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電動パワステと油圧パワステの違い|構造と操舵感の関係

モーターを備えたコラム式電動パワーステアリングユニット

ハンドルを回す力を助けるパワーステアリング、略してパワステ。油圧式と電動式がありますが、この違いでハンドルの感触も変わるのでしょうか?詳しく解説していきます。

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パワステは、タイヤの向きを変える力を助ける

ハンドル操作に、助ける力を足す

ハンドルからタイヤへ動きを伝える仕組みに、助ける力を足します。
ハンドルからタイヤへ動きを伝える仕組みに、助ける力を足します。
図:メカニズモ(模式図)
ハンドルからタイヤへつながる仕組みに、モーターの助けを加える例です。
ハンドルからタイヤへつながる仕組みに、モーターの助けを加える例です。
イラスト:メカニズモ(形・位置の概略)

タイヤは路面に押し付けられているので、その向きを変えるには力が必要です。パワステは、運転する人がハンドルに加える力を助け、少ない力で回せるようにします。

多くの乗用車では、ハンドルとタイヤが棒や歯車でつながり、そこへ助ける力を加えています。電動パワステだからといって、ハンドルとタイヤのつながりが必ずなくなるわけではありません。[1]

軽いか重いかだけでは、感触は決まらない

ハンドルの感触には、回し始めの反応、さらに回すときの力、戻るときの動き、道の状態から伝わる変化などがあります。

助ける力を増やせば軽く回せますが、それだけで路面の様子が分かりやすくなるわけではありません。どんな手応えを、どれくらい伝えるかも車の作り方で変わります。

ボルトくん

ハンドルが重いほど、道の様子がよく分かるってことなの?

ハグルマ先生

ただ回す抵抗が大きいだけのこともありますよ。重さそのものより、道の状態に合わせてどう変わるかも大事なんです。

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油圧式は、液体で押す力を使う

ポンプが液体を送り、左右へ押し分ける

Citroën C15の油圧式パワーステアリング
Citroën C15の油圧パワステ。液体で押す力を使います。
Kakoula10 / Direction assistée Citroen C15 First 2005.jpg / CC BY-SA 4.0
専用の液体で押す力を使い、ハンドル操作を助けます。液体はタンクへ戻ります。
専用の液体で押す力を使い、ハンドル操作を助けます。液体はタンクへ戻ります。
図:メカニズモ(模式図)

油圧式は、ポンプで専用の液体を流します。ハンドルを回すと液体の道が切り替わり、筒の中にある動く部品を、曲がりたい方向へ押します。この押す力で、タイヤの向きを変える仕組みを助けるわけです。

一般的な油圧式では、エンジンの回転をベルトなどで伝えてポンプを回します。液体を送る配管や、ためておくタンクも必要です。[1]

モーターでポンプを回すタイプもある

油圧式、モーターでポンプを回す油圧式、液体を使わない電動式の違いです。
油圧式、モーターでポンプを回す油圧式、液体を使わない電動式の違いです。
図:メカニズモ(模式図)
電動油圧パワーステアリングのポンプユニット
モーターで液体を送るポンプを回す、電動油圧パワステの装置です。
Stahlkocher at German Wikipedia / Elektro-hydraulische_Servolenkung.jpg / CC BY-SA 3.0

エンジンの代わりに、モーターでポンプを回すタイプもあります。これが電動油圧式です。

回す力は電気からもらいますが、最後にハンドル操作を助けるのは、液体で押す力です。そのため、モーターが付いていても、専用の液体や配管を使います。[1]

ボルトくん

モーターが付いてたら、パワステの液はもういらないの?

ハグルマ先生

モーターが何を回しているかによるんです。液体を送るポンプを回しているなら、液体も必要になりますよ。

電動式は、モーターの力を直接加える

センサーで、回す力や車の速さを読む

回す力や車の速さを読み取り、コンピューターがモーターの助けを調整します。
回す力や車の速さを読み取り、コンピューターがモーターの助けを調整します。
図:メカニズモ(模式図)

液体で押す仕組みを使わず、モーターの力を加えるのが電動パワステです。EPSとも呼ばれます。

ハンドルを回す力をセンサーで読み取り、車のコンピューターが「今はどれくらい助けようか」と決めます。車の速さなども参考にしながら、モーターを動かすわけです。モーターの力は、歯車などを通してハンドルやタイヤを動かす仕組みへ伝わります。[1]

