本文へ移動
メカニズモ
メニュー

オルタネーターとは?発電の仕組み・内部部品・充電警告灯を解説

作業台に置かれた自動車用オルタネーター
作業台に置かれた自動車用オルタネーター。Car alternator on a workbench surrounded by various auto parts in a garage setting.jpg — Shixart1985 / 出典 / CC BY 2.0。

夜にライトを付け、エアコンも使いながら走っても、すぐ電池切れにはなりませんよね。走っている間に電気を作るのがオルタネーターです。発電と充電の関係を見てみましょう。

スポンサーリンク

オルタネーターの役割とバッテリーとの違い

オルタネーターは、エンジンの回転を使って電気を作る発電機です。多くの車では、ベルトを通してエンジンに回してもらいます。その電気がライトやコンピューターなどへ送られ、条件が合えばバッテリーの充電にも使われます。

つまり、バッテリーを使い切ってから発電を始めるのではありません。発電した電気をどこへどれくらい使うかは、電気の使用量や充電状態などで変わります。エンジンが動けば常に全力充電、というわけでもないんですね。

バッテリーは、その電気をためる部品です。停止中や始動時に使い、走行中も発電が足りない分を補います。そして電池の電気を使い、最初にエンジンを回すのがセルモーターです。

  • オルタネーター:エンジンの回転を電気に変える
  • バッテリー:電気を蓄え、必要なときに供給する
  • セルモーター:電気を回転する力に変え、エンジンを始動させる

発電した電気が、全部いったん電池に入ってから使われるわけではありません。電装品にも直接送ります。作る量、使う量、電池の状態で、充電と放電のバランスが変わります。

電気をためる中身はバッテリーの仕組みと役割、最初にエンジンを回す動きはセルモーターの仕組みで説明しています。

ボルトくん

 

ライトを使ってる間は、充電はお休みなの?

ハグルマ先生

 

発電量に余裕があれば、ライトへ電気を送りながら充電もできます。使う量と、作れる量の関係で変わるんですよ。

スポンサーリンク

オルタネーターが発電する仕組みと内部の部品

ベルトの回転で、内側のローターを回す

Jeep 2.5Lエンジンの前側に取り付けられた例。前面の溝付き輪がプーリーです。この写真ではベルトが付いた作動状態を確認していません。
プーリーを持つ発電機の取り付け位置
Jeep 2.5Lエンジンの前側に取り付けられた例。前面の溝付き輪がプーリーです。この写真ではベルトが付いた作動状態を確認していません。Jeep 2.5 liter 4-cylinder engine chromed e.jpg — CZmarlin — Christopher Ziemnowicz, releases all rights but a photo credit would be appreciated if this image is used anywhere other than Wikipedia. Please leave a note at Wikipedia here. Thank you! / 出典 / Public domain

オルタネーターは、自分の力で勝手に回っているわけではありません。エンジンの回転を、ベルトと「プーリー」という円盤で受け取ります。その力で、発電機の中のローターが回ります。回転する部分をベアリングで支えながら、磁気の働きを使って電気を作るんです。

一般的な車用のローターには、電気を流すと磁力を作るコイルがあります。つまり電磁石です。この電磁石を回すと、周りで磁石の力が働く向きや強さが変わります。この磁石の力が働く範囲を、磁界といいます。

