エンジンが燃料を燃やし、化学エネルギーを運動エネルギーに変える際に損失が生じます。この損失が大きければ大きい程、エンジンの効率は悪くなります。市販車に搭載されているガソリンエンジンの熱効率は、30~40%程度。残りは動力にはならずに熱や音として廃棄されます。それぞれのエネルギー損失について見てみましょう。
冷却損失
冷却損失とは、燃焼室やシリンダーなどの壁面から、冷却水に捨てられる熱損失のことです。水冷エンジンでは、冷却液によってほとんどが放熱されることとなります。この冷却損失の合計は全エネルギーの20%~30%にものぼります。
排気損失
吸排気損失とは、吸排気によって生じる損失の事です。具体的には吸気抵抗および排気抵抗をさし、吸気損失の場合はエアクリーナー、スロットルなどがあります。排気損失の場合は、エキゾーストマニホールドやサイレンサーなどがあります。
ポンプ損失
エンジンはスロットルバルブの開度によって、空気量を調整します。吸気行程では空気量をスロットル弁で絞るときの通路抵抗が、排気行程ではシリンダーの中で燃焼したガスを排出する際に、ガスを押し出すことが、ポンプ損失になります。
機械損失
機械損失とは、クランクシャフトやピストンなどが、回転や往復運動をするときに発生するフリクション(摩擦)のことです。フリクションは、ボールペンの事ではありません。例えば、ピストンがシリンダー内で往復運動するときのピストンとシリンダー間の摩擦、コンロッドのビッグエンドが回転運動するときのコンロッドメタルやクランクメタルの摩擦などが含まれます。
未燃損失
未燃損失とは、シリンダー内に投入された燃料の一部が、燃焼せずに捨てられることによる損失のことです。 もう少し詳しく説明すると、供給された燃料が発熱した量に対して、実際に燃焼によって発生した熱量の比を燃焼効率といいます。ガソリンエンジンでは、この燃焼効率は98%程度です。未燃損失は 残りの2%程度ということになります。
補機駆動損失
エンジン補機のなかには、動力を必要とするものがあります。このエンジン補機を動かすのに使われるエネルギーが補機駆動損失になります。