車にはECUというエンジンをコントロールするコンピューターが積まれており、こいつの設定を書き換えると、今までおとなしかった愛車がバケモノマシンに豹変する事もあります。今回は「ECUチューニング」で何を変えるのか、その効果とデメリットをやさしく解説します。
アイキャッチ:車をローラー上で動かす試験設備の例。写真はOpel工場での試験で、ECUの書き換え作業そのものではありません。
Marek Ślusarczyk ( Tupungato ) Photo portfolio / 出典 / CC BY 3.0(一部加工)
部品そのものではなく、エンジンへの指示を変える

Ildar Sagdejev ( Specious ) / 出典 / CC BY-SA 3.0
ECUは、車の装置を制御するコンピューターです。今回扱うのは、その中でもエンジンを担当するECU。センサーから温度や回転数などを読み、燃料を噴く量や火花の時期などを決めます。基本の役割はECUの仕組みにまとめています。
ECUチューニングでは、こうした判断に使う設定やデータなどを変えます。純正ECUのデータを書き換える方法は、リフラッシュなどと呼ばれます。エンジン内部の部品を交換しなくても、動かし方を変えられるのが特徴です。
例えばHKSのフラッシュエディターは、対応車の診断用コネクターにつないで、ECUのデータを書き換える製品です。一方、センサー信号などへ介入する装置や、ECU自体を替える方法もあり、同じ「コンピューターチューン」の名前でも中身は一種類ではありません。[1]
燃料・火花・過給圧などを、組み合わせて調整する

Tiia Monto / 出典 / CC BY 4.0
調整する内容には、燃料を噴く量、火花を飛ばす時期、空気の取り込み方、ターボの過給圧などがあります。ただし、どの項目を変えられるかは車と製品で違います。全てを上げればよい、という設定でもありません。
ターボ車なら、過給圧を変えて、エンジンへ送り込む空気の量を増やす方法があります。しかし空気を増やすなら、燃料や点火、温度、部品の耐久性も考える必要があります。ターボの働きを変える話であって、空気だけ増やせば終わりではないんですね。
また、アクセルの踏み込みに対する反応を変えると、同じ踏み方でも力強く感じる場合があります。これと、最大出力そのものが増えることは別です。体感だけでなく、何が変わった結果なのかを確かめることが大切です。製品ごとの対応項目と条件を確認します。[1][2]
純正には、出力以外にも守りたい条件がある

Spock85 / 出典 / CC BY-SA 4.0
純正の設定は、最大出力だけで決まっていません。燃費、排出ガス、耐久性、燃料の品質、気温、乗りやすさなど、いくつもの条件を考えて作られています。だから、違う条件へ寄せれば、別の面で負担や制約が増える場合があります。
出力やトルク(軸を回す力)を増やすと、エンジンの熱や、クラッチ・変速機などへ伝わる力も増えます。元の部品や冷却能力が、その使い方へ合っているかの確認が必要です。燃費も運転の仕方で変わり、「速くなるうえ、必ず燃費もよくなる」とは約束できません。
指定燃料が変わるデータなら、その条件を守る必要があります。警告灯を消すことや、保護制御を弱めることを、故障の解決と同じように扱うのも避けます。今ある不調を直す作業と、性能を変える作業は分けて考えましょう。
依頼前は「何馬力?」以外の条件も聞く

Veljkoradovanovic / 出典 / CC0
まず確認するのは、車種・型式・年式・ECUの識別情報と、取り付けている部品への適合です。同じ車名でも使えるデータが同じとは限りません。HKSも、対応車や必要な部品、使用条件を製品ごとに指定しています。[2]
次に、推奨燃料、変更する項目、温度や異常への保護、測定と走行確認の内容を確認します。あらかじめ用意されたデータか、実車を測定して合わせる「現車合わせ」かも聞きましょう。現車合わせという言葉だけで、全ての使い方で安全になるわけではありません。[1][2]
公道で使える仕様か、排出ガスや騒音などの基準を満たせるか、車を購入したときの保証と、施工側の保証をどう扱うかも事前に確認します。書き換えだけなら自動的に車検も保証も問題なし、とは言えません。施工記録と元データの扱い、ディーラーでの更新後の対応まで聞いておくと、後で困りにくくなります。[3]




