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車のブレーキの仕組み|液圧・ディスク・ドラム・倍力装置を解説

Porscheの前輪に取り付けられたブレーキディスクとキャリパー
Porscheの前輪に取り付けられたブレーキディスクとキャリパー。Porsche-Scheibenbremse rechts vorne, 4.jpeg — Renardo la vulpo / 出典 / CC BY-SA 4.0。

足でペダルを踏むと、離れたタイヤが減速します。足の力を、どうやって届けているのでしょうか?液体で伝える道と、車輪で摩擦を作る部品を見ていきます。

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フットブレーキは減速用、パーキングブレーキは駐車用

フットブレーキは、走る車を減速、停止させるためのものです。普通は右足で踏み、必要な効き方を調整します。

パーキングブレーキは、駐車した車を動かさないためのものです。手のレバー、足のペダル、電動のスイッチなどがあります。

駐車用にも足踏み式があります。足で踏むから全部、走行中の減速用ではありません。操作する方法より、何のために使うかで分けましょう。

ボルトくん

 

足で踏む駐車用も、フットブレーキなの?

ハグルマ先生

 

足を使っても、駐車を保持する役ですよ。走行中に止めるものと、駐車しておくものを分けると分かりやすいです。

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液体の圧力で、ペダルの力を車輪へ伝える

白い半透明タンクがリザーバー。その下側へマスターシリンダーを組み合わせ、奥には倍力装置があります。タンクそのものが液圧を増幅するわけではありません。 白い容器の奥にある黒い円盤状のケースがブレーキブースターです。
フルードを蓄えるタンクとマスターの位置
白い半透明タンクがリザーバー。その下側へマスターシリンダーを組み合わせ、奥には倍力装置があります。タンクそのものが液圧を増幅するわけではありません。 白い容器の奥にある黒い円盤状のケースがブレーキブースターです。Brake master cylinder and reservoir.JPG — Ballista / 出典 / CC BY-SA 3.0

一般的な油圧式は、踏む力を助けて、液体の圧力へ変えます。その圧力をタイヤ側まで届けます。基本の流れは下のとおりです。

  1. ブレーキペダルを踏むと、てこの作用で力が伝わります。
  2. ブレーキブースターが、踏む力を補助します。
  3. マスターシリンダーが、機械的な力をブレーキフルードの圧力に変えます。
  4. 圧力が、配管やホースを通って車輪側へ伝わります。
  5. ピストンが摩擦材をローターやドラムに押し付け、車輪の回転を抑えます。

この液体が、ブレーキフルードです。管を通して、遠くの車輪へ力を伝えます。

電動化した車には、ペダルをセンサーで読み、装置が圧力を作る方式もあります。全部が同じ構成ではありません。部品の大きさと圧力はマスターシリンダーの径と踏み心地で解説しています。

ボルトくん

 

足の力は、どうやってタイヤまで届くの?

ハグルマ先生

 

普通の油圧式は、液体の圧力で届くんですよ。車輪側のピストンが、その圧力で摩擦材を押します。

ディスクブレーキは、回る円盤をパッドで挟む

Chevrolet Bolt EVの前輪。中央の円盤がローター、その周囲をまたぐ部品がキャリパーです。EVでも摩擦ブレーキを備えます。
ホイールを外した前輪ブレーキ
Chevrolet Bolt EVの前輪。中央の円盤がローター、その周囲をまたぐ部品がキャリパーです。EVでも摩擦ブレーキを備えます。2020 Chevrolet Bolt EV front disc brake 1.jpg — 4300streetcar / 出典 / CC BY 4.0

ディスク式は、タイヤと回る円盤「ローター」を、両側からパッドで挟みます。パッドを持ち、ピストンで押す部品がキャリパーです。

片側のピストンと本体の動きで挟むフローティング型と、両側にピストンのある対向型があります。どちらも、パッドと円盤の摩擦で回転を抑えます。

円盤が外の空気に触れるので、熱と水を逃がしやすいのも特徴です。ただし、熱くなりすぎても効きが変わらない、という意味ではありません。

パッドは使うと減ります。残りや音が気になる場合はブレーキパッドの交換時期と点検の目安も確認してください。

ボルトくん

 

円盤の横の大きな部品は、何なの?

ハグルマ先生

 

キャリパーですよ。中のピストンがパッドを押し、円盤を挟みます。

ドラムブレーキは、内側からシューを押し付ける

ドラム式は、タイヤと回る円筒へ、内側からシューを押し付けます。シューに摩擦材があり、油圧式はホイールシリンダーのピストンで動かします。

方式と回る向きによっては、ドラムがシューを引き込む力を使い、押す力を増やせます。これが「自己倍力作用」です。

一方、摩擦面が内側なので、熱を外へ出す工夫も必要です。効きと、熱の逃がし方を両方考えて作ります。

前だけディスク、後ろはドラムの車も、四輪ディスクの車もあります。重さと使い方に合う設計なので、名前だけで車全体の止まる性能は決まりません。

取り外されたブレーキシューの展示。弓形の金属の外周に摩擦材が付いています。この外周を、車輪とともに回るドラムの内面へ押し付けます。
ドラムの内側へ押し付ける弓形のブレーキシュー
取り外されたブレーキシューの展示。弓形の金属の外周に摩擦材が付いています。この外周を、車輪とともに回るドラムの内面へ押し付けます。Brake shoes.jpg — Maly LOLek / 出典 / CC BY-SA 3.0

ボルトくん

 

ドラムは、外から挟まず、中から押すの?

