【簡単解説】ABSの構造と仕組み

【簡単解説】ABSの構造と仕組みシャーシ

ABSとは、アンチロック・ブレーキ・システムの略で、急ブレーキ時などにタイヤがロックするのを防ぐ装置のことです。もう少し詳しく見てみましょう。

スポンサーリンク

そもそもロックとは?ロックするとどうなるの?

【簡単解説】ABSの構造と仕組み

タイヤロックとは走行中に急ブレーキをかけると起きる現象のことです。タイヤがロックすると、タイヤが回転せず、ただ路上をスリップするだけの状態になります。この時、制動力もハンドル操作も機能しなくなります。このタイヤロック状態に陥ると、ロックするまで進んできた方向に、スリップしながら進んでいきます。

関連:【簡単解説】ブレーキの種類と仕組み

ABSとは

【簡単解説】ABSの構造と仕組み

このタイヤロック状態から抜け出すには、一度ブレーキを緩めてタイヤを回転させるようにして、タイヤロックから抜け出したら、再びブレーキを踏むという操作が必要になります。

しかし、この操作を完璧にこなすのはプロのレーシングドライバーでも不可能でしょう。そこでこの操作を自動で行うのがABSなのです。

ABSの構成と仕組み

【簡単解説】ABSの構造と仕組み

ABSは主にABSコントロールユニット、ABSアクチュエーター、各車輪の回転速度を計るセンサーで構成されています。ABSが作動する流れとしては

1.強くブレーキを踏む

2.センサーがロックしそうなタイヤを検知

3.アクチェーターが働き、余分な油圧をポンプで吸い上げブレーキを弱める

4.ブレーキが弱まったタイヤは回転しはじめる

5.ブレーキのかかっていないタイヤは回転が速くなる

6.アクチュエーターが働き、ポンプで油圧を送り出してブレーキを強める

といった流れを数ミリ秒という短い時間で2~6までを繰り返し、車両が十分減速するまで行います。

ABSのデメリット

ABS装着車はスピードや路面状況によって、ABS非装着車より制動距離が伸びることがあります。例えば、砂利道や未舗装路、新雪の積もった道路などといったシチュエーションです。このような路面状況では、タイヤの進行方向に砂利や砂、雪が集まって大きな抵抗となり、ABSが付いていない車の方が制動距離が短くなる傾向にあります。それでもABSは車両のコントロールを失うリスクを重く見ていることから、現代の車のほとんどに採用されています。

ABSの歴史と現在

【簡単解説】ABSの構造と仕組み

ABSは1936年に、ドイツにある「ロバートボッシュ社」が鉄道用に開発したのが始まりです。自動車では1969年に、フォードのコンチネンタルマーク3が初めてのABSを搭載。日本で1982年に日産のプレジデントで初めて採用されました。現在では2014年11月以降の新型車、および2017年2月には継続生産車へのABS装着が義務づけられています。

この記事を書いた人
自動車ライター
YOSHIKI

1999年 東京生まれ。幼少期を自動車大国アメリカで過ごし、車に興味を持つ。レンタカー屋やBMW正規ディーラーを経て都内高級中古車ディーラーに勤務。愛車はGR スープラ RZ。

YOSHIKIをフォローする
シャーシ
スポンサーリンク
メカニズモ