止まっているステーターに、電気が生まれる

従来型オルタネーターの構造図です。Roottoriは回るローター、Staattoriは周りのステーター。電気を渡すブラシとスリップリング、交流を直流にする整流器も見られます。全車が同じ方式ではありません。
回転側と固定側を分けた断面
従来型オルタネーターの構造図です。Roottoriは回るローター、Staattoriは周りのステーター。電気を渡すブラシとスリップリング、交流を直流にする整流器も見られます。全車が同じ方式ではありません。Automotive alternator.jpg — Pentti Immonen / 出典 / Public domain (Finnish Copyright Council TN 2011:12; Commons PD-ineligible)
上の断面図にある英語・フィンランド語の名称
図の表記 日本語 役割
Roottori / Rotor ローター 内側で回り、磁界を変える
Staattori / Stator ステーター 外側に固定され、電圧を生む
Liukurenkaat スリップリング 回るローターのコイルへ通電する接点
Voltage regulator and brush holders レギュレーターとブラシホルダー 発電の調整と、ブラシの保持
Tasasuuntaaja / Rectifier 整流器 交流を直流へ変える
Laakeri / Bearing 軸受 回る軸を支える
Tuuletin / Fan ファン 冷却の空気を動かす

外側には、「ステーター」という巻いた線と鉄心があります。こちらはケースに固定され、回りません。

内側の磁石が回り、磁界が変わると、外側の線に電圧が生まれます。これが「電磁誘導」です。内側は回す役、外側は発電する役、と分けると分かりやすいです。

一般的なオルタネーターは、電圧が変わるタイミングの違う三系統で「三相交流」を作ります。コイルが単に三個だけある、という意味ではありません。

ブラシとスリップリングが、回るコイルへ電気を送る

回っているローターのコイルにも、磁力を作る電気を送ります。そのために、固定側のブラシを、軸と一緒に回るスリップリングへ当てます。回る部品と止まった部品の間で、電気を渡せるんです。

ブラシが送るのは、磁石を作るための電流です。発電した方の電気は、止まっているステーターから取り出し、整流器へ送ります。

プーリー、巻く線の形、冷やし方は製品によって違います。外が似ていても、出せる電気や制御が同じとは限りません。

ボルトくん

 

止まってるステーターで、どうして電気ができるの?

ハグルマ先生

 

線自体が動かなくても、そこを通る磁界が変われば電圧が生まれますよ。内側の磁石を回して、その変化を作っているんです。

交流を直流に変え、発電量を調整する仕組み

整流器で、車に使える直流へ変える

レギュレーターを取り外した実物です。内部にある整流器の外観を見られます。ダイオードの本数や各端子の極性は、写真だけから決めません。
整流器が見えるオルタネーターの後側
レギュレーターを取り外した実物です。内部にある整流器の外観を見られます。ダイオードの本数や各端子の極性は、写真だけから決めません。LiMa Gleichrichter IMG 2553.JPG — Hans Haase / 出典 / CC BY-SA 4.0

ステーターで作る交流は、電圧の向きが繰り返し入れ替わります。一方、電池や車の多くの装置は、直流を使います。

そこで、ダイオードを組み合わせた整流器、レクティファイアーを使い、交流を直流に変えます。ダイオードの数と組み合わせは、製品によって違います。

直流は、電流の向きが一定ということです。大きさまでいつも一定、という意味ではありません。整流した後にも、細かな変動は残ります。

レギュレーターで、磁力と発電量を調整する

エンジンの回転数も、ライトや送風機の使い方も変わります。回転に任せて発電すると電圧が上がりすぎるので、レギュレーターがローターの電流を調整します。磁力を変えて、発電を加減するわけです。

充電制御のある車は、車側のコンピューターとも連携します。電池と走行の状態に合わせるので、エンジンが動けばいつも同じ発電量、というわけではありません。

ボルトくん

 

グラフがまっすぐじゃなかったら、交流なの?

ハグルマ先生

 

大きさが変わっても、電流の向きが同じなら直流ですよ。線が揺れているかだけでなく、向きが入れ替わるかを見るんです。

発電に使う力は、エンジンから受け取る

発電も、ただではありません。電気を作るための力を、ベルトでエンジンからもらっています。コイルや整流器で失う分は熱になるので、冷やすことも必要です。

Vは電圧、Aは電流、Wは電力の単位です。電気を流そうとする働きの大きさと、流れる電流の大きさから、作る電力を計算します。次の数字は計算の例なので、「発電にもエンジンの力が要る」と分かれば先へ進んで大丈夫です。

例えば14Vで50Aを出す瞬間なら、電気の出力は14×50で700Wです。損失があるので、エンジンから借りる力は、それより大きくなります。単位を見る例で、全車がいつも14V、50Aという意味ではありません。

充電制御は、使う電気、電池、走行の状態を見て、エンジンへの負担も調整します。足りない分を電池が補うことと、燃費を考えて発電を変えることを、一緒に見ると仕組みが分かります。

ボルトくん

 

ライトをいっぱい使っても、エンジンの負担は同じなの?

