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日本と米国のオクタン価|RON・MON・AKIと輸入車の燃料指定

五種類のオクタン価表示がある給油機
五種類のオクタン価表示がある給油機。Gas Station Pump Five Octane Ratings.jpg — Bobak at English Wikipedia / 出典 / CC BY-SA 2.5。

日本でハイオク指定の車なのに、アメリカでは別の数字が書いてある。数字が低いから、弱いガソリンを入れているのでしょうか?まずは、数字を測る物差しが違うことを見ていきましょう。

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日本のRONと米国のAKIは、数字の出し方が違う

オクタン価は、ガソリンが、エンジン内で意図しない燃え方を起こしにくい性質を表す指標です。日本の給油機などでは主にRON、アメリカの給油機では主にAKIという表示が使われます。

AKIは、条件の違う二つの試験の数字、RONとMONを平均したものです。だから、日本とアメリカの数字を、そのまま同じ物差しとして比べられません。数字の大小を読む前に、何の表示なのかを確認しましょう。

  • RON:Research Octane Numberの略で、リサーチ法によるオクタン価です。
  • MON:Motor Octane Numberの略で、RONとは異なる試験条件で測ります。
  • AKI:Anti-Knock Indexの略で、RONとMONの平均です。給油機では「(R+M)/2」と書かれることもあります。

AKI=(RON+MON)÷2

同じ燃料でも、評価の方法が違えば表示の数字は変わります。日米の差は、測定が少しずれたという話ではありません。米国EIAも、給油機の「(R+M)/2」は、二つの試験の平均だと説明しています。

米国の給油機のオクタン価表示例。85、87、91の数字は日本のRONと直接比較せず、(R+M)/2などの計測法の表示を確認します。
オクタン価と計測法を表示した給油機
米国の給油機のオクタン価表示例。85、87、91の数字は日本のRONと直接比較せず、(R+M)/2などの計測法の表示を確認します。Gas Pump Octane Selector (54000036399).jpg — Tony Webster / 出典 / CC BY-SA 2.0

ボルトくん

アメリカの数字が低くても、品質が低いってことじゃないの?

ハグルマ先生

測り方や表示方法が違います。使える燃料は、その車の説明書にある表示と照らし合わせて確かめるんですよ。

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オクタン価は、基準の燃料と燃え方を比べた数字

性質を比べる基準として使う液体、イソオクタンには、ノッキングへの強さの値として100を与えています。もう一つのノルマルヘプタンは0です。似た名前ですが、別の物質です。

試験では、性質が分かっている基準燃料と、調べたい燃料のノッキングの起こり方を比べます。オクタン価90は、「ガソリンの中にイソオクタンが90%入っている」という成分表示ではありません。

RONとMONは試験条件が違い、AKIは平均です。基準の100と0を知れば、どの車にも使える燃料が分かる、というわけではありません。給油するときは、その車の指定を確認します。

ボルトくん

90だったら、イソオクタンが90%入ってるの?

ハグルマ先生

成分の割合ではないんですよ。ノッキングの起こりにくさを、基準の燃料と比べた数字なんです。

87や91を、日本のレギュラーにそのまま当てはめない

日本の「レギュラー」と、アメリカでそれに近い名前の燃料を、名前だけで同じと考えると混乱します。まずは、国ごとの表示方法と数字を表で見てみましょう。数字が似ていても、測り方が違えば、そのまま同じ燃料だとはいえません。

日米の表示例と規格。行同士の互換性を示す表ではありません
地域 区分 表示・規格 尺度
日本 レギュラー JISでは89.0以上 RON
日本 ハイオク JISでは96.0以上 RON
米国 Regular 一般に87 AKI
米国 Midgrade 一般に89〜90 AKI
米国 Premium 一般に91〜94 AKI

日本の数字は、規格で決めた最低値です。米国の数字は、EIAが示す一般的な販売区分で、地域や店でも変わります。名前だけでなく、数字が何を示しているかも違うんですね。

AKIに同じ数を足すだけでは、RONは決まらない

AKIからRONを知るには、同じ燃料のMONも必要です。仮にRONが96、MONが86なら、AKIは(96+86)÷2で91です。ただし、これは式の説明用の例で、市販品の実測値や、車に使えることを示す数字ではありません。

RONとMONの差は、燃料の成分によって違います。「91 AKIは必ずこのRON」「87 AKI指定なら日本のレギュラーで絶対大丈夫」と、固定の換算だけで給油を決めないようにしましょう。

AKIが同じでもRONが異なる計算例(実在する燃料の値ではありません)
仮の燃料 RON MON AKI=(RON+MON)÷2
A 96 86 91
B 98 84 91

ボルトくん

AKIに5を足したら、RONになるんじゃないの?

