エンジンで生まれた動力は、トランスミッション、デファレンシャルギア(ファイナルギア)を介して車輪に伝わります。もう少し詳しく見てみましょう。
デファレンシャルギアとは
車がカーブを曲がる時、前輪と後輪も、カーブの内側と外側では距離が変わり、外側の方が移動距離が長くなり、左右の車輪に速度差が生じます。このとき、左右の両輪にエンジンからの力を伝えながら、カーブの内側と外側の速度差を吸収し、スムーズに曲るようにするのがデファレンシャルの役割です。
デファレンシャルギアの構造
FR車を例にデファレンシャルギアの構造を見てみましょう。エンジンで生まれた力は、プロペラシャフトによってデファレンシャルに伝えられます。プロペラシャフトからの動力は、プロペラシャフトのいちばん後ろにある歯車から、ドライブシャフトと連動しているリングギアに伝わります。
リングギヤと一体化し回転をしているデフケースには、左車輪用のサイドギヤと右車輪用のサイドギヤが内蔵されています。サイドギヤはドライブシャフトに取り付けられていて、そのドライブシャフトの反対側の先端にタイヤがあります。デフケースの中では左右の車輪は分割されており、ピニオンギヤによって左右のサイドギアが連結されています。
デファレンシャルの働き
直進時
直進時は左右の車輪に回転差がないので、プロペラシャフトからの力がリングギアに伝わり、ピニオンギアが公転し、左右のサイドギアに同じ回転を伝えます。
旋回時
ステアリングを切り始めるとすぐに、左右のサイドギヤの回転数がズレはじめます。するとピニオンギヤがゆっくり回り始めます。例えば右カーブを曲がる場合、左側の車輪の回転が右側の車輪よりも早くなるように、直進時は公転のみだったピニオンギヤが自転します。
ファイナルギア
ファイナルギヤとは、ピニオンギアとリングギアのことを言います。トランスミッションで変速されたエンジンの回転は、デファレンシャルギアの外周に取り付けられたこれらのギアで最終的に減速されてタイヤに伝わるため、このように呼ばれています。このファイナルギヤの変速比によって、燃費重視や加速重視などといった、車のおおまかな性格が決まります。