ハグルマ先生

 

電気を作る力もエンジンからもらうんですよ。使う量、電池の状態、発電の調整で、負担のかかり方は変わります。

故障症状と、充電警告灯が点いたときの対処法

故障を疑うサインは、警告灯・電力不足・異音など

不調は、発電不足、充電しすぎ、異音として出ることがあります。ただし、別の部品でも似た症状は起きます。

  • エンジン回転中に充電警告灯が点く:発電機本体のほか、ベルト、配線、端子、制御系統などの異常が考えられます。
  • バッテリー上がりを繰り返す:発電不足に加え、バッテリーの劣化、使い方による充電不足、駐車中の電力消費なども確認します。
  • ライトが不自然に暗くなる・ちらつく:電圧の不安定さ、配線や接続部の不良、ライト側の故障などが候補です。
  • ベルト付近から異音がする:ベルトの滑り、ベアリング、ベルトの張りを保つテンショナー、ほかの補機などが考えられます。音の位置だけでは断定できません。
  • バッテリーに異常な発熱や刺激臭がある:過充電やバッテリー自体の異常も考えられます。触ったり火気を近づけたりせず、使用を中止して救援を依頼してください。

電池マークの警告灯は、電池の交換時期だけを知らせるものではありません。一般には、充電の系統の異常を示します。実車での意味は、その車の説明書で確認します。

走行中に点いたら、安全な場所に停車して連絡する

走行中に点いたら、周りの交通に注意して安全な場所へ止まり、販売店やロードサービスへ連絡してください。

発電が止まっても、電池の残りで少し動けることはあります。ただ、いつ足りなくなるかは分かりません。走行中に止まる、かけ直せなくなることもあるので、あと何kmなら大丈夫とは判断できません。

どの警告やメッセージが出たか、音や臭いがあるかを伝えましょう。止めた後にエンジンを切るかなどは、説明書と救援先の案内に従います。ヤリスの取扱説明書も、安全な場所で停車して連絡するよう案内しています。

  • 作動中のベルトやプーリーに、手や工具を近づけないでください。
  • 発電確認のために、エンジン回転中のバッテリー端子を外してはいけません。電圧の急変で電子機器を損傷するおそれがあります。
  • 煙、焦げ臭さ、強い異音がある場合は点検を試みず、安全を確保して救援を求めてください。

電池の不良と、発電の不良をどう分ける?

端子などがある後側の外観例。この写真だけで各端子の用途や内部の整流回路を断定せず、製品の配線資料で照合します。
オルタネーター後部の実物
端子などがある後側の外観例。この写真だけで各端子の用途や内部の整流回路を断定せず、製品の配線資料で照合します。Automotive alternator. Terminals.jpg — Zinnsoldat / 出典 / CC BY-SA 3.0

かかりにくい原因は、電池の電気不足でも、発電の不調でも起きます。新品の電池で一度かかっても、充電されなければ、また上がってしまいます。

整備工場では、電池の充電状態と性能、ベルト、配線、アース、発電する量、制御を調べます。発電機が元気でも、つなぎ目が通りにくくなって、電気が届かないことがあるからです。

電圧を一度測っただけでも決められません。使う電気、温度、測る条件、充電制御で値が変わります。その車の基準に合わせます。

朝だけか、走っていても起きるか。警告、音、臭いはあるか。電池をいつ替えたか。分かる範囲で伝えると、点検の手がかりになります。

ボルトくん

 

ライトが明るければ、警告灯が点いても走っていいの?

