ターボは、エンジンへ空気を圧縮して送り込む装置です。「ターボ付き」と聞くと速そうですが、謎のパワーが出る箱を後付けしているわけではありません。
より多くの燃料を燃やすには、それに見合う空気も必要です。その空気を送る羽根車を、燃えた後の排気で回しています。捨てるはずのガスに、もうひと働きしてもらう仕組みをのぞいてみましょう。
ターボチャージャーは、吸気側と排気側にまたがる部品

写真左の赤い断面は、排気をタービンに導くケース。右の青い断面は、圧縮した空気が通るコンプレッサーのケースです。中央の軸が左右の羽根車をつなぎます。色はこの展示品の説明用で、実車共通の色分けではありません。
写真:Quentin Schwinn/NASA(Public domain)。航空宇宙用途などに使われるターボの断面展示。 出典
エンジンが多くの燃料を燃やすには、それに見合う空気が必要です。ターボは、エンジンへ入る空気を圧縮して、より多く送り込めるようにする装置です。この空気を押す側の羽根車を、コンプレッサーと呼びます。

Garrett AiResearch製ターボの展示用断面。左が排気で回るタービン、右が吸気を圧縮するコンプレッサーで、中央の軸でつながっています。Sectioned Garrett AiResearch turbocharger.JPG — Tommi Nummelin / 出典 / CC BY-SA 3.0
その羽根車を回すのは、エンジンから出た排気です。排気側にも羽根車があり、ガスの流れで回ります。二つの羽根車が軸でつながっているので、排気の流れを使って、入口の空気を押し込めるわけです。
排気は排気側の羽根車を通って出口へ進み、新しい空気は別の道からエンジンへ向かいます。二つの通り道を混ぜず、その間で軸が回す力を渡しているんです。
排気で回る側を「タービン」と呼びます。排気の集合管の先へタービン側を置き、空気の管へコンプレッサー側をつなぐのが基本です。
ボルトくん
捨てるはずのガスで、空気を押すの?
ハグルマ先生
そういう仕組みです。ただし、力を使っても何の影響もないわけではなく、排気側の抵抗なども設計で考えていますよ。
排気のエネルギーで回し、吸い込んだ空気を圧縮する

Hyundaiのツインスクロール部品の実物例。通路の分離を見る写真で、BMWと同じ寸法・形状・気筒の組み合わせという意味ではありません。Twin-scroll turbo T-GDI.jpg — DmitryKo / 出典 / CC0
エンジンから出てきた排気には、まだ熱と圧力があります。そのガスがタービンの中を通り、広がるときのエネルギーで羽根車を回します。一本の軸の反対側には、吸い込んだ空気を押し縮める羽根車があります。排気で回して、吸気を押す。この二つが、軸でつながっているわけです。

三菱がRenault F4Rt用として製造したツインスクロールターボの例です。内部の通路と羽根車を見られます。すべてのターボが同じ構成・寸法という意味ではありません。Mitsubishi twin-scroll turbo 2.JPG — DmitryKo / 出典 / CC0。
コンプレッサーは、羽根車と周りの道が一緒に働きます。羽根で空気を動かし、道で流れを整えながら圧力を上げます。吸気口へ扇風機の風を当てただけ、という仕組みではありません。
押し縮めた空気は熱くなります。そこで多くの車は、インタークーラーで空気を冷やします。同じ圧力なら冷たい方が多く詰められますし、ガソリン車では、まだ燃えていない気体が勝手に着火して衝撃を起こす「ノッキング」も、起きにくくする方向に働きます。

別のターボの切断展示。部品ごとに羽根や通路の形は違いますが、排気側と吸気側を軸でつなぐ関係は共通します。Abgasturbolader Querschnitt.jpg — Florian Lindner / 出典 / CC BY 2.5
ボルトくん
インタークーラーは、ターボ本体を冷やすためなの?
ハグルマ先生
主に冷やすのは、ターボで押し縮めた空気ですよ。ターボの軸受や本体は、オイルや冷却水を使う別の仕組みで守ります。
過給圧は、排気の流し方とエンジン制御で調整する
過給圧は、空気を押し込んで高めた圧力です。表示が大気圧から増えた分か、真空から数えた全体かで意味が変わります。大気圧が約1barのとき、それより1bar高ければ、全体の絶対圧は約2barです。
ウェイストゲートは、排気の一部をタービンの羽根を通らない道へ逃がすバルブです。タービンを回すエネルギーを加減し、過給を調整します。羽根へ入る道の形を変える、可変ジオメトリー式もあります。
アクセルを戻したとき、吸気側の圧力を逃がしたり、コンプレッサーの入口へ戻したりするバルブもあります。これは排気側のウェイストゲートとは別です。どのガスを、いつ通すかが違います。
ボルトくん
ブーストを2倍にしたら、馬力も2倍なの?
ハグルマ先生
圧力の数え方、空気の温度と量、燃料、点火、排気の抵抗でも変わるんですよ。単純に2倍とはいきません。エンジンとターボが耐えられる範囲も必要です。
操作してからの遅れと、低回転で力が足りない状態を分ける
アクセルを操作してから、過給が立ち上がるまでの遅れが「ターボラグ」です。排気が増え、回る部品が加速し、空気の管の圧力が上がるまでには時間がかかります。
低回転や軽い負荷で、タービンを回すエネルギー自体が足りないこともあります。これは、操作後に時間がかかる話と分けると分かりやすいです。停車中に待ち続ければ、いつでも最大の過給になるわけではありません。
小さいターボは立ち上がりやすい一方、高回転で多くの空気を送るには限界があります。大きいものは多く送れますが、低回転との両立が難しくなります。排気の道を分けるツインスクロール、複数のターボ、電動の補助などで、使える範囲を広げます。
ボルトくん
ターボが二つなら、低回転から必ず強いの?
ハグルマ先生
二つを同時に使うもの、回転数で使い分けるものがありますよ。大きさや排気の道、制御も違うので、個数だけでは決まりません。
燃費と耐久性は、ターボ単体では決まらない

小さな排気量で必要な力を出せるのは、ターボの利点です。軽い負荷で使うときのむだを減らす設計もあります。ただし、強く加速して空気と燃料を多く使えば、消費も増えます。いつでも低燃費、とは限りません。
ターボの軸受(回転する軸を支える部分)には、オイルをきちんと届ける必要があります。異音、煙、過給不足があっても、本体だけでなく、空気漏れ、バルブ、制御、排気側が原因かもしれません。配管や油の道まで調べます。
大きな負荷をかけた後の止め方は、取扱説明書に従います。油や水での冷却、停止後の制御、走った条件が違うので、全車に同じアイドリング時間は勧められません。過給圧を変えることも、燃料、点火、部品を守る制御に関わります。
ボルトくん
煙が出たら、ターボを替えれば直るの?
ハグルマ先生
オイルの戻る道やエンジン内の圧力、空気と排気の状態も調べますよ。ほかに原因が残っていれば、新品に替えてもまた起きます。
よくある疑問
自然吸気とは何?
自然吸気は、ターボなどで押し込まず、ピストンの動きや圧力の変化で空気を入れる方式です。空気の流れを工夫することは、こちらでも大切です。
ツインターボとツインスクロールは同じ?
ツインターボは、ターボが二つ。ツインスクロールは、一つのタービンへ行く排気の道を二つに分ける仕組みです。名前は似ても、数えているものが違います。
タービンとコンプレッサーは同じ回転数?
一本の軸でつないだ一般的なターボなら、同じ回転数です。ただし羽根の大きさや形、扱うガスは違います。
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