ハグルマ先生

差は燃料によって変わるんです。AKIだけではRONを決められないので、決まった数字を足して適合を判断しないでくださいね。

車の燃料指定は、この順番で確認する

まず、自分の車が何年の、どのエンジンで、どの国向けなのかを確認します。同じ車名でも、燃料の条件が違う場合があります。

  1. 車種・年式・エンジン仕様を確かめます。同名モデルというだけで、別仕様の情報を使わないようにします。
  2. 該当車の取扱説明書と給油口表示を読みます。英語なら「Fuel」「Fuel Quality」「Octane」などの項目を探します。
  3. 数字に使う尺度を確かめます。RONなのか、AKIや(R+M)/2なのかを見ます。
  4. 最低条件と推奨条件を分けます。燃料の種類、オクタン価、エタノール混合率などを合わせて確認します。
  5. 日本で使う燃料が分からなければ、給油前に確認します。車台番号、車両の仕様、説明書の記載を伝え、メーカー窓口や正規輸入元、販売店へ問い合わせます。

並行輸入車は、もともとの仕向け地の説明書が前提になることがあります。別の国向けの車や、違う年式の人の給油例だけでは決められません。改造やECUの変更があれば、純正の燃料指定をそのまま使えるとも限りません。

ボルトくん

同じ車の人がレギュラーを入れてたら、僕も入れていいの?

ハグルマ先生

年式、エンジン、売られた国まで同じかは分からないんですよ。自分の仕様と説明書を見て、日本での指定が不明なら販売店へ確認しましょう。

「推奨」と「最低条件」は、分けて読む

日本の給油所の表示例。海外のAKIの数字を、ノズルの色や日本の油種名だけで置き換えることはできません。
日本では車の指定油種を確かめる
日本の給油所の表示例。海外のAKIの数字を、ノズルの色や日本の油種名だけで置き換えることはできません。PetrolStation 20230505 082632.jpg — Ka23 13 / 出典 / CC BY-SA 4.0

説明書のRecommendedは「推奨」、RequiredやMinimumは「必要条件」や「最低値」を示す言葉です。ただ、その単語だけで決めず、前後にある例外や注意も読みます。

Fordの公式説明書にも、最低87 AKIで運転できるけれど、性能面では91以上を勧める例があります。一方、別仕様では最低91 AKIのプレミアム無鉛ガソリンだけを指定します。同じメーカーでも、条件は同じではありません。

この二つは、書き方の違いを知るための例です。自分の車にも同じ指定だと考えず、その仕様の説明書で確認してください。

ノッキングは、点火プラグから広がる炎とは別に、残った空気と燃料の混ざり物が急に燃え、衝撃を生む現象です。

必要な値に足りない燃料は、ノッキングや性能低下を起こし、状況によっては損傷につながるおそれがあります。電子制御があるから、指定を無視していいわけではありません。

ボルトくん

プレミアムを「おすすめ」と「必ず使ってね」では、違うんだね?

ハグルマ先生

そうですよ。ただ、例外や注意も含めて読み、その車の最低条件を確認する必要がありますね。

輸入車や米国での給油で迷いやすいこと

アメリカのプレミアムは、日本のレギュラーと同じなの?

名前だけで同じものとは言えません。表示の尺度が違い、日本のRONだけでは、その燃料のAKIは分からないからです。名前を置き換えるより、車が必要とする規格に合うか確認します。

米国で「Regular」を選べば大丈夫なの?

Regularという名前だけでも決められません。Fordの説明書は、高地などでは87未満でもRegularとして売られることがあると注意しています。旅行先のレンタカーも、車の指定と給油機の数字を合わせて見ましょう。

ハイオクなら、燃費もパワーも上がるの?

必ず改善するとは限りません。推奨燃料で本来の力を出しやすい車はありますが、燃料を変えれば、どの車も同じだけパワーアップするわけではありません。燃料の基本はハイオクとレギュラーの違いで解説しています。

レギュラーとハイオクを混ぜれば、指定値を作れるの?

自己流で混ぜても、適合は保証できません。元のRONとMONが分からないうえ、混ぜた後のオクタン価も、単純な平均とは限らないためです。添加剤での調整も含め、メーカーが案内しない方法で指定燃料の代わりにしないでください。

燃料の名前より、車両の指定規格を先に読む
場面 確認すること
海外で給油する RONかAKIか、取扱説明書が要求する規格
指定より高い燃料 性能や燃費の改善が保証されるわけではない
異なる燃料を混ぜる 単純な平均で必要な品質を保証しない
給油後に不調が出る 走行を無理に続けず、燃料と症状を整備先に伝える

給油したあとに、変な音や不調が出たら?

変な音がしても、燃料が原因やノッキングだとは決められません。強い音、警告、明らかな出力低下があれば、大きな負荷をかけず、安全に停めます。説明書に従って販売店やロードサービスへ相談してください。異常な燃焼は圧縮比とノッキングの関係で解説しています。

ボルトくん

混ぜてちょうどいい数字にしたら、解決するんじゃないの?

ハグルマ先生

元の正確な値が分かりませんし、混ぜた後も単純な平均には限らないんです。自己流で調整せず、メーカーが案内する燃料を使ってくださいね。

関連記事

ガソリンとは?作られ方とハイオク・レギュラーの違い/圧縮比とは?計算方法と熱効率・ノッキングの関係/ECUの役割と仕組み|エンジン制御の流れ

参考資料

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この記事を書いた人
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ハグルマ先生

メカニズモ編集長

2016年より自動車業界に携わり、輸入車ディーラーや中古車販売店などで実務経験を積む。

自動車専門ウェブメディアの運営にも携わり、業界で培った知識と講師としての経験を活かしながら、車の構造や部品、メンテナンスに関する情報を分かりやすく発信している。

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