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インタークーラーの仕組み|ターボの空気を冷やす理由

水冷式インタークーラーを搭載した車両の過給系

ターボ付きの車には、「インタークーラー」という部品が付いていることがありますが、これは一体何を冷やしているのでしょうか?詳しく解説していきます。

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インタークーラーはエンジンへ入る空気を冷やす部品

ターボとエンジンの間にある

吸気の経路の模式図。排気はインタークーラーを通りません。
吸気の経路の模式図。排気はインタークーラーを通りません。
図:メカニズモ(模式図)

エンジンは空気に含まれる酸素を使って燃料を燃やします。

そしてターボはその空気を空気を押し縮める、つまり圧縮してエンジンへ送り込む事で、さらなるパワーを手に入れるぜ!っていう装置な訳ですが、インタークーラーはそのターボで圧縮された空気を冷やす装置の事です。

つまりターボ車の空気の流れは一般的に「空気の取り入口、ターボ、インタークーラー、エンジン」の順で流れていきます。名前の「クーラー」は、車内を冷やすエアコンという意味ではありません。[1]

空冷式インタークーラーの形をつかむイラスト。タンク、吸気の通路、熱を逃がすフィンを簡略化しています。
空冷式インタークーラーの形をつかむイラスト。タンク、吸気の通路、熱を逃がすフィンを簡略化しています。
イラスト:メカニズモ(形・位置の概略)

ラジエーターと似ていても冷やす対象が違う

インタークーラーのタンクとコア
取り外したインタークーラーの外観。端のタンクと、多数の通路を持つコアで構成されています。
Freonr2 at English Wikipedia / Ic-extrior.jpg / CC BY 2.5。
インタークーラー内部の通路と薄いフィン
インタークーラー内部の通路とフィンの拡大。細かな金属面が熱の移動を助けます。
Freonr2 at English Wikipedia / Ic-interior.jpg / CC BY 2.5。

インタークーラーはエンジンの冷却水を冷やす装置、ラジエーターと構造が似ていて、細い通路と薄い金属の板がたくさん並んでいます。金属の板は「フィン」と呼ばれ、熱を外へ逃がす面積を広げます。

ラジエーターが主に冷却水の熱を逃がすのに対し、インタークーラーが扱うのはエンジンへ入る空気の熱です。水冷式でも、目的は吸気を冷やすことです。[2]

ボルトくん

 

ボンネットの中に、冷やす部品が二つもあるよ! どっちも同じものを冷やしてるの?

ハグルマ先生

 

冷やす相手が違うのです。空気の温度を整える部品と、エンジンから冷却水が運んできた熱を逃がす部品があります。

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空気を冷やすと同じ容積に入る酸素が増える

空気は圧縮すると温度が上がる

同じ圧力で比べたとき、冷たい空気は密度が高くなります。粒の数はイメージです。
同じ圧力で比べたとき、冷たい空気は密度が高くなります。粒の数はイメージです。
図:メカニズモ(模式図)

ターボは先述の通り空気を圧縮するわけですが、圧縮すると空気の温度も上がります。

そして皆さんがガキの頃に理科で習った通り、温かい空気は冷たい空気より密度が低くなってしまうので、せっかく圧力を高めても、同じ容積に入る空気の量が減ってしまいます。[1]

冷やすことで燃焼の条件を整える

空冷式の熱の移動。吸気と外気が混ざることを示す図ではありません。
空冷式の熱の移動。吸気と外気が混ざることを示す図ではありません。
図:メカニズモ(模式図)

そこで登場するのがインタークーラー。この装置があれば圧縮して高温になった空気の温度を下げる事ができ、より多くの空気をエンジンへ入れやすくなります。基本的に酸素が増えれば、その量に見合った燃料を燃やし、より大きな力を得られるわけです。

またガソリンエンジンでは、吸気温度を下げることがノッキングを抑える方向にも働きます。ノッキングは、火花から広がる炎とは別に、燃焼室に残った混合気が急に燃えて衝撃を生む現象です。混合気は、燃料と空気が混ざったものです。ただし、冷却すれば必ず馬力が上がるわけではありません。燃料の供給やエンジンの制御も関係します。[1][3]

ボルトくん

 

空気を冷やすだけで、燃やせる燃料もふえるの?

