スーパーチャージャーは、エンジンへ空気を押し込み、より多く取り込めるようにする装置です。代表的な機械式では、その装置を回す力もエンジンからもらいます。
力を増やしたいので、まず力を貸してください。少しややこしい話ですが、空気を増やすことで、その負担を上回る出力を狙うわけです。回しているものと、空気の運び方を分けて見ていきましょう。
スーパーチャージャーは、エンジンの力で空気を送る過給機

Eaton MP62を使う実物例。過給機のケースとベルト駆動の構成が見えます。配置や吸気配管は車種ごとに違います。Eaton MP62 001.JPG — Tennen-Gas / 出典 / CC BY-SA 3.0
燃料をたくさん燃やすには、空気に含まれる酸素も必要です。スーパーチャージャーは、エンジンへ空気を多く送り込むための装置です。入口側で空気を押し込み、エンジンが取り込む空気を増やします。
代表的な機械式では、エンジンの回転をベルトなどで受け取り、装置の中の回転する部品を動かします。空気を増やして力を取り出す一方、装置を回すためにも、エンジンの力を使っているんですね。
空気を増やし、それに合わせて燃料も増やせば、同じ排気量で大きなパワーを出せます。排気で回るターボに対して、こちらはエンジン自身から回す力をもらうのが特徴です。
ボルトくん
エンジンが、自分で空気を押す装置も回すの?
ハグルマ先生
そうですよ。その分の力も使いますが、空気を増やして、より多くの燃料を燃やせるようにするわけです。
ルーツ式は、回転する二つのローターで空気を運ぶ

二つのローターは反対向きに回ります。空気が通るのは、ローターの外側とケースの間。中央でかみ合う部分を抜けていくわけではありません。
作図:Inductiveload/アニメーション:MichaelFrey。原GIF、CC BY-SA 3.0 出典 / ライセンス
ルーツ式の中では、形の合う二つのローターが回っています。ローターは、回転する部品の名前です。空気は主に、ケースの内壁と各ローターの外側にはさまれた空間に入ります。ローターが回ると、その空間が入口側から出口側へ移り、空気を運びます。見た目はごりごりとかみ合いそうですが、ローター同士をこすり合わせて空気をつぶす仕組みではありません。

Eaton MP45の開口部から見えるローター。これは従来のMシリーズの例で、後年のTVS製品と同じ羽根数やねじれ角を示す写真ではありません。Eaton MP45 002.JPG — Tennen-Gas / 出典 / CC BY-SA 3.0
典型的なルーツ式は、入口から出口へ運ぶ空間をだんだん狭くして、中で圧縮する方式とは違います。圧力の高い出口側へ空気を送り込み、圧力を得ます。ここが、スクリュー式との大きな違いです。
二つの位置を合わせる歯車、軸受(回転する軸を支える部分)、ケースとの隙間も大事です。空気の漏れは減らしたいけれど、熱で膨らんだ部品をぶつけたくない。寸法の精度と温度まで考えています。
ボルトくん
ローターは、こすり合って回るの?
ハグルマ先生
普通のルーツ式は、歯車で位置を合わせ、ローター同士は触れずに回りますよ。適切な隙間が、性能と長持ちに関わるんです。
ここでは、空気を運ぶことと、装置の中で空気を押し縮めることを分けて見ます。ルーツ式とスクリュー式は、どちらも回転部品を使いますが、内部で空気の居場所がどう変わるかは同じではありません。外観の似た二つの塊だけを見て、同じ方式だと思わないのがポイントです。
スクリュー式と遠心式は、空気の扱い方が違う

