み、軸受、制御などの問題で圧力が下がることがあります。逆に圧力の警告だけでは、油が何リットル足りないかはわかりません。

走行中に油圧の警告が出たら、安全な場所で停止し、説明書の指示に従います。圧力が不足したまま回し続けると、短時間でも重大な損傷へつながり得ます。油を足して消えたとしても、漏れや消費の原因を確認します。

オイルは粘度だけでなく、品質規格とメーカーの適合も重要です。交換周期は使用条件と整備計画で確認します。過多の油も泡立ちなどの問題を起こすため、少なければ足す、多いほど安心、という管理ではありません。

ボルトくん

油の量が規定内なら、油圧警告は無視してよい?

ハグルマ先生

無視できません。量と圧力は別です。正しく供給できているかを確認するまで、エンジンを回し続けないことが大切です。

よくある疑問

オイルはエンジンを冷やす?

はい。部品から熱を受け取り、運びます。水冷エンジンでも、オイルが担当する冷却があります。

オイルパンは燃料タンク?

違います。エンジンの潤滑油を蓄える部分です。燃料は別のタンクと配管で供給します。

ポンプを大きくすれば安心?

必要な量、圧力、吸い込み能力、駆動の負担を合わせる必要があります。大きさだけで潤滑系全体は改善しません。

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クランクシャフトと軸受/ターボと潤滑/冷却水とラジエーター

参考資料

  1. Motorservice BF:潤滑回路とオイルポンプ
  2. MAHLE:油の管理と可変ポンプ
  3. MAHLE:油圧制御の故障
  4. Motorservice:潤滑不足による損傷
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この記事を書いた人
ハグルマ先生のイラスト

ハグルマ先生

メカニズモ編集長

2016年より自動車業界に携わり、輸入車ディーラーや中古車販売店などで実務経験を積む。

自動車専門ウェブメディアの運営にも携わり、業界で培った知識と講師としての経験を活かしながら、車の構造や部品、メンテナンスに関する情報を分かりやすく発信している。

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