止まっているのに、ハンドルやシートがいつもよりブルブルする。アイドリング中の振動には、エンジンや、それを支える部品がどう関わっているのでしょうか?詳しく解説していきます。
強い揺れや、警告の点滅があるときは先に対応する

Colin Venable / 2023_Subaru_Outback_Limited_2.5_liter_4_cyl_engine_bay.jpg / CC0 1.0
急に強く揺れる、エンジンの警告灯が点滅する、煙や強い燃料のにおいがする、といったときは、無理に走り続けず、安全を確保して点検や救援を相談します。
ガソリン車では、燃料がうまく燃えない「失火」が起きると、警告灯が点滅する場合があります。燃えなかった燃料が排気のほうへ流れ、排気をきれいにする装置を傷めるおそれもあります。点灯と点滅の意味や対応は、その車の説明書を確認してください。[1]
ボルトくん
エンジンは動いてるんだから、ブルブルするだけなら待っててもいいの?
ハグルマ先生
動いていても、燃料の燃え方が乱れていることがありますよ。強い変化や警告の点滅があるなら、走り続けずに相談しましょう。
揺れが増えたのか、揺れが伝わりやすくなったのか
正常なエンジンにも、振動はある

図:メカニズモ(模式図)
アクセルを踏まなくても、エンジンが自分の力で回り続けている状態がアイドリングです。中では燃料が繰り返し燃え、ピストンなどの部品も動いているので、正常でも振動はあります。
車は、この揺れを小さくしたり、車体へ伝わりにくくしたりしています。振動が少しでもあれば故障、ではなく、普段と比べてどう変わったかが大切です。
エンジンと、エンジンを支える部分を分けて考える

イラスト:メカニズモ(形・位置の概略)
燃料の燃え方がばらつくと、エンジン自体の揺れが増える場合があります。一方、エンジンを支える部分が傷むと、揺れを車体へ伝えやすくなる場合があります。
どちらも、乗っている人には「車がブルブルする」と感じられます。揺れを生むところと、その揺れが届く道を分けると、原因を考えやすいんです。
ボルトくん
シートがブルブルしたら、エンジンの中が壊れてるってことなの?
ハグルマ先生
揺れが届く途中の部品も考えられますね。音を出すものと、その音を遮るものを分けて考えるのに似ていますよ。
エンジン側では、火花や空気、燃料を調べる
火花がうまく飛ばないと、燃え方も乱れる

NGK SPARKPLUG / SparkPlug ILZKBR7A.jpg / CC BY-SA 4.0

Cschirp / Ignition coil module.jpg / CC BY-SA 3.0 de
ガソリンエンジンでは、点火プラグが火花を飛ばして、空気と混ざった燃料に火を付けます。その火花に必要な高い電圧を作るのが、イグニッションコイルです。
プラグやコイルに問題があると、燃え方が乱れ、揺れや回転の不安定さ、力の出にくさにつながる場合があります。ただし、揺れるからプラグが犯人、とすぐには決められません。[2][3]
入ってくる空気や燃料も関係する

Spock85 / fiat-stilo-injector / CC BY-SA 4.0

図:メカニズモ(模式図)
空気の通り道に漏れがある、空気の量をうまく調整できない、燃料がきちんと届かない、といったことでも、燃え方は変わります。コンピューターが調整していても、どんな不具合も帳消しにできるわけではありません。
整備では、回転数や燃料、空気の状態などと一緒に、コンピューターに残った異常の記録も調べます。この記録が故障コードです。コードに部品の名前が出ても、その部品だけが原因とは限りません。
ボルトくん
診断機に出てきた名前の部品を替えれば、直るの?
ハグルマ先生
その部品へ届く電気や空気などに、問題があることもありますよ。記録は、調べる場所を絞るためのヒントなんです。
エンジンマウントは、重さを支えながら揺れを抑える
ゴムなどを使って、振動を伝えにくくする