ハグルマ先生

 

そうですよ。シューを内側から押します。回る力で押し付けを強める働きも、形式と向きによって使えます。

ブースターが、ペダルを押す力を助ける

ブレーキブースターは、少ない足の力でブレーキをかけられるように助けます。負圧式は、大気より低い圧力との差で、マスターシリンダーを押します。負圧は、吸気や真空ポンプなどから得ます。

モーターで助けるものもあります。BoschのiBoosterがその例です。全部をエンジンが吸う力で動かすと覚えると、EVやハイブリッドの仕組みを見落とします。

極端に重い、踏んでも十分減速しないなら、いつもの感触との違いで済ませないでください。安全な場所へ止まり、整備工場や救援先へ相談します。

ボルトくん

 

すごく重くても、強く踏めばそのまま走っていいの?

ハグルマ先生

 

異常かもしれないので、走り続けないでください。安全な場所に止まり、整備工場やロードサービスへ相談しましょう。

パーキングブレーキは、車輪側の仕組みもさまざま

パーキングには、車輪側で力を保つ部分と、操作を届ける部分があります。代表的な車輪側の作りは、下の三つです。

  • 後輪のドラムブレーキを、走行用と駐車用で共用する方式
  • ディスクローターの中央に、駐車用の小さなドラムブレーキを組み込む方式
  • ディスクブレーキのキャリパーに、駐車用の作動機構を組み込む方式

電動式は、そうした仕組みをモーターで動かします。キャリパーに付けるものも、ケーブルを引くものもあります。電動という名前だけで、車輪側の構造は決まりません。

電動でも、摩擦材と機械の点検は必要です。一時的な停止を助けるホールドと、駐車のパーキングも別の役です。働く条件と解除は、説明書で確認します。

ボルトくん

 

電動パーキングなら、点検しなくていいの?

ハグルマ先生

 

操作を電動にしているだけで、中には摩擦材と機械がありますよ。点検は必要です。

回生は電気を回収し、ABSはロックを抑える

ハイブリッドやEVは、減速中にモーターを発電機として使い、エネルギーの一部を電気へ戻します。これが回生ブレーキです。

摩擦ブレーキと合わせて減速します。戻せる量は、電池の状態や走行条件で変わります。

ABSは、急ブレーキなどでタイヤがロックし続けないように、かけ方を調整します。摩擦を作るのはディスクやドラムです。作動の感触と踏み方はABSの仕組みと正しい踏み方で説明しています。

ボルトくん

 

ABSも、電気を戻しながら止まるものなの?

ハグルマ先生

 

電気を戻すのは回生ですよ。ABSは、タイヤがロックし続けないよう、ブレーキを調整するものです。

長い下り坂と、いつもと違う踏み心地に注意する

実物のパッドとローター。使ううちに摩耗する部品で、厚さと表面状態の点検が必要です。
パッドとローターの接触面
実物のパッドとローター。使ううちに摩耗する部品で、厚さと表面状態の点検が必要です。Brake pads.JPG — Amm105 / 出典 / CC BY-SA 3.0

ペダル、助ける装置、液の道、車輪の摩擦部品が、一緒に働きます。最後に地面へ力を伝えるのはタイヤです。部品が正常でも、タイヤと路面には限界があります。

長い下りで踏み続けると、熱がたまり、効きが落ちるおそれがあります。説明書に従い、適したギアや減速機能も使います。

摩擦材が熱くなり効きが落ちるのがフェード。液が沸騰して圧力を伝えにくくなるのがベーパーロックです。どちらも熱が原因ですが、起きる場所が違います。

効きが弱い、ペダルの感触が大きく変わる、音や警告が続くなら、自己流で分解や調整をせず、点検を受けます。仕組みを知ると、変化にも気づきやすくなります。

ボルトくん

 

ディスクなら、下りでずっと踏んでも大丈夫なの?

ハグルマ先生

 

ディスクも、熱くなりすぎれば効きが落ちますよ。説明書に従い、適したギアと減速機能も使いましょう。

速度が2倍になると、ブレーキが受け持つ熱はどう変わる?

車が持つ運動エネルギーは、同じ重さなら速度の2乗に比例します。1,500kgを50km/hから止める単純計算は約145kJ。100km/hでは約579kJで、約4倍です。kJはキロジュール、エネルギーの単位です。

ここでは車輪の回転、空気抵抗、回生などを省いています。全部が四輪の円盤へ均等に入るわけではありません。ただ、速度が上がると熱の負担が急に増える理由は分かります。

円盤を大きくする、熱を逃がす、タイヤが地面へ伝える。この三つは別の条件です。一回でどれくらい止まれるかと、何度も効きを保てるかも分けます。

ボルトくん

 

速度が2倍なら、熱も2倍くらいなの?

ハグルマ先生

 

同じ重さなら、運動エネルギーは速度の2乗ですよ。この計算では約4倍です。何度も減速するなら、熱を逃がす余裕も必要ですね。

よくある疑問

パッドが車体を直接止める?

パッドが円盤の回転を抑え、タイヤが地面へ力を伝えて減速します。摩擦部品と接地の両方が大切です。

回生があればパッドは不要?

回生は電池と走行条件で量が変わります。摩擦ブレーキも使うので、パッドの点検は必要です。

関連記事

ABSの仕組み|作動時のブレーキ操作と警告灯の注意点/ブレーキマスターシリンダーの径と液圧・ストロークの関係/ブレーキパッドの交換時期|残量・偏摩耗・異音の確認

参考資料

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この記事を書いた人
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ハグルマ先生

メカニズモ編集長

2016年より自動車業界に携わり、輸入車ディーラーや中古車販売店などで実務経験を積む。

自動車専門ウェブメディアの運営にも携わり、業界で培った知識と講師としての経験を活かしながら、車の構造や部品、メンテナンスに関する情報を分かりやすく発信している。

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