モーターを付ける場所も、車によって違う

モーターを備えたコラム式電動パワーステアリングユニット
ハンドルにつながる棒を、モーターで助ける電動パワステの実物です。
Samf4u / EPAS power steering column.jpg / CC BY-SA 4.0
ハンドル側の棒、歯車、横に動く棒など、助ける力を加える場所にも違いがあります。
ハンドル側の棒、歯車、横に動く棒など、助ける力を加える場所にも違いがあります。
図:メカニズモ(模式図)

ハンドルにつながる棒のところで助けるタイプもあれば、タイヤへ動きを伝える歯車や、横に動く歯付きの棒を助けるタイプもあります。

この横に動く棒がラック、ラックとかみ合う歯車がピニオンです。運転する人が回す側と、モーターが助ける側に、別々の歯車を使うものもあります。[1][5]

どこで力を足すか、中の部品がどれくらい滑らかに動くかも、手応えに関わります。電動パワステという名前が同じでも、中身まで全部同じではないんです。

ボルトくん

同じ電動パワステなのに感じが違うのは、設定を変えてるからなの?

ハグルマ先生

設定も関係しますが、モーターの場所や歯車なども違いますよ。動かし方と、部品の作りの両方で感触が変わります。

タイヤや車の設定でも、手応えは変わる

ハンドルの感触には、タイヤの種類や空気圧、車輪が付いている角度なども関わります。油圧式にも、車の速さに合わせて助ける力を変えるものがあります。[2]

電動式は、助ける力や戻り方をコンピューターで調整しやすく、車線から外れないように助ける機能と組み合わせる例もあります。ただし、その機能が付いているかは車によります。[3]

「油圧だから全部自然」「電動だから全部手応えが薄い」と分けると、車ごとの違いを見落とします。試乗などでは、こんなところを感じてみると比べやすいですね。

比べるところ 感じたいこと
軽さ 駐車するときと、普通に走るときに必要な力
回し始め 少し動かしたときの反応や引っかかり
戻り方 普段の運転でハンドルを戻すときの動き
道の手応え 路面や曲がり方によって変わる感触

ボルトくん

電動か油圧かを聞けば、好きな感じのハンドルか分かると思ってたよ!

ハグルマ先生

方式はヒントになりますね。でも、タイヤや車全体の設定も含めて、実際の感触を確かめるのが大事ですよ。

点検する場所も、方式によって違う

油圧式と電動油圧式では、液体の量や漏れ、配管などを確認します。電動式では、電源やセンサー、モーター、歯車などを確認します。

走行中に急にハンドルが重くなったら、方式の特徴だと思って放置しないでください。安全な場所へ止まり、警告と取扱説明書を確認して、点検を相談しましょう。[4]

よくある疑問

電動パワステと、ステアバイワイヤは同じなの?

電動パワステは、モーターでハンドルを回す力を助ける方式です。ステアバイワイヤは、ハンドル操作を電気の信号で伝える仕組みです。名前が似ていても、指しているものが違います。

止まったままハンドルを回し続けても大丈夫なの?

車によっては、熱くなりすぎるのを防ぐため、助ける力が弱くなる場合があります。無理に回し続けず、その車の説明書に従いましょう。

関連記事

参考資料

  1. ジェイテクト「ステアリング」:油圧式、電動油圧式、EPS、補助位置と基本作動。
  2. ジェイテクト「Electronically controlled type hydraulic power steerings」:車速に応じた油圧式の制御。
  3. Bosch「Lane keeping assist」:EPSとハンドル操作支援の連携例。
  4. トヨタ「クラウン セダンの警告灯」:EPS警告時の補助力の変化。表示内容はこの車種の例です。
  5. ジェイテクト「デュアルピニオンタイプEPS」:操作側と補助側を別のピニオンにした構成。

アイキャッチ写真:Samf4u / EPAS power steering column.jpg / CC BY-SA 4.0

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この記事を書いた人
ハグルマ先生のイラスト

ハグルマ先生

メカニズモ編集長

2016年より自動車業界に携わり、輸入車ディーラーや中古車販売店などで実務経験を積む。

自動車専門ウェブメディアの運営にも携わり、業界で培った知識と講師としての経験を活かしながら、車の構造や部品、メンテナンスに関する情報を分かりやすく発信している。

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