ハグルマ先生

 

ライトだけでは分からないんですよ。電池の残りで点いている場合もあります。安全な場所に止まり、連絡してください。

オルタネーターの寿命と交換費用

寿命は、何年、何万kmと共通には決められません。ブラシやベアリングの摩耗、熱、水や油の侵入、ベルトの状態でも変わります。使い方と点検結果から、修理や交換を判断します。

修理費も、原因で違います。本体を替える場合も、ベルトや配線だけ直す場合もあります。まず原因を調べると、必要のない交換を避けられます。

本体を替えるなら、車種、部品の種類、外して付ける手間で金額が変わります。見積もりは、下の項目を分けて見ると比べやすいです。

  • 部品代:新品・リビルト品などの区分と、車種への適合
  • 作業費:交換工賃、点検・診断料
  • 関連部品:ベルトなども交換する場合の理由と追加費用
  • 保証:部品と作業、それぞれの保証内容

リビルト品は、使った部品を分解、点検し、必要な部品を替えるなどして再生したものです。安さに加え、その車に合うか、保証はどうかも確認します。

発電機を替えても、電池や配線に問題が残っていれば直りきりません。充電の仕組み全体を見てもらうことが大切です。

ボルトくん

 

一番安い見積もりにすればいいの?

ハグルマ先生

 

同じ部品と作業が入っているかを見ましょう。診断料、ベルト、保証が違うと、合計だけでは比べにくいんですよ。

オルタネーターのよくある疑問

アイドリング中も発電してるの?

普通の発電機は、アイドリングでも回っています。ただし回転数と制御で発電量は変わります。使う電気の方が多ければ、電池が足りない分を補います。

長くアイドリングすれば、どんなバッテリー上がりも直るわけではありません。発電の不調や電池の劣化なら、原因を確認する必要があります。

ジャンプスタートでエンジンがかかれば、そのまま走れるの?

かかっただけでは、充電が正常とは分かりません。充電の警告が消えない、異音がある、また電気が足りなくなるなら、走り続けず点検を受けます。

救援で始動できるか、どこにつなぐかは車ごとに違います。説明書を確認し、分からなければロードサービスへ依頼してください。

ボルトくん

 

前に家の車でやったつなぎ方なら、ほかの車でも使えるの?

ハグルマ先生

 

接続する場所や注意点が違うかもしれませんよ。作業する車の取扱説明書で確認しましょう。

ボルトくん

 

覚えてる手順だけで始めちゃダメなんだね。

ハグルマ先生

 

迷ったら無理に試さず、ロードサービスに頼みましょう。

ハイブリッド車やEVにも、同じ部品があるの?

一般的なオルタネーターを使わず、走行用電池の電圧をDC-DCコンバーターで下げ、補機電池や装置へ送る車もあります。発電とエンジンのかけ直しを兼ねるISGを使う車もあります。

ハイブリッドという名前だけでは決まりません。24Vの商用車なども含め、その車の仕組みに合う確認が必要です。

オルタネーターは、回転で作った交流を直流へ変え、量を調整して車へ送ります。不調なら本体だけでなく、電池、ベルト、配線も点検します。走行中に充電の警告が出たら、安全な場所で止まって連絡してください。

関連記事

車のバッテリーの仕組み|鉛蓄電池の構造と充放電/ECUの役割と仕組み|エンジン制御の流れ/車のバッテリーの寿命と手入れ|点検・充電・交換の判断

参考資料

スポンサーリンク
この記事を書いた人
ハグルマ先生のイラスト

ハグルマ先生

メカニズモ編集長

2016年より自動車業界に携わり、輸入車ディーラーや中古車販売店などで実務経験を積む。

自動車専門ウェブメディアの運営にも携わり、業界で培った知識と講師としての経験を活かしながら、車の構造や部品、メンテナンスに関する情報を分かりやすく発信している。

著者プロフィール・執筆記事一覧