タイヤの空気圧は、見た目だけで判断できるのでしょうか。どこに書かれた数字を、いつ確かめればよいか見てみましょう。
1.適正な空気圧は、車両の表示で確認する
基準になるのは、運転席ドアの開口部などにある空気圧表示シールや、車両の取扱説明書です。同じ車種でもタイヤサイズで指定値が違う場合があります。前後輪や、乗車人数・荷物の量で値が分かれていないかも確認してください。
タイヤの側面にある最大空気圧などを、ふだんの設定値にしてはいけません。車両の表示で装着サイズに合う欄を探し、前後の値と単位を読みます。JATMAの空気圧点検案内でも、指定空気圧の確認から始める手順を示しています。
- kPa:日本の表示シールやゲージでよく使われる単位です。
- bar:1barは100kPaです。例えば240kPaは2.4barです。
- psi:海外製のゲージなどで使われます。kPaと数値をそのまま比較せず、表示を切り替えるか換算します。
240kPaは換算の例であり、おすすめの設定値ではありません。純正からタイヤサイズや規格を変えた場合は、元の表示値をそのまま使えるかも確かめます。必要な荷重を支えられる空気圧について、タイヤ販売店へ相談してください。

Dodge DartのTIRE AND LOADING INFORMATION表示。COLD TIRE INFLATION PRESSUREは冷間時の空気圧という意味です。前後235kPa/34psiはこの車の例で、自分の車では自分の表示を読みます。Tire and Loading Information.jpg — SCBY / 出典 / CC BY-SA 4.0。
ボルトくん
タイヤの横に書いてある圧力まで入れればいいの?
ハグルマ先生
側面の最大空気圧などは、その車の設定値ではありません。車両の表示シールや取扱説明書で、装着サイズと前後の指定を確かめます。
2.月に1回、走行前の冷えたときに測る
空気圧は、使わなくても自然に下がり、外気温でも変わります。あまり乗らない車にも点検が必要です。ブリヂストンの空気圧管理案内は、最低でも月に1回の点検と、走行前の冷えた状態での測定を勧めています。
走った後はタイヤの中が温まり、空気圧も上がります。冷間時の指定値より高く表示されても、すぐに入れすぎとは判断できません。温まったタイヤから、冷間時の指定値に合わせるために空気を抜かないようにしましょう。冷えてから不足するおそれがあります。
給油所で測ってもらうなら、そこまで走ってきたことをスタッフに伝えてください。温間時の扱いはタイヤ・車両の指示に従い、後で冷えた状態でも確認します。何kmまでなら冷間扱い、という一律の判断は避けましょう。できれば出発前に測る習慣をつけると確実です。
スペアタイヤを積んでいる場合は、そちらも確認してください。特に応急用タイヤは通常のタイヤと指定空気圧が違う場合があるため、4輪と同じ値にそろえないでください。
ボルトくん
走った後に指定値より高かったから、少し抜いておけばいい?
ハグルマ先生
温まって上がった圧力を、冷間の指定値まで下げないでください。冷えたときに不足するおそれがあります。
3.見た目や手の感覚に頼らず、ゲージを使う
空気圧が足りなくても、見た目があまり変わらないタイヤがあります。指で押した感触ではなく、適切に管理されたエアゲージで測ってください。自分のゲージなら給油所のものより正確、とも限りません。機器の状態や測定範囲、バルブへの当て方が関わります。
- 交通の妨げにならない平坦で安全な場所に駐車し、車両を動かない状態にします。
- 指定空気圧、タイヤの温度状態、ゲージの単位を確認します。
- バルブキャップを外し、ゲージの口をバルブにまっすぐ、空気が漏れ続けないように当てて測ります。
- 4輪それぞれの値を確認し、冷間時に不足していれば、機器と車両の説明に従って指定値へ調整します。
- 再測定して値を確かめ、キャップを戻します。機器の扱いに不安がある場合はスタッフに依頼します。
測定日と4輪それぞれの値を残すと、一本だけ減りが早いことにも気づきやすくなります。値が安定しなければ、当て方やゲージの不具合も考えられます。別の機器や販売店で確かめてください。

