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ラジエーターの仕組み|冷却水・フィン・水温調整をやさしく解説

冷却フィンとタンクを備えたラジエーター
冷却フィンとタンクを備えたラジエーター。Chłodnica.JPG — Zydorczuk / 出典 / CC BY-SA 3.0。

エンジンは、ガソリンを燃やして車を動かします。

そのくせ、熱くなりすぎると壊れます。自分で火をつけておいて、なかなか面倒なやつです。

そこで後始末を引き受けるのが「ラジエーター」。エンジンの熱を受け取った冷却水を、空気で冷やす部品です。

でも、あの薄い板がびっしり並んだ姿で、どうやって熱を逃がしているのでしょうか? 今回は、ラジエーターの仕組みと、水温をちょうどよく保つ工夫を解説します。

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ラジエーターは、冷却水の熱を外気へ渡す部品

水冷式のエンジンでは、冷却水が中の通り道を流れ、エンジンの熱を受け取ります。その熱くなった冷却水を、外の空気で冷やす装置がラジエーターです。エンジンそのものが、中を通っているわけではありません。

冷却水は細い通路を流れ、その周りにはフィンと呼ばれる薄い金属の板が並びます。冷却水の熱が金属へ、さらに外を通る空気へ移ることで、熱を外に逃がします。冷たい水を無限に足し続けているわけではないんですね。

ラジエーターは、一般に車の前に置く、薄い板のような装置です。風を受けやすい場所で熱を逃がします。ただし、エンジンが後ろにある車や、水の回路が複数ある車では、置き方も変わります。

大きい部品が、エンジン冷却用のラジエーターです。細い通路、熱を逃がすフィン、側面のタンクと接続口があります。手前の小さい放熱器が何用かは、この写真だけでは分かりません。
冷却用ラジエーターの実物
大きい部品が、エンジン冷却用のラジエーターです。細い通路、熱を逃がすフィン、側面のタンクと接続口があります。手前の小さい放熱器が何用かは、この写真だけでは分かりません。Chłodnica.JPG — Zydorczuk / 出典 / CC BY-SA 3.0

ボルトくん

水って、一回使ったら捨ててるの?

ハグルマ先生

冷却水は、基本的に同じ回路を循環します。熱を受け取り、外へ渡して、また戻っていくんですよ。

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細い管とフィンで、空気に触れる面を増やす

ラジエーターの中には、冷却水が通る細い管と、薄い金属のひだが並んでいます。このひだが「フィン」です。熱い管を一本置くだけよりも、ひだをたくさん付けた方が、空気に熱を渡せる面を広くできます。あの細かい形は、見た目を格好よくするためではないんです。

水から管へ、管からフィンへ、フィンから空気へと熱が移ります。水を流すだけ、風を当てるだけでは足りません。両方がきちんと流れてこそ働きます。

走っているときは、前から入る風を使います。停車中などで風が足りないときは、ファンで送ります。電動式やエンジンで回す方式があり、働く条件は車によって違います。

ボルトくん

ファンを強く回せば、詰まったラジエーターも冷えるの?

ハグルマ先生

水が通らなければ、熱を運べませんよ。外側の汚れやフィンの曲がりで、風が通れないこともあります。水と風の両方を調べます。

サーモスタットで、水の道と温度を調整する

エンジンは、冷やしまくればいいわけではありません。適した温度で、油の働き、燃え方、排気の浄化が整います。冷えたときは早く暖め、暖まったら余分な熱を逃がします。

温度に合わせて、水の道を変えるのがサーモスタットです。冷えたときはラジエーターへ行く量を抑え、暖まると開くのが基本です。エンジン側を回る別の道もあり、閉じる間に全部の水が止まるとは限りません。

水を流すポンプには機械式や電動式があり、電子制御のサーモスタットや複数のバルブを使うものもあります。何℃で開き、何℃でファンが回るかは、全車共通ではありません。

弁が二つあるサーモスタットの例です。上のPrimary disc valveは主弁、中央のWax capsuleは熱で膨らむワックスの部分、下のSecondary disc valveは副弁。形や流れの切り替え方は車によって違います。
二つの弁とワックスカプセルを持つサーモスタット
弁が二つあるサーモスタットの例です。上のPrimary disc valveは主弁、中央のWax capsuleは熱で膨らむワックスの部分、下のSecondary disc valveは副弁。形や流れの切り替え方は車によって違います。Double valve automotive thermostat.jpg — Dougsim / 出典 / CC BY-SA 3.0

ボルトくん

サーモスタットを取れば、熱くなりすぎなくなるの?

