可変バルブシステムのなかで、カムシャフトに高速用や低速用などカムプロフィールが異なる複数のカムを備えて、エンジンの回転数や負荷などに応じて、使用するカムを切り替える者を「切替式可変バルブシステム」と呼びます。
この切替式可変バルブシステムでは、カムを切り替える為、バルブタイミングやバルブリフト量、または両方の変更ができ、様々な種類があります。それぞれ見てみましょう。
カム切り替え型
カム切り替え型では、低回転、高回転で2種類のカムを使い分けます。またバルブタイミングとバルブリフト量変を変える事が出来ます。カムの開角度の違う2種類のカムを使い分けるので、高回転時などはより大きな効果が見込める点メリットがあります。ただし、カムの切り替えポイント付近で出力の谷間ができてしまうデメリットもあります。
カム切り替え+位相変化型
カム切り替えに加えて、位相変化型と呼ばれる可変バルブシステムの1つを加えたものもあります。位相変化型についてはこちらの記事をご覧ください。
カム切り替え+位相変化型では、カム切り替え式の短所である、切り替えポイントにおける出力変化を緩やかにできるメリットがあります。ただし、他の方式に比べて複雑で高コストというデメリットがあります。
カム切り替え+バルブ片閉じ型
カム切り替え+バルブ片閉じ型では、低回転時には、2つずつ、合計4つある吸排気バルブの、片側のバルブを閉じ、高回転では両バルブを開き、さらに2種類のカムを使い分ける方法です。2つの吸気バルブのうち一方を停止すると、偏った位置から吸気が流れ込むので、シリンダー内にスワールと呼ばれる渦状の流れが出来ます。このスワールは空気と燃料を混ぜるのに役立ち、より良い燃焼状態を作ることができます。デメリットとして、出力に段差ができてしまう点があります。