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スパークプラグとイグニッションコイル|役割・火花・熱価の仕組み

四つのプラグ接続部が並ぶOpel Z18XE用点火コイルモジュール
四つのプラグ接続部が並ぶOpel Z18XE用点火コイルモジュール。Ignition coil module.jpg — Cschirp / 出典 / CC BY-SA 3.0 de。

ガソリンエンジンには、「スパークプラグ」と「イグニッションコイル」という部品が付いています。

名前だけ聞くと必殺技ですが、どちらもエンジンの中で火花を飛ばすための大事な裏方。アクセルを踏んでも走れるのは、あなたの気合いではなく、この二人が働いているおかげです。

では、なぜ火花を飛ばすのに二つも部品が必要なのでしょうか? 今回はそれぞれの役割と、プラグ選びで登場する謎の数字「熱価」について、やさしく解説します。

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コイルが電圧を作り、プラグが燃焼室で火花を飛ばす

Opel Z18XE用の一体型部品。プラグにつながる四つの部分が並びます。コイルの外形と配置は、車種で異なります。
四気筒用のコイルモジュール
Opel Z18XE用の一体型部品。プラグにつながる四つの部分が並びます。コイルの外形と配置は、車種で異なります。Ignition coil module.jpg — Cschirp / 出典 / CC BY-SA 3.0 de

一般的なガソリンエンジンでは、空気と燃料を混ぜたものに、火花で火を付けます。その火花を飛ばす部品がスパークプラグ、つまり点火プラグです。先端は、燃料を燃やす空間に顔を出しています。

ただし、火花を飛ばすには高い電圧が必要です。そこで、コイルに流す電気を切り替え、点火に必要な高電圧を作ります。この役がイグニッションコイル。プラグに電池をつなぐだけで済む話ではないんですね。

プラグは、シリンダーヘッドへねじ込んで付きます。コイルを真上に置く方式がコイル・オン・プラグ。離れたコイルから高圧コードでつなぐものや、複数を一つのケースにまとめるものもあります。

ボルトくん

プラグって、ずっと火が付いてるの?

ハグルマ先生

小さな火花を、必要なタイミングで飛ばします。ろうそくのように燃え続けているわけではありませんよ。

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コイルは、電気と磁気の変化を利用する

コイルの中には、鉄心と、ぐるぐる巻いた二組の電線があります。この二組は、巻いた回数が違います。まず一次側という方へ電流を流すと、磁気の働きによってエネルギーが蓄えられます。電気をそのままためる電池とは違い、電気と磁気の変化を使うのが、この部品のポイントです。

火花を飛ばすときは、その電流を切ります。電流を流している間、コイルは電磁石のように働いています。電流を急に止めると、その磁力も急に変わります。この変化によって、巻いた電線に電圧が生まれます。多く巻いた二次側で高い電圧を得て、プラグへ送る仕組みです。12Vをずっと送り続けるだけではありません。

電流を流してためる時間を「ドウェルタイム」と呼びます。短すぎると十分にためられませんが、いくら長くしてもよいわけではありません。電圧、回転数、温度に合わせて調整します。

ボルトくん

コイルは、ずっと火花を出しっぱなしなの?

ハグルマ先生

まずエネルギーをため、必要なときに電流を切るんですよ。点火のたびに繰り返します。高回転だと、次までの時間も短くなりますね。

プラグの電極と絶縁体で、火花を飛ばす場所を作る

白い部分は電気を絶縁する部分。金属のねじ部でヘッドへ固定し、先端の電極間で火花を飛ばします。
スパークプラグの実物
白い部分は電気を絶縁する部分。金属のねじ部でヘッドへ固定し、先端の電極間で火花を飛ばします。Spark plug 2.jpg — ProjectManhattan / 出典 / CC BY-SA 3.0

プラグには中心電極と接地電極があり、間に小さな隙間があります。これが「プラグギャップ」です。十分な電圧がかかると、隙間で放電し、燃料と空気の中に火花ができます。

火花から小さな炎ができ、周りへ広がって燃えます。燃料全部を一瞬で爆発させるというより、燃え始めるきっかけを作る役なんです。

隙間を広くすると炎の始まりを作りやすい面がありますが、飛ばすのに必要な電圧も増えます。筒の圧力、温度、電極の状態でも変わります。細いイリジウムなどの電極は、点火のしやすさと寿命を両立するために使います。

ボルトくん

隙間を広げれば、いつでも火花が強くなるの?

