エンジンの説明でよく聞く、「ターボ」と「スーパーチャージャー」。どちらも空気を押し込む装置なのですが、何が違うのでしょうか?仕組みと反応の違いを解説していきます。
どちらも、空気を増やしてパワーを出す装置
燃料を増やすには、空気も必要

図:メカニズモ(模式図)
エンジンは、空気に含まれる酸素を使って燃料を燃やします。なので、燃料だけをどんどん増やしても、空気が足りなければうまく燃やせません。
そこで、空気を押し縮めてエンジンへ送り込むのがターボやスーパーチャージャーです。同じ大きさのエンジンへ、より多くの空気を入れて、その分の燃料も燃やす。「もっとパワーを出そうぜ!」という装置なわけですね。こうした装置を過給機と呼びます。[1]

イラスト:メカニズモ(形・位置の概略)
大きな違いは、何の力で回すか
一般的な車の説明では、ターボはエンジンから出る排気の力で回します。スーパーチャージャーは、エンジンの回転をベルトなどで受け取って回します。
空気を増やす目的は同じでも、装置を回す力のもらい方が違うんです。ここでは、この一般的な二つを比べます。電気のモーターで空気を押す装置などは、また別の仕組みです。
ボルトくん
ターボって、出てきた排気をもう一回エンジンに入れるの?
ハグルマ先生
排気は、装置を回すために使いますよ。エンジンへ入れる新しい空気とは、別の通り道を通ります。
ターボは、排気で羽根を回す
排気側と空気側の羽根が、一本の棒でつながる

Tommi Nummelin / Sectioned Garrett AiResearch turbocharger.JPG / CC BY-SA 3.0
ターボには、排気で回る羽根と、新しい空気を押し縮める羽根があります。排気側をタービン、空気側をコンプレッサーと呼びます。
この二つは一本の棒でつながっています。排気が片方を回すと、もう片方も回り、新しい空気をエンジンへ押し込むわけです。つながっているのは回る棒で、排気と新しい空気が混ざるわけではありません。[1]
アクセルを踏んでから、力が出るまでに時間がかかることも

図:メカニズモ(模式図)
アクセルを踏むと排気の状態が変わり、ターボの回転が上がって、空気を押し込む力が強くなります。この準備にかかる時間による反応の遅れを、ターボラグと呼びます。
エンジンの回転が低く、まだターボが十分に働けない状態と、踏んでから反応するまでの遅れは、関係はあっても別の話です。ターボの大きさや、空気の通り道、車の調整によっても感じ方は変わります。[1][2]
ボルトくん
ターボの車って、ちょっと待ってから急にビューンと速くなるの?
ハグルマ先生
どの車もそうなるわけではありませんよ。ターボの大きさや動かし方を工夫して、自然に力が出る車もあります。
スーパーチャージャーは、エンジンの回転で回す
ベルトや歯車で、回す力をもらう
エンジンの中の回転する棒から、ベルトや歯車で装置を回します。排気の勢いが増えるのを待たず、エンジンの回転に合わせて働ける仕組みです。
ただし、回してもらう力はエンジンからもらっています。増えたパワーの一部は、スーパーチャージャーを動かすためにも使うわけです。
中の形によって、力の出方が変わる

Tennen-Gas / Eaton MP62 001.JPG / CC BY-SA 3.0

Tennen-Gas / Eaton MP45 002.JPG / CC BY-SA 3.0
二つの回る部品の間で空気を運ぶ、ルーツ式やスクリュー式というタイプがあります。低い回転から空気を送りやすいものがあり、EatonのTVSもこの仲間です。[3]
一方、高速で回る羽根を使う遠心式というタイプもあります。こちらは回る速さで空気の押し込み方が変わるので、スーパーチャージャーなら全部、低い回転から同じように力が出るわけではありません。[4]
ルーツ式とスクリュー式も、内部で空気を押し縮める仕組みは違います。同じ名前の仲間でも、乗った感じまで同じとは限らないんですね。
ボルトくん
排気を待たなくていいなら、スーパーチャージャーはどれも同じ感じなの?
ハグルマ先生
中の仕組みや、送る空気の増え方が違うんです。エンジンで回すという共通点だけでは、反応まで同じにはなりませんよ。
反応と、力の使い方を比べてみる
| 比べるところ | ターボ | エンジンで回すスーパーチャージャー |
|---|---|---|
| 回す力はどこから? | 排気の力 | エンジンの回転 |
| 反応に関わるもの | 排気の状態、羽根の回転、配管や調整 | 中の仕組み、回る速さ、調整 |
| エンジン側の負担 | 排気を外へ押し出すときの抵抗など | 装置を回すための力 |
| 空気の温度 | 押し縮めると上がるので、冷やすことも大事 | 同じく、温度が上がることを考える必要がある |
ターボも、捨てる排気を使うから全部タダ、というわけではありません。ターボが付くと、エンジンが排気を外へ押し出す条件も変わります。[1]
どちらも、空気の冷やし方や燃料の量、車の調整との組み合わせが大切です。「ターボなら燃費がいい」「スーパーチャージャーなら必ず丈夫」と、名前だけでは決められません。
ボルトくん
捨てるはずの排気を使うなら、ターボの力はタダでもらえるの?
ハグルマ先生
排気の力を生かせますが、排気を外へ押し出すときの抵抗も変わります。得られる力と、そのために必要な力の両方を見るんです。
よくある疑問
一つのエンジンに、両方付けることもあるの?
両方を組み合わせた車もあります。ただ、装置を二つ足せば完成ではなく、空気の通り道や動かし方まで合わせて作られています。[3]
小さなエンジンに付ければ、必ず燃費がよくなるの?
走らせ方や車全体の作りで変わります。空気を押し込む装置がある、という条件だけでは決まりません。
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参考資料
- Garrett Motion「How a Turbocharger Works」:タービンとコンプレッサー、排気側の圧力、過給の原理。
- Garrett Motion「Turbo System Optimization」:吸気経路と応答、圧力損失。
- Eaton「Automotive high-performance solutions」:TVS、ルーツ式、応答と複合過給の例。
- Rotrex「Technology」および「C38 Technical Data Sheet」:遠心式スーパーチャージャーの羽根車と高速駆動機構。
アイキャッチ写真:Tommi Nummelin / Sectioned Garrett AiResearch turbocharger.JPG / CC BY-SA 3.0