ProCharger i-1の断面。メーカーは遠心式と可変駆動比を組み合わせた製品と説明しています。固定の駆動比を持つ遠心式とは制御が異なり、全製品の共通構造ではありません。I1-variable-ratio-supercharger-cutaways.jpg — DVespremi / 出典 / CC BY-SA 4.0
スクリュー式は、ねじのようなローターを使い、空気が入る空間を狭くして、中で押し縮めます。ただ、ルーツ式にもねじれたローターがあります。見た目がねじれているだけでは、スクリュー式と決まりません。
遠心式は、ターボの吸気側に似た羽根車を、エンジンの力で回します。高速の羽根で空気を動かし、周りの道で圧力を得ます。羽根を速く回すため、中に回転数を増やす仕組みを持つ製品もあります。
| 方式 | 空気の扱い方 | 理解のポイント |
|---|---|---|
| ルーツ式 | ローターの外側で入口から出口へ運ぶ | 出口の圧力に対して空気を送る |
| スクリュー式 | ローター間の空間を小さくする | 内部で圧縮する |
| 遠心式 | 羽根車と周囲の通路で圧力を得る | 回転数と流量の適合が重要 |
ボルトくん
エンジンで回すなら、低回転から全部同じように効くの?
ハグルマ先生
方式によって違いますよ。遠心式は、回転数による圧力の変化が大きい傾向があります。装置の大きさと、何倍で回すかも関係します。

別の方式も見てみましょう。こちらはスクロール式の原理を示す動画です。渦巻きの間に閉じ込めた気体を中心側へ送りながら、部屋を小さくして圧縮します。名前が似ていますが、ねじ状のローターを使うスクリュー式とは別です。
作図:Cacycle。原GIF、CC BY-SA 3.0 出典 / ライセンス
操作に合わせて回せるが、エンジンの力も使う

Lancia Beta Volumexに使われた過給機。機械式過給にも多くの世代と設計があります。写真の構成を、すべての現行製品へ当てはめることはできません。Volumex charger.jpg — Tony Harrison from Farnborough, UK;cropped by uploader Mr.choppers / 出典 / CC BY-SA 2.0
機械式は、排気が増えてターボが速くなるのを待たず、エンジンの回転に合わせて動かせます。そのため、操作にすぐ反応する感触を作りやすいです。ただし、どれも全回転数で同じ圧力を出すわけではありません。
軽い負荷では、強く押し込む必要がないこともあります。空気を別の道へ通すバイパスや、駆動を切るクラッチでむだを減らす構成があります。少しアクセルを踏んだだけで、いつも最大の過給をしているとは限りません。
空気を圧縮すれば、こちらも熱くなります。空冷式や水冷式のインタークーラーで冷やす設計があり、温度の管理は大切です。ベルトで伝えられる力、装置の効率、管を通る途中の圧力低下も合わせて考えます。
ボルトくん
ターボラグがなければ、むだもないの?
ハグルマ先生
反応するまでの遅れと、回すために使う力は別ですよ。機械式はエンジンの力を借りるので、その分も含めて出力と燃費を見ます。
プーリー変更は、過給機とエンジンの両方へ影響する
プーリーは、ベルトを掛ける円盤です。エンジン側と装置側の直径の比で、回転数が変わります。装置側を小さくして速く回すと、過給だけでなく、ベルトの負担、熱、回転数の上限も考える必要があります。
空気が増えれば、燃料、点火、冷却、部品を守る制御も合わせます。圧力計の数字だけ追うと、燃え方や部品の寿命を悪くするおそれがあります。
異音や過給不足なら、ベルトの滑り、バイパス、空気漏れ、軸受などを分けて調べます。油の使い方も製品によって違います。全部をエンジンオイルで管理できるわけではないので、指定の整備方法が必要です。
ボルトくん
速く回せば、どこまでもパワーが出るの?
ハグルマ先生
扱える空気量と回転数には上限がありますよ。効率が落ち、熱ばかり増える範囲もあります。エンジンへ燃料を送れるか、部品が耐えられるかも必要です。
よくある疑問
電動の過給機もスーパーチャージャー?
電動コンプレッサーなどと呼ぶ装置があります。空気を圧縮する点は共通ですが、回すエネルギーと制御が違うので、機械式と分けて見ます。
ルーツ式とツインスクリュー式は同じ?
別です。ローターが二つというだけでは決まりません。空気をどう運び、中で空間を狭くして圧縮するかが違います。
ターボと組み合わせられる?
組み合わせることもできます。回転数によって役割を分けるなどしますが、管、バルブ、駆動の調整は、単独より複雑になります。
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