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スマートキーはなぜポケットに入れたまま使える?車が鍵を確かめる仕組み

Mercedes Benz Autoschlüssel - 02.jpg

スマートキーは、車と無線でやり取りし、ドアの解錠や始動を許可する電子式の鍵です。ポケットに入れたままドアが開くと、車が「いつもの人だ」と顔を覚えているように見えます。

車が確かめているのは、近くにある鍵と、その返事です。どうやって持ち主の鍵を見分け、車内にあることまで判断するのか。普段は見えないやり取りをのぞいてみましょう。

アイキャッチ:車両用の電子キー。スマートキーは、車との通信で解錠や始動に必要な確認を行う。
DYVER / 出典 / CC BY-SA 4.0(一部加工)

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鍵穴へ差す代わりに、無線で鍵を確かめる

キーのボタンで車を解錠するリモコン操作の例。スマート機能では、持って近くにいることを車が確かめる。
キーのボタンで車を解錠するリモコン操作の例。スマート機能では、持って近くにいることを車が確かめる。
James086 / 出典 / CC BY-SA 4.0(一部加工)

昔ながらの鍵は、金属の形が合うことで鍵穴の機構を動かします。スマートキーでは、鍵の中に電子回路やアンテナがあり、車との通信によって使える鍵かどうかを確かめます。アンテナは、無線の信号を送ったり受け取ったりする部分です。[1]

例えば、ドアハンドルに触れると車側がキーへ問いかけ、キーから返ってきた情報を確認して解錠します。近づいたときに動作するもの、ハンドルのボタンを押すものなど、きっかけは車種で違います。鍵をカバンから出さずに済むのは、この確認を無線で行えるからです。[1][2]

一方、キーのボタンを押して離れた場所から開け閉めするリモコン機能は、人がキー側から指示を出す使い方です。同じキーに両方の機能が入っていても、「ボタンを押す」と「持って近くにいるだけ」は、操作のきっかけが違うんですね。

ボルトくん

近くにあるキーなら、何でも開けてくれるわけじゃないよね?

ハグルマ先生

もちろんです。無線が届くだけでは足りません。その車で使える鍵として、正しく確認できる必要があります。
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その車の鍵だけが返せる情報を、やり取りする

スマートキーの電子基板を扱う様子。キーの内部には通信や認証に使う回路がある。
スマートキーの電子基板を扱う様子。キーの内部には通信や認証に使う回路がある。
Sadiq dt / 出典 / CC BY-SA 4.0(一部加工)

電子式の鍵には、車が正しいキーかどうかを確認するための情報が登録されています。車側は、ただ「鍵らしい物が近くにある」と判断するだけでなく、通信の内容を確かめます。この、使ってよい相手かを確認することを「認証」といいます。

方式の一例では、車がその都度の問いかけを送り、キーが内部の情報を使って計算した返事を返します。車はその返事が正しいかを確かめ、合っていれば操作を許可します。毎回同じ「開けて!」を叫ぶだけの仕組みより、やり取りを確かめやすくなります。[1][3]

細かな通信方法や、電波の周波数、位置を確認する方法は車によって異なります。新しい方式では距離を測る技術なども使われます。「スマートキー」という一つの名前でも、中の仕組みが全車共通というわけではありません。[3]

ボルトくん

合言葉を知ってるか、毎回違う問題で確かめる感じ?

ハグルマ先生

イメージとしては近いです。ただし、人間が暗記する合言葉ではなく、電子回路が扱う情報で確認しています。

車外にあるか、車内にあるかも調べる

車内のスタートボタン。キーの認証と、実際に始動する動作は別の段階になる。
車内のスタートボタン。キーの認証と、実際に始動する動作は別の段階になる。
Guido Gybels / 出典 / CC BY-SA 3.0(一部加工)

ドアを開けるときは車外の近くにキーがあり、エンジンなどを始動するときは車内にキーがある、という確認が必要です。窓の外に立っている人のキーだけで、車内の誰かが自由に始動できたら困りますよね。

代表的な方式では、車内外に配置した複数のアンテナからの信号と、その届き方などを使ってキーの位置を判断します。キーが受けた信号の強さを測って車へ返す仕組みなどが使われます。GPSでポケットの座標を毎回測っているわけではありません。[1]

車がキーを車内にあると認証し、ブレーキを踏むなどの条件がそろうと、スタートボタンの操作が受け付けられます。その後、エンジン車ではスターターモーターなどが働きます。認証は「始動してよいか」の確認で、実際にエンジンを回す仕事とは別です。全体の順番はエンジン始動の仕組みで解説しています。

ボルトくん

キーが車内にあるのに「見つからない」って言われるのは?

ハグルマ先生

置き場所や周囲の電波、金属製の物などで通信しにくくなる場合があります。車内のどこでも必ず同じように検知できるわけではありません。

反応しないときは、キー側と車側を分けて考える

車側の12Vバッテリー。キーの電池が正常でも、車側の電源が必要になる。
車側の12Vバッテリー。キーの電池が正常でも、車側の電源が必要になる。
Cjp24 / 出典 / CC BY-SA 4.0(一部加工)

スマートキーの通常の通信には、キー内の小さな電池を使います。電池が弱ると、近づいても反応しにくくなったり、車から警告が出たりします。また、車側にも通信やドアロックを動かす電源が必要なので、12Vバッテリーの不調でも動かない場合があります。[2]

キーの電池が切れたときに備え、金属の非常用キーでドアを開けたり、電子キーを指定の位置へ近づけて始動したりできる車があります。ただし、使い方は車種で異なります。「このへんに押しつければ何とかなる」と車内で宝探しを始める前に、説明書の電池切れ時の手順を確認しましょう。[2]

便利な無線機能には、車やキーの節電モードなど、使わないときの通信を抑える設定が用意されることもあります。盗難対策としてメーカーが案内している機能もあるため、自分の車にどの設定があるか確かめると役立ちます。スマートキーがあることだけで、盗難の心配がなくなるわけではありません。[4]

ボルトくん

キーの電池を替えても開かないなら、キー以外も見るんだ。

ハグルマ先生

はい。キーの電池、車側の電源、通信しにくい環境は別の話です。何が反応して何が反応しないかを整理すると、原因を調べやすくなります。
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この記事を書いた人
ハグルマ先生のイラスト

ハグルマ先生

メカニズモ編集長

2016年より自動車業界に携わり、輸入車ディーラーや中古車販売店などで実務経験を積む。

自動車専門ウェブメディアの運営にも携わり、業界で培った知識と講師としての経験を活かしながら、車の構造や部品、メンテナンスに関する情報を分かりやすく発信している。

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