ハグルマ先生

 

同じ大きさの部屋にも、空気をより多く入れられるようになります。ただし、燃料を増やすかどうかは車の制御次第です。

空冷式と水冷式は熱を運ぶ方法が違う

空冷式は外の空気へ熱を渡す

車体前方に取り付けられたインタークーラー
2004年型Subaru WRX STIの前置きインタークーラー搭載例。配置は車種や改造内容で変わります。
Originally uploaded by Freonr2 (Transferred by Alison ) / Sti-fmic.jpg / CC BY 2.5。

インタークーラーには空冷式と水冷式の2つがあります。

空冷式ではその名の通り、空気で圧縮した空気を冷やす方法で、先ほどのフィンに風が当たる事でフィンの中を通る圧縮した空気が冷やされ、内部の熱い吸気から金属へ、さらに外を通る空気へと熱が移ります。

車の前方に置くものや、ボンネットの空気取り入口の下に置くものがあります。[2]

水冷式は冷却液を介して熱を逃がす

水冷式の吸気経路と冷却液回路。最後は別の熱交換器から外気へ熱を逃がします。
水冷式の吸気経路と冷却液回路。最後は別の熱交換器から外気へ熱を逃がします。
図:メカニズモ(模式図)

水冷式では、吸気の熱を冷却液を使って下げる方式です。冷却液をポンプで循環させ、別の熱交換器から外気へ熱を逃がします。吸気側の装置をエンジン近くに配置しやすい構成もあります。

冷却液の回路は、エンジン本体の冷却系と分かれている場合があります。「水冷だからエンジンの冷却水と必ず共通」とは限りません。[2]

ボルトくん

 

水で冷やすなら、熱は水の中にためておけばいいの?

ハグルマ先生

 

最後は外へ逃がす必要があります。冷却液は熱の運び役なので、その熱を放出する装置も欠かせません。

大きいインタークーラーがいつも有利とは限らない

よくチューニングをする上で社外のインタークーラーを入れる事がありますが、これは冷却能力だけでなく、空気の通りやすさも重要です。空気が通る途中で圧力が下がることを「圧力損失」といいます。通路が狭い、曲がり方が急、といった条件では損失が増えることがあります。

配管を必要以上に大きくしたり長くしたりすると、圧力が立ち上がるまでの応答にも影響します。冷やしやすさ、圧力損失、配管、搭載位置をまとめて考える必要があるのです。[3]

ホースの外れや漏れがあれば、圧縮した空気が途中で逃げます。加速の違和感や警告表示が出た場合は、部品の大型化より先に、吸気系の点検を相談しましょう。

ボルトくん

 

大きいのに替えれば、もっとよくなるって思ってたよ!

ハグルマ先生

 

冷えることと、空気が素早く届くことの両方が大切です。車全体との組み合わせで考えましょう。

よくある疑問

ターボ付きの車には必ず付いている?

すべてのターボ車に付くとは限りません。車種や年代、用途によって構成が異なります。スーパーチャージャー付きの車にも、吸気を冷やす装置を使う例があります。

冷却水の温度が正常なら吸気も冷えている?

別の温度です。エンジンの冷却水が適温でも、吸気が高温になることはあります。

関連記事

参考資料

  1. Garrett Motion「How a Turbocharger Works」:吸気の圧縮、密度、冷却と耐ノッキング性。
  2. MAHLE「Compact knowledge Vehicle cooling」:吸気冷却、空冷式と間接冷却式。
  3. Garrett Motion「Turbo System Optimization」:配管、応答、圧力損失と熱交換器の設計。

アイキャッチ写真:Alison Cassidy / Airtowaterintercooler.jpg / CC BY-SA 3.0。

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この記事を書いた人
ハグルマ先生のイラスト

ハグルマ先生

メカニズモ編集長

2016年より自動車業界に携わり、輸入車ディーラーや中古車販売店などで実務経験を積む。

自動車専門ウェブメディアの運営にも携わり、業界で培った知識と講師としての経験を活かしながら、車の構造や部品、メンテナンスに関する情報を分かりやすく発信している。

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