ハグルマ先生

必要な電圧も上がるので、コイルが追いつかなければ、うまく点火できませんよ。細い電極を傷めることもあるので、指定のプラグと隙間を使います。

火花を飛ばす時期と、熱の逃がし方を分ける

点火時期は、ピストンがどこにいるとき火花を飛ばすかです。燃えるにも時間がかかるので、一番上に着く前から飛ばす範囲があります。回転数、負荷、ノッキングの状態で調整します。

「熱価」は、プラグが熱を逃がす性質のこと。電圧や火花の強さの番号ではありません。熱を逃がしやすいもの、先端を暖かく保ちやすいものを、エンジンの条件へ合わせます。

冷えすぎると汚れを焼き落とせず、熱すぎると予定より先に着火するなどの問題が出ます。熱価の数字の付け方もメーカーで違います。同じ番号なら同じ性質、とは限りません。

ボルトくん

熱価が高いプラグにすれば、エンジンも高性能になるの?

ハグルマ先生

熱の逃がし方を合わせるための数字ですよ。合わない熱価に替えても、勝手にパワーは増えません。指定品を使い、変更するなら適合を判断する必要があります。

失火は、プラグやコイル以外でも起きる

ボンネットを開けて点検している作業の例。
ボンネットを開けて点検している作業の例。外から分かる状態と、測定や分解が必要な状態は分けて確認します。 写真:Kate Ibragimova / Unsplash

「失火」は、燃やすはずのときに、うまく燃焼しないことです。プラグの摩耗や汚れ、コイルや絶縁の不具合に加え、燃料、空気、圧縮でも起きます。何番の気筒というコードだけで、コイル故障とは決まりません。

高い負荷でだけ起きるなら、筒の圧力が高くなり、火花に必要な電圧が増える条件も考えます。プラグの状態と適合、電源、配線、つなぎ目、燃え方を順に調べます。

プラグは、ねじ、先端の出る量、熱価、抵抗などが合う必要があります。交換では、指定のエンジン温度や締め方、締める力を確認します。高電圧を扱うので、動いている最中にコードを手で抜く点検はしません。

ボルトくん

失火なら、プラグとコイルを全部替えればいいの?

ハグルマ先生

燃料や圧縮が原因なら、替えても直りませんよ。どんなときに起きるかと診断結果から原因を絞ると、余計な交換や再発を減らせます。

よくある疑問

ディーゼルにもスパークプラグがある?

一般的なディーゼルは、圧縮して熱くなった空気へ燃料を入れ、着火させます。始動を助けるグロープラグは、火花を飛ばすスパークプラグとは別です。

イリジウムなら、すべて長寿命?

全部が同じ寿命ではありません。電極の組み合わせと製品の仕様で違うので、材料名だけで交換時期を決めず、車と部品の指定を確認します。

四気筒なら、コイルは必ず四個?

必ず四つではありません。一つのコイルから分配する方式、二気筒を組にする方式、各気筒に付ける方式などがあります。

関連記事

エンジンの燃焼行程/混合気と空燃比/失火が触媒へ与える影響

参考資料

  1. DENSO:コイルの電磁誘導と点火
  2. DENSO:火花、電極の隙間、必要な電圧
  3. DENSO:熱価とプラグの選び方
  4. DENSO:プラグ取り扱い上の注意
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この記事を書いた人
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ハグルマ先生

メカニズモ編集長

2016年より自動車業界に携わり、輸入車ディーラーや中古車販売店などで実務経験を積む。

自動車専門ウェブメディアの運営にも携わり、業界で培った知識と講師としての経験を活かしながら、車の構造や部品、メンテナンスに関する情報を分かりやすく発信している。

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