電気自動車は、電気でモーターを回して走ります。とはいえ、コンセントにタイヤをつなげば走り出すほど、話は雑ではありません。
電気を「回す力」に変えるカギは、磁石が引き合ったり反発したりする力。モーターはその力が働く向きをうまく切り替えて、回転を続けています。電気がどうやって車を動かす力になるのか、中の仕組みをのぞいてみましょう。
アイキャッチ:スバルのハイブリッド用駆動装置の断面展示。モーターやギヤが組み合わされている。
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外側の動かない部分と、内側の回る部分がある

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車を走らせるモーターの代表的な構造には、外側で動かない「ステーター」と、内側で回る「ローター」があります。ステーターは固定子、ローターは回転子とも呼びます。まずは「外は止まる、内は回る」と覚えれば大丈夫です。[1]
ステーターには、電線を何度も巻いた「コイル」があります。コイルに電流を流すと、周りに磁石の力が生まれます。これが電磁石です。普通の磁石と違い、電流の向きや大きさを変えることで、磁石としての向きや強さを調節できます。
ここでは、ローターに永久磁石を使うタイプを例に説明します。永久磁石とは、電気を流さなくても磁石として働くもの。ローターには回転する軸がつながっており、軸から取り出した力で車輪を回します。車全体でのエンジンとの分担はハイブリッドの動力の流れでも紹介しています。[1]
磁石の力が向く方向を、ぐるぐる動かす

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磁石にはN極とS極があり、違う極どうしは引き合い、同じ極どうしは反発します。永久磁石を持つローターも、周囲の磁石の向きに応じて回ろうとします。ただし、周囲の状態が変わらなければ、ある向きに落ち着いてしまいます。
そこで、ステーターの複数のコイルへ流す電流を、タイミングをずらしながら変えます。すると、磁石の力が向く方向が、円を描くように移っていきます。この「磁力の向きが回る状態」を回転磁界と呼びます。外側の金属そのものを回しているのではありません。[1][2]
ローターは、その動く磁力の向きに追いかけるように回ります。言ってしまえば、磁石を目の前で少しずつ動かす代わりに、電気で磁力の向きを動かしているんです。実際の制御はローターの位置などに合わせて細かく行い、なめらかな回転を作ります。
電気を調節し、ギヤを通してタイヤを回す

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コイルへ流す電気を調節する装置が、インバーターです。アクセル操作などに応じて、必要な回転する力が出るように電流を制御します。この、軸を回そうとする力を「トルク」といいます。数字の読み方はトルクと馬力の記事で解説しています。[2]
モーターの軸とタイヤは、必ず同じ速さで回るわけではありません。多くの電気自動車では、間に「減速機」というギヤの組み合わせがあります。モーターの速い回転を落とし、その分、車輪を回す力を大きくして伝えます。自転車のギヤを軽くすると、足を多く回す代わりに登りやすくなる考え方に近いです。[3]
そこから左右の車輪へ力を分けるデファレンシャルなどを通り、タイヤが路面を押して車が進みます。「電池からタイヤへ電気が直行する」のではなく、電気→モーターの回転→ギヤ→車輪、という順番です。駆動装置の組み方は車種によって変わります。
減速するときは、回される側になって発電する

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加速中は、電気を使ってモーターが車輪を回します。一方、減速中には、走っている車の勢いで車輪側からモーターを回し、発電させることができます。電気を作るときの回転への抵抗が、車を減速させる働きになります。[1][2]
これが回生ブレーキです。取り戻した電気は、インバーターなどを通して駆動用バッテリーへ戻します。ただし、満充電に近いときや電池の温度条件などによって、回収できる量には限りがあります。走れば走るほど電池が増える永久機関ではありません。
なお、車のモーターすべてが永久磁石式ではありません。ローター側にも電気で磁力を作るものなど、別の方式もあります。最初から全部を覚えるより、「電気で磁力を調節し、回転する力を作る」「逆に回されて発電にも使える」という共通する考え方から押さえましょう。[1]




