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エンジンの吸気系の仕組み|空気の通り道と各部品の役割

VW 1.8T用の標準インテークマニホールドと加工品の比較
VW 1.8T用の標準インテークマニホールドと加工品の比較。Manifold comparison.jpg — Alison Cassidy / 出典 / CC BY-SA 3.0。

エンジンも人間と同じように呼吸しています。空気を吸って吐いてを繰り返しているのですが、どこから、どんな部品を通って来るのでしょうか?吸気系の通り道を、入口から順番に追ってみましょう。

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吸気系は、外の空気を気筒まで届ける通り道

吸気行程:吸気が開き、排気は閉じている
吸気行程:吸気が開き、排気は閉じている
空気は左の吸気ポートを通り、開いた吸気バルブのふちを回ってシリンダーへ入ります。図の時点では右の排気バルブは閉じており、空気はそのまま排気ポートには抜けません。 排気行程と、その先の通り道を見る
模式図:メカニズモ。4ストロークの自然吸気ガソリンエンジンの模式図。行程途中の一例で、吸気・排気の切り替わりや両方の弁が開く期間は描いていません。 参考:吸気行程 / 排気行程

エンジンが燃料を燃やすには、空気に含まれる酸素が必要です。外から入った空気は、まずフィルターなどを通り、配管を進んで、最終的にピストンが動く筒へ入ります。この一連の通り道が吸気系です。

VW 1.8Tの標準品と加工品の例。各気筒へ向かう通路と集合する部分があります。形だけで性能の優劣は決めません。
吸気マニホールドの実物比較
VW 1.8Tの標準品と加工品の例。各気筒へ向かう通路と集合する部分があります。形だけで性能の優劣は決めません。Manifold comparison.jpg — Alison Cassidy / 出典 / CC BY-SA 3.0

通り道の途中には、空気をきれいにする部品、入る量を調整する部品、流れを各気筒へ分ける部品などがあります。ターボ付きの車では、空気を押し込む装置や、冷やす装置も加わります。

一般的な自然吸気のガソリン車なら、取り入口、エアフィルター、吸気管、スロットル、枝分かれするインテークマニホールド、ヘッドの中の道と進みます。センサーの場所や、ターボ、空気を冷やす装置は車によって違います。

ボルトくん

空気って、入口からそのまま筒に入るんじゃないの?

ハグルマ先生

途中でごみを取り除いたり、量を調整したりしています。空気が通る順番を追うと、各部品の役割も分かりやすいですよ。

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フィルターと通路が、空気を整える

Toyota 1KR-FEエンジン用の実物。ひだ状のろ材が空気中の砂やほこりを捕らえます。周囲の枠を含めて空気の通路へ収める部品です。車室へ入る空気をろ過するエアコン用フィルターとは用途が違います。
エンジンの吸気用エアフィルター
Toyota 1KR-FEエンジン用の実物。ひだ状のろ材が空気中の砂やほこりを捕らえます。周囲の枠を含めて空気の通路へ収める部品です。車室へ入る空気をろ過するエアコン用フィルターとは用途が違います。Air filter for Toyota 1KR-FE.jpg — Ilya Plekhanov / 出典 / CC BY-SA 3.0

エアフィルターは、ごみを止める

空気の取り入口には、砂やほこりまで付いてきます。そのままエンジンへ入れては困るので、エアフィルターで捕まえます。詰まれば空気は通りにくくなりますが、だから外してしまえ、とはいきません。通りやすさと、異物を止める仕事の両方が必要なんです。

スロットルは、必要な空気量を調整する

スロットルは、通り道にある弁です。多くのガソリン車では、開く量で空気を調整します。電子制御式ならモーターで動かし、アクセルの要求と車の状態に合わせます。ディーゼルや可変リフトのエンジンでは、目的や使い方が違うこともあります。

Jaguar AJ16用の実物。丸い通路の中に弁があり、回転して開口を変えます。
通路内にあるスロットル弁
Jaguar AJ16用の実物。丸い通路の中に弁があり、回転して開口を変えます。Jaguar AJ16 throttle body.jpg — Magnus Bäck / 出典 / Public domain

ボルトくん

フィルターを取っちゃえば、空気がいっぱい入って速くなるの?

ハグルマ先生

ごみを止める仕事もなくなってしまいますよ。異物やセンサーへの影響もあるので、その車に合った部品を、指定どおりに使うことが基本です。

マニホールドが、各気筒へ空気を分ける

1999年Mazda Miataの下部インテークマニホールド。複数の通路と、内部の切替に関係する部分が見える例です。
気筒へ向かう通路の実物
1999年Mazda Miataの下部インテークマニホールド。複数の通路と、内部の切替に関係する部分が見える例です。Lower-intake-manifold.jpg — epinkert / 出典 / CC BY 3.0

インテークは吸気、マニホールドは枝分かれする集合管です。共通の空間から、各気筒へ向かう「ランナー」という道が伸びるものがあります。ヘッドの中の道とは別の部品です。

各気筒は、順番に空気を吸います。流れには勢いと圧力の波があるので、管の長さや太さ、集合部の広さで、入りやすい回転数が変わります。太くすると抵抗を減らしやすいですが、流れる速さや波の働きも変わります。

長い道と短い道を切り替える、可変吸気もあります。どんな回転数で何をねらうかは仕組みによって違います。短くしたらいつでも高性能、とはいえません。

ボルトくん

空気を送る管は、全部太くした方がいいんじゃないの?