タイヤのバルブへ測定器を接続した実例。外側はbar、内側はlbf/in²の目盛りです。表示されている数値は、その車の指定空気圧を示すものではありません。ReifendruckPruefen.jpg — JEG14 / 出典 / Public domain。
ボルトくん
一回測るたびに値が違うのは、タイヤが悪いのかな?
ハグルマ先生
当て方やゲージの状態でも値は変わります。安定しないときは、別の機器や販売店で確認しましょう。
4.TPMSや窒素ガスがあっても、定期点検を続ける

タイヤを外したホイールと直接式センサーの実物。空気圧を直接測る方式の例で、すべてのTPMSがこのセンサーを使うわけではありません。Tire pressure sensor in tire.jpg — TpmsReset / 出典 / CC BY-SA 4.0。
TPMSは、空気圧の低下を知らせる仕組みです。タイヤ内のセンサーで圧力を測る直接式と、車輪の回転などから変化を推定する間接式があります。何を表示し、どの条件で警告するかは車種によって違います。
警告が出ていないからといって、4輪とも指定値どおりとは限りません。トヨタの取扱説明書にも、空気圧警報システムは日常点検の代用ではないと記載されています。調整や交換の後に初期化する車では、先に実際の空気圧を正しく整え、その車の手順に従います。表示を消したいという理由だけで初期化しないでください。
窒素ガスを入れていても、漏れや温度の変化に気を配る必要があります。ミシュランの充填案内でも、窒素を使っていても定期的な補充が必要としています。
ボルトくん
空気圧の警告がないなら、今月は測らなくていい?
ハグルマ先生
警告がないことは、すべて指定値どおりという保証ではありません。TPMSを使っていても、ゲージでの定期点検を続けてください。
一本だけ減る、警告が繰り返すときは点検へ

空気圧が著しく不足したトレーラー用タイヤの摩耗例。乗用車の試験結果ではなく、摩耗形状だけで原因を確定するものでもありません。Tire Severe Under Inflation Wear.jpg — Christopher Ziemnowicz (CZmarlin) / 出典 / Public domain。
同じ一本だけ短期間で空気圧が下がるなら、釘などの異物、バルブ、タイヤとホイールの接合部などを調べる必要があります。繰り返し足して済ませず、タイヤ販売店へ相談してください。
著しい空気圧不足、側面の膨らみ、深い傷、走行中の強い振動があるときは、そのまま走行したり、自己判断で再充填したりしないでください。低い空気圧のまま走ると、見えない内部まで傷んでいる場合があります。安全な場所へ止まり、ロードサービスや販売店へ対応を頼んでください。
空気圧を測るときに、溝や傷、ひび割れも一緒に見ておきましょう。交換が必要な状態の見分け方は、タイヤの交換時期を判断するポイントで解説しています。サイズ表示や内部構造を知りたい場合は、タイヤの構造と表示の読み方も参考にしてください。
ボルトくん
すぐ減るけど、走る前に空気を足せば使えるかな?
ハグルマ先生
継ぎ足すだけでは原因が残ります。特に著しい不足や膨らみ、深い傷、強い振動がある場合は、走行や自己判断の再充填を避けて相談してください。
空気を足した後も、減り方を見る理由
一度補充して指定値に戻ったことと、空気が漏れていないことは別です。一本だけ早く減るときは、釘などによる損傷、バルブ、タイヤとホイールの接触部分なども調べる必要があります。
温度で空気圧は変わります。前回と比べるなら、走行前の冷えた状態など、できるだけ同じ条件で測ります。走行して温まった数字と、翌朝の冷えた数字を比べて、差のすべてを漏れと決めつけないようにします。
著しく低い空気圧で走ったタイヤは、内部が傷んでいる可能性もあります。空気を足しただけで安全になったとは判断できません。低圧のまま無理に走らず、状態を整備先へ伝えて、使用を続けられるか確認します。
ボルトくん
空気を足して数字が戻れば、タイヤの傷みも直る?
ハグルマ先生
空気圧は戻っても、低圧で走ってできた内部の傷みは戻りません。大きく減った理由と、タイヤの状態を点検してもらいます。
よくある疑問
240kPaは何psi?
換算すると約34.8psiです。これは単位の計算例で、240kPaを全車の指定値にする意味ではありません。
窒素を入れたら空気圧点検は不要?
不要にはなりません。自然な低下、温度変化、損傷などがあるため、車両指定値と定期点検を守ります。
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