ハグルマ先生

水の道や量が、設計と変わってしまいますよ。暖まりにくくなるだけでなく、必要なところへ流れなくなることもあります。原因を直す代わりに外す部品ではありません。

2010年式ダチア・サンデロのK7Jエンジンです。写真の「3」は、サーモスタットを収めるケースです。エンジンの側面に取り付けられ、黒い冷却水ホースにつながっています。弁そのものはケースの中にあるため、外からは見えません。
サーモスタットケースの取り付け位置
2010年式ダチア・サンデロのK7Jエンジンです。写真の「3」は、サーモスタットを収めるケースです。エンジンの側面に取り付けられ、黒い冷却水ホースにつながっています。弁そのものはケースの中にあるため、外からは見えません。Dacia Sandero I (2010), bas moteur Renault K7J + légende.jpg — Dacia 1410 Sport / 出典 / CC BY-SA 4.0

冷却液と回路の圧力で、凍結や沸騰に備える

車の冷却液には、凍結やさびを防ぐ成分があります。指定の濃さで使い、低温と高温に対応します。色が同じでも、同じ仕様とは限りません。混ぜられるかも、指定を確認します。

冷えた状態の注入口から見える冷却液の例。色だけで成分や車への適合は判定できません。
ラジエーターの注入口と冷却液
冷えた状態の注入口から見える冷却液の例。色だけで成分や車への適合は判定できません。Antifreeze in the radiator.jpg — EvelynGiggles / 出典 / CC BY 2.0

水の回路に圧力をかけると、沸騰する温度を上げられます。ラジエーターや加圧式タンクのキャップが、その圧力を管理します。熱で増えた液量を受けるタンクも、冷却の仕組みの一部です。

熱い状態でキャップを開けると、圧力が抜け、熱い液や蒸気が噴くおそれがあります。水温計が下がった直後でも、すぐ安全とは限りません。点検や補充は、説明書にある状態と手順で行います。

ボルトくん

水が少なければ、熱いまま開けて足すの?

ハグルマ先生

熱いときは開けないでください。安全な場所に止まり、説明書に従って十分冷えるのを待ちます。液や蒸気が噴き出すと危ないんです。

水温上昇は、ラジエーターだけの故障とは限らない

水温が上がりすぎる原因には、水不足、漏れ、ポンプ、サーモスタット、ファン、詰まり、空気の混入、エンジン内部などがあります。前にエアコンの装置が並ぶ車では、そこを通る風も関わります。

停車中か、強く加速したときか。ヒーターは効くか、ファンは回るか。起きた条件を覚えておくと、点検に役立ちます。水を足して量が戻ることと、漏れが直ることは別です。

交換後に空気を抜く方法も、車によって違います。空気が残ると、熱を運べない場所ができたり、温度を正しく測れなかったりします。電動ポンプの整備モードや、専用の入れ方が必要な車は、その手順を使います。

ボルトくん

水が入ってれば、水温計は必ず正しいの?

ハグルマ先生

センサーや配線にも問題が起きますよ。水が少ない、空気が残るなどで、想定した状態になっていないこともあります。表示だけで全部正常とは決まりません。

よくある疑問

エアコンのコンデンサーと同じ部品?

別の部品です。コンデンサーは、エアコンの冷媒の熱を逃がします。前側で並んでいても、中を流れるものと回路は別です。

リザーバータンクは、いつでもキャップを開けられる?

リザーバータンクにも、圧力がかかるものがあります。名前だけで判断せず、説明書とキャップの表示を見ましょう。

水温が低いほうが高性能?

低すぎる水温も、燃費、暖房、排気の浄化に影響します。エンジンに合った温度を保つことが大切です。

関連記事

オイルが担当する冷却/EGRクーラーとの違い/吸気温度と過給

参考資料

  1. HELLA:冷却系の機能と診断
  2. HELLA:洗浄と空気抜き
  3. HELLA:冷却液の適合とポンプ整備

HELLA:エンジン冷却系。関連する仕組みをメーカーの資料でも確認できます。

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この記事を書いた人
ハグルマ先生のイラスト

ハグルマ先生

メカニズモ編集長

2016年より自動車業界に携わり、輸入車ディーラーや中古車販売店などで実務経験を積む。

自動車専門ウェブメディアの運営にも携わり、業界で培った知識と講師としての経験を活かしながら、車の構造や部品、メンテナンスに関する情報を分かりやすく発信している。

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