ハグルマ先生

太さで、流れる速さや圧力の波も変わるんですよ。回転数、バルブの時期、集合部まで合わせて作るので、太さだけでは決まらないんです。

自然吸気と過給で、空気を入れる条件が変わる

吸気行程の基本図。自然吸気と過給では入口側の圧力が違いますが、気筒へ入る通路をバルブが開閉する関係があります。
吸気バルブから気筒へ入る
吸気行程の基本図。自然吸気と過給では入口側の圧力が違いますが、気筒へ入る通路をバルブが開閉する関係があります。Four stroke cycle intake.png — Wapcaplet at English Wikipedia / 出典 / CC BY-SA 3.0

自然吸気では、吸気バルブが開いてピストンが下がると、筒の中の空間が広がります。そこで外との圧力差ができ、空気が通り道を進んで入ってきます。ターボは排気のエネルギーで、空気を押し縮めるコンプレッサーを回し、入口側の圧力を高くします。

空気を押し縮めると、温度も上がります。そこで多くの過給車は、インタークーラーで冷やして空気を多く詰めやすくし、火花から広がる炎とは別に、まだ燃えていない気体が急に着火して衝撃を起こす「ノッキング」も、起きにくい方向へ整えます。入口で熱い空気を吸う改造では、音が大きくなっても、パワーが増えたとは限りません。

ボルトくん

暖かい空気の方が、よく燃えて力が出るの?

ハグルマ先生

温度には、始動や燃料の気化を助ける面もありますよ。ただ、同じ圧力と空間なら、熱い空気ほど入る量は減ります。過給では燃え方の異常も関わるので、温度の管理が大切です。

空気漏れは、測った量と実際の量をずらすことがある

日産HR15DEエンジンの電子制御スロットルです。中央の銀色部分がスロットルボディーで、右の黒い吸気管につながっています。弁を動かすモーターなどは、このユニットの内部に収まっています。
日産HR15DEの電子制御スロットル
日産HR15DEエンジンの電子制御スロットルです。中央の銀色部分がスロットルボディーで、右の黒い吸気管につながっています。弁を動かすモーターなどは、このユニットの内部に収まっています。Throttle of HR15DE.JPG — Yones / 出典 / Public domain

空気の重さを測るエアフローメーターや、圧力、温度のセンサーを使います。その情報で燃料を計算するので、測った後の場所で空気が漏れると、計算と実際が合わなくなる場合があります。

ターボなどで押し込んだ側から漏れれば、圧縮した空気が逃げ、目標の圧力に届かなくなります。ホース、つなぎ目、ガスケット、センサー、弁などを、場所と走行条件に合わせて調べます。加速の悪さだけでフィルターのせいとは決まりません。

ボルトくん

吸気漏れって、外の空気が余計に入ることなの?

ハグルマ先生

場所によってはそうですが、押し込んだ空気が外へ逃げる場合もありますよ。どこで測り、そこがどんな圧力かを見て調べます。

よくある疑問

むき出しのエアクリーナーは、必ず速くなる?

ごみを止める力、吸う空気の温度、通りやすさ、センサーや制御への適合で変わります。吸気音が変わったことと、測った性能が上がったことは別です。

吸気音を小さくする箱は無駄?

レゾネーターという、共鳴や音を調整する装置もあります。音だけでなく、圧力の波へ関わる場合もあるので、役割を確かめて扱います。

直噴なら、吸気系へガソリンは入らない?

直噴だけなら、燃料は筒の中へ直接入れます。ただし、通り道で燃料を入れるポート噴射を、一緒に使うエンジンもあります。仕様を確認しましょう。

関連記事

吸気バルブ

スロットルの仕組み/ターボの空気の流れ/ポート噴射と直噴

参考資料

  1. Bosch:Air management
  2. Bosch:吸気圧力と温度の検出
  3. Garrett:過給とインタークーラー
  4. Honda:可変長吸気マニホールドの採用例

MANN-FILTER:エンジン用エアフィルターの役割。関連する仕組みをメーカーの資料でも確認できます。

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この記事を書いた人
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ハグルマ先生

メカニズモ編集長

2016年より自動車業界に携わり、輸入車ディーラーや中古車販売店などで実務経験を積む。

自動車専門ウェブメディアの運営にも携わり、業界で培った知識と講師としての経験を活かしながら、車の構造や部品、メンテナンスに関する情報を分かりやすく発信している。

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