ガソスタで入れたガソリンは、どこを通ってエンジンへ届くのでしょうか?タンクから直接ぶちまけたら、さすがに困りますよね。燃やせる形に整えるまでの道のりを見てみましょう。
燃料供給装置は、タンクから噴射する場所までをつなぐ
給油したガソリンは、車の燃料タンクにためられます。そこからポンプで押し出され、ごみを取り除くフィルターや配管などを通って、エンジン側へ送られます。これが燃料の通り道です。
最後に、必要な量を細かな霧のように噴射するのがインジェクターです。エンジンのコンピューターが、運転状態に合わせて噴射を調整します。ガソリンを運ぶだけでなく、燃やす量を加減するところまでが大切なんですね。
管の中を通る燃料は液体です。空気の通り道へ入れるポート噴射と、燃焼室(燃料を燃やす空間)へ直接入れる直噴では、最後の道と必要な圧力が違います。どの車も、同じようにタンクから届くわけではありません。

Honda D15A3用のポート噴射部品。横長の燃料レールに四つのインジェクターが付き、各気筒へ燃料を送ります。Fuel rail.JPG — Ian Brockhoff / IJB TA at English Wikipedia / 出典 / CC BY-SA 3.0
ボルトくん
タンクから、必要な分だけ届くようにしてるの?
ハグルマ先生
そうです。運ぶための圧力を作る装置と、最後に噴射する量を調整する装置が、それぞれ働いていますよ。
タンク側のポンプは、燃料を送り出す
今のガソリン車では、燃料タンクの中に電動ポンプを入れる作りがよく使われます。ポンプが、エンジンへ向かう燃料を送り出すわけです。入口には、大きな異物を吸い込まないための網もあります。これがストレーナー。ポンプや残量を調べる部品などを、ひとまとめにした構成もあります。

1996年Opel Blazerの燃料ポンプユニット。タンクへ組み込む部品の形を示しています。現行車すべての構成を示す写真ではありません。Opel Blazer 1996 Fuel Pump.jpg — Sutanandika / 出典 / CC BY-SA 3.0
必要な量を送れないと、加速時などに燃料が足りなくなります。ポンプの音が聞こえるから正常、とは決まりません。フィルターや管、電気の届き方、制御も関わります。
昔のキャブレター車には、エンジンの動きで作動する機械式ポンプもあります。ただし、直噴で使う高圧ポンプとは別物です。同じエンジンに付くポンプでも、目的が違います。

Saabの旧型エンジンに使う機械式燃料ポンプの例。直噴の高圧ポンプを示す写真ではありません。Fuelpump1.jpg — Sonett72 / 出典 / Public domain
ボルトくん
ポンプの音がしたら、燃料は足りてるんじゃないの?
ハグルマ先生
動いていても、必要な圧力と量を送れるとは限らないんですよ。電圧不足、入口の詰まり、ポンプの摩耗なども調べます。
ポート噴射と直噴では、圧力の作り方が違う
ポート噴射は、筒へ空気を入れる扉である「吸気バルブ」の手前へ燃料を噴きます。タンクから送った燃料を、レールという管から各インジェクターへ分ける構成です。燃料側と噴く先の圧力の差が、出る量に関係します。
直噴は、圧縮される筒の中へ燃料を噴きます。その圧力に負けないよう、低圧の供給に加え、エンジンで動かす高圧ポンプを使うのが一般的です。高圧レールから、直噴用インジェクターへ送ります。
同じ時間だけ開いても、圧力や部品の特性が違えば、出る量も違います。圧力センサーとポンプの調整も、正しい量を入れるために必要です。
ボルトくん
圧力の高いポンプに替えれば、燃料も多くなるの?
ハグルマ先生
コンピューターは、圧力と部品の特性を考えて指令を出していますよ。圧力だけ変えても、ちょうどよい量には限りません。管や部品も合う必要があります。
燃料の量は、ECUとインジェクターが調整する
ECUというコンピューターが、空気量、回転数、温度、アクセルの要求などから、噴く時期と量を決めます。排気の酸素センサーなどで燃えた結果を見て、量を調整し直す範囲もあります。
インジェクターは、電気の指令で弁を開閉します。開く時間だけでなく、動き始めるまでの遅れや圧力も量に関わります。「電気が来た」と「燃料が正しく噴けた」は、別々に確かめます。
供給する圧力を、どこで整えるかも違う
噴く量を正しくそろえるには、インジェクターへ届く燃料の圧力を整えることも必要です。その調整の仕方で、燃料を戻す道の作りも変わります。
エンジン側から燃料をタンクへ戻す「リターン式」と、戻りを減らす「リターンレス式」があります。圧力を調整する場所も違うので、全車に同じ調整部品や戻り管が付くわけではありません。
ボルトくん
余った燃料は、必ずエンジンからタンクへ戻るの?
ハグルマ先生
戻り管を使うものと、タンク側などで送る量を調整するものがありますよ。エンジンのレールだけ見ても、全体の道は分からないんです。
燃料の漏れ・不足・蒸発は、それぞれ違う問題
かからない、加速が悪いという症状は、燃料系以外でも出ます。燃料の圧力と量、噴射装置、電気、点火、空気の道を分けて調べます。故障コードの部品名だけで、交換品は決まりません。
ガソリンは蒸発(液体が気体へ変わること)もします。そのガスをキャニスターという装置へ一時的に吸着し、条件がそろったら空気の入口へ送る仕組みもあります。液体を運ぶ管とは別の仕事です。タンクも、ただふたをした箱ではないんですね。
燃料の臭いや漏れがあるなら、火気を近づけず、使い続ける前に点検を頼んでください。直噴の高圧側は、止めた後も圧力が残る場合があります。ホースを外して噴き方を見るような確認はしません。
ボルトくん
エンジンを止めたら、燃料の管をすぐ外せるの?
ハグルマ先生
止めても圧力が残ることがありますよ。特に直噴の高圧側は、車ごとの減圧手順が必要です。漏れを見るために、管を緩めないでください。
よくある疑問
燃料レールは何のため?
レールは、各インジェクターへ燃料を分ける部品です。圧力の変化を抑え、噴射に必要な燃料を供給する働きもあります。
ガソリンとディーゼルのポンプは同じ?
どちらも燃料を送りますが、燃料、圧力、噴射方式が違います。同じ仕組み、同じ部品としては扱えません。
燃料フィルターは定期的に交換する?
車によって違います。独立して交換するフィルターも、タンクのユニットに組み込んだものもあります。整備計画で点検と交換を確認します。
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