ガソリンを多く入れれば、エンジンは元気になるのでしょうか?残念ながら、ただの大食いでは済みません。燃やすには空気も必要です。その混ぜる割合を表す「空燃比(空気と燃料の重さの比)」を見ていきましょう。
空燃比は、空気の重さを燃料の重さで割った値
エンジンは、空気に含まれる酸素を使って燃料を燃やします。だから、燃料の量だけでなく、それに対して空気がどれくらいあるかが大切です。この空気と燃料の質量の比を「空燃比」といいます。
例えば空燃比14.7なら、燃料1に対して空気14.7という重さの割合です。空気が14.7リットル、という意味ではありません。また、ガソリンの成分でも必要な割合は変わるので、14.7は代表的な目安として考えます。
燃料と酸素が、過不足なく反応する割合を「理論空燃比」といいます。エタノールの混ざった燃料などでは、必要な割合も変わります。

Honda D15A3のフューエルレールと4本のインジェクターの実物。ECUは、空気量や運転状態に応じて噴射量を制御します。写真だけでは特定の空燃比はわかりません。Fuel rail.JPG — Ian Brockhoff / IJB TA at English Wikipedia / 出典 / CC BY-SA 3.0
ボルトくん
空気も、重さで数えるの?
ハグルマ先生
そうです。燃料と反応する酸素の量を考えるので、容積ではなく、重さの比で表しているんですよ。
濃い・薄いは、燃料と空気の割合の言い方
同じ量の空気に対し、燃料が多ければ「濃い」、少なければ「薄い」といいます。ここで少しややこしいのが数字です。空燃比は空気÷燃料なので、燃料を増やすと数字は小さくなります。濃いのに数字は小さい。ここを押さえると、RichとLeanの説明でも迷いにくくなります。
理論空燃比が14.7の燃料なら、12は理論より濃く、16は薄い状態です。数字が大きいから燃料が多い、ではないんですね。これは読み方の例で、車へ設定するおすすめ値ではありません。
| 状態 | 同じ空気量での燃料 | 空燃比の数字 |
|---|---|---|
| 濃い | 理論の割合より多い | 理論値より小さい |
| 理論の割合 | 酸素と過不足なく反応する基準 | 燃料の組成で決まる |
| 薄い | 理論の割合より少ない | 理論値より大きい |
ボルトくん
数字が大きい方が、ガソリンも多いと思ってたよ!
ハグルマ先生
空気の重さを、燃料の重さで割った数字だからですよ。同じ空気でも、下の燃料が増えると、割り算の答えは小さくなります。
排気を調べて、燃えた結果を確かめる
まず燃料を計算し、結果を見て調整し直す
ECUというコンピューターは、空気量、圧力、回転数、温度などから、入れる燃料を計算します。排気のセンサーで燃えた後の状態を確かめ、その結果で調整し直すのが「フィードバック(結果を確認して調整へ戻すこと)」です。
料理で材料を量り、最後に味を見て調整するような感じですね。ただし、センサーがガソリンを直接数えているわけではありません。排気の酸素などと、センサーの電気的な働きから状態を調べます。

GMの排気用酸素センサーの例。先端を排気に接触させる部品です。形だけから測定方式や、その車の目標値は決めません。gm-oxygen-sensor — Hans Haase / 出典 / CC BY-SA 3.0
センサーにも、得意な範囲がある

左のExhaust gasは排気、右のReference airは基準になる空気です。中央のZirconia membraneはジルコニアの膜。両側の酸素の状態の違いで電圧が生まれます。従来型の原理図で、広帯域型の内部ではありません。zirconia-sensor — Michael Handrich / 出典 / CC BY-SA 3.0
センサーには、理論値の近くで濃いか薄いかを検出するものと、広い範囲を測れるものがあります。Boschは切替型、広帯域型として説明しています。名前や電線の数だけで、同じ信号を出すとは決められません。
ボルトくん
センサーがあれば、故障も自分で直してくれるの?
ハグルマ先生
調整できる範囲には限りがありますよ。空気漏れや燃料の圧力異常が大きいと、目標に届きません。補正の数字は手がかりですが、それだけで壊れた部品は決まらないんです。
いつも14.7を目指すわけではない
三元触媒は、排気の一酸化炭素、炭化水素、窒素酸化物を減らす装置です。一般的なガソリン車では、この装置が働きやすい理論値の近くに、空燃比を保つことが大切になります。
ただ、冷えたエンジンをかけるとき、大きな力が必要なとき、部品を熱から守るとき、減速中に燃料を止めるときなどは変わります。薄い状態で燃やす設計や、普通は空気が余るディーゼルもあります。理論値が何でも一番、という意味ではありません。
薄すぎると安定して燃えなくなり、濃すぎると燃費や排出ガスが悪化したり、オイルへ燃料が混ざったりします。燃料、空気や排気の流れ、過給(エンジンへ空気を押し込むこと)、点火、温度を合わせて設定します。
ボルトくん
薄くすれば、どこまでも燃費がよくなるの?
ハグルマ先生
きちんと燃える範囲や、排出ガス、温度も考える必要がありますよ。同じ力が出なくなれば、単に燃料を減らした比較にもなりません。指定の燃料と制御を守りましょう。
よくある疑問
空燃比が薄いと、必ずエンジンが壊れる?
目標の空燃比、負荷、点火、燃料、温度によります。薄い状態を前提にしたエンジンもあります。一つの数字を、すべてのエンジンの危険ラインにはできません。
燃料補正がプラスなら何が起きている?
一般的には、基準の計算より燃料を増やす方向の調整です。単位と診断条件は資料で確認します。空気漏れなどが候補でも、数字だけで原因は決まりません。
マフラーの出口で測れば正確?
排気の漏れ、触媒、測る場所で変わります。計器と測る条件をそろえ、車のセンサーが出す診断データとは分けて見ます。
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