図:メカニズモ(模式図)
エンジンや変速機を車体に取り付ける、支えの部品がマウントです。エンジンマウントは重さや動く力を受け止めつつ、揺れが車体へ届きにくくなるようにしています。
金属だけでがっちりつなぐと、振動も伝わりやすくなります。そこで、押すと変形して元に戻るゴムなどを使います。中に液体を入れて、揺れを抑えるタイプもあります。[4]
柔らかければ、全部よくなるわけでもない

図:メカニズモ(模式図)
柔らかくすると振動を伝えにくくできる一方、エンジンが大きく動きやすくなる場合があります。反対に硬く支えると、動きを抑えやすいものの、揺れは車体へ届きやすくなる場合があります。
液体入りなどのタイプは、揺れ方に合わせて働き方を調整しています。状態に合わせて特性を変えるものもあり、見た目以上に工夫された部品なんです。[4][5]
ゴムの傷みや液漏れなどは、点検で確認します。ただ、写真や揺れの大きさだけでは、交換するべきかは決められません。
ボルトくん
いちばん柔らかいマウントにしたら、もっと乗り心地がよくなるの?
ハグルマ先生
エンジンを正しい場所で支える仕事もありますからね。揺れを伝えにくくすることと、動きすぎないようにすること、両方のバランスが大切です。
いつ揺れるかが、点検のヒントになる
| 気付いたこと | 整備工場へ伝えたいこと |
|---|---|
| 冷えているときだけ揺れる | エンジンをかけてから、どれくらい続くか |
| 暖まっても揺れる | ずっと続くか、急に始まったか |
| 回転計の針も上下する | 針の動きと揺れが同時か |
| Dで止まっているときに目立つ | 以前に気付いた、Pなどとの違い |
| エアコンで変わる | 動き始めだけか、使っている間ずっとか |
| 警告や、力の出にくさもある | 点灯か点滅か、画面のメッセージ、ほかの変化 |
回転計の針が落ち着いていても、小さな燃え方の乱れが表示に出ない場合があります。針が動かないから、必ずマウントが原因とは言えません。
調べるために空ぶかししたり、ブレーキを踏んだまま強くアクセルを踏んだりする必要はありません。安全に止まっているときに、すでに気付いた違いを伝えれば十分です。
ボルトくん
原因が分からないまま整備工場に行ってもいいの? 何て言えばいいんだろう。
ハグルマ先生
いつ、どこが、どう揺れるかで大丈夫ですよ。「暖まってもシートがブルブルする」だけでも、役に立つ情報になります。
よくある疑問
エアコンを入れて少し変わるのは、故障なの?
エンジンがする仕事や調整が変わるので、感触が変わることはあります。ただ、前より強い、警告が出る、止まりそうになる、といった変化は点検を相談しましょう。
マウントを替えれば、燃え方の不調も直るの?
マウントは、エンジンを支え、振動を伝えにくくする部品です。燃料がうまく燃えない原因は、別に調べて直す必要があります。
関連記事
-
エンジンの仕組み:燃料を燃やすことと回転が続く仕組みを確認できます。
-
点火プラグとイグニッションコイル:火花を作る装置を解説しています。
-
エンジンの吸気系の仕組み:燃料を燃やすことに必要な空気の通り道を学べます。
参考資料
- Honda「エディックス取扱説明書」:失火によるPGM-FI警告灯の点滅と触媒保護。車種ごとの対応は当該車両の説明書を優先します。
- Niterra/NGK「Ignition coils leads and caps」:コイルの役割と不具合時の症状。
- Niterra/NGK「Spark plugs」:点火プラグの役割、失火、始動やアイドリングへの影響。
- 住友理工「自動車向け製品」:防振ゴムと液体封入式エンジンマウント。
- 住友理工「電気式アクティブコントロールマウント」:振動伝達を制御するマウントの例。
アイキャッチ写真:Colin Venable / 2023_Subaru_Outback_Limited_2.5_liter_4_cyl_engine_bay.jpg / CC0 1.0





コメント
[…] アイドリングで車が振動する|エンジンとマウントの役割 […]
[…] 停車中の振動の発生源と伝達経路は、アイドリングで車が振動する|エンジンとマウントの役割で詳しく解説しています。 […]