エンジンから生まれた排気ガスは、そのまま外へ放り出される。と思うかもしれませんが、実は最近のエンジンはそうではなく、EGRという仕組みを使って再び燃焼室にぶちこむという、マジでよくわかんない事をやっています。一体なぜそんな愚行にでるのでしょうか?詳しく見ていきましょう!
EGRは、排気の一部を吸気へ戻す仕組み
EGRは、排気の一部を、もう一度エンジンの吸気側へ戻す仕組みです。新しく吸い込む空気に排気を混ぜ、燃え方を調整しています。排気を全部戻してぐるぐる回す装置ではありません。
排気を混ぜると、燃焼の温度が上がりすぎるのを抑えられる場面があり、窒素酸化物という有害な成分を減らすことに役立ちます。使う量や狙いは、ガソリンとディーゼル、運転状態などでも違います。
外の管を使う方式には、EGRバルブや、戻すガスを冷やすEGRクーラーがあります。一方、エンジンのバルブの開閉を工夫して、筒の中へガスを残す方法もあり、こちらは内部EGRと呼びます。

ŠkodaのBNMエンジンに使うEGR部品。配管から戻すガスの量を調整するバルブが組み込まれています。車種により形と取り付け位置は違います。Skoda BNM EGR.jpg — Towel401 / 出典 / CC BY-SA 4.0
ボルトくん
新鮮な空気だけの方が、よさそうなのに?
ハグルマ先生
燃やすことだけでなく、燃え方や排気の成分も考えているんです。何でもたくさん入れればよい、という話ではないんですね。
排気を混ぜて、燃える温度や酸素の割合を変える
空気には、燃料を燃やす酸素のほか、窒素も多く含まれています。高温では、この窒素と酸素からNOxという成分ができやすくなります。そこで、排気の一部を混ぜます。戻したガスは燃焼の熱を受け持ち、新しい空気の割合も変えます。その結果、燃える場所の温度が上がりすぎるのを抑えられます。排気を戻すのは、ただもう一度燃やしたいから、という話ではないんです。
燃えにくいガスを混ぜ、反応と温度を整えているわけです。ただし、ディーゼルの排気には酸素も残るので、戻すガスに酸素がまったくないとは限りません。
ガソリンエンジンでは、軽い負荷で入口を絞って空気を吸う負担を減らしたり、冷やした排気でノッキングを抑えたりもします。NOxだけのため、と覚えると、この使い方を見落としてしまいます。
ボルトくん
戻す量が多いほど、燃費も排気もよくなるの?
ハグルマ先生
混ぜすぎると、うまく燃えず、失火やすすが増える場合もありますよ。燃料、回転数、負荷、温度に合う量に調整するんです。
高圧EGRと低圧EGRは、戻す場所が違う
ターボには、排気で回る羽根車「タービン」と、新しい空気を押す羽根車「コンプレッサー」があります。ここからは、この二つの前後のどこで排気を取り出し、どこへ戻すかを見ます。
ターボ付きでは、排気を取り出す場所でも違います。高圧EGRは普通、タービンの前から取り、コンプレッサーの後の吸気へ戻します。比較的短い道でつなぐ構成です。
低圧EGRは普通、タービンや排気を処理する装置の後から取り、コンプレッサーの入口へ戻します。ディーゼルには、DPFで粒子を減らした後のガスを使うものもあります。ただし管は長くなり、水滴ができることや部品への適合も考えます。

この図はタービン前から吸気側へ戻す経路の例。試験用の流量・圧力計測も描かれており、その計測機器を一般の車の搭載部品として扱っていません。EGR Exhaust gas recirculation.jpg — Mohamed Gomaa / 出典 / CC BY-SA 4.0
高圧、低圧は、主に取り出す場所と圧力の関係の名前です。両方を使うエンジンもあります。勝手にちょうどよい量が流れるわけではなく、バルブや吸気・排気の調整で量を作ります。
ボルトくん
低圧EGRは、圧力を弱めるバルブのことなの?
ハグルマ先生
主に、排気と吸気をどこでつなぐかの違いですよ。ターボや排気を処理する装置の、前か後かを見ると分かりやすいです。
汚れと故障は、バルブだけでなく通路も見る
EGRの道には、すすやオイル由来の成分が付くことがあります。バルブが動きにくくなったり、道が狭くなったりすると、ねらった量を流せません。

取り外した部品に見える堆積物の実例。この写真だけで、特定の走行距離や故障原因を決めることはできません。Clogged EGR Valve Intake manifold.jpg — Moosealope / 出典 / CC BY 2.0
開きすぎ、閉じっぱなし、クーラーや管の詰まりでは、症状が変わります。警告灯、加速不足、アイドリングの乱れも、EGRだけで起きるわけではありません。出した指令と実際の流れ、センサー、配線を調べます。
掃除できる場所と方法は、部品によって違います。電気の部分へ洗浄液が入ったり、汚れがエンジンへ落ちたりすると、別の故障になります。原因を残してバルブだけ替えても、また汚れることがあります。
ボルトくん
黒くなってたら、全部交換しなきゃいけないの?
ハグルマ先生
見た目だけでは決まらないんですよ。バルブが動くか、道は詰まっていないか、必要な量が流れるかを調べます。掃除や交換は、その部品の指定に従います。
EGRを止めると、燃え方と制御の条件も変わる
EGRをふさぐと、燃える温度、入る空気量、コンピューターの調整も変わります。ガソリン車では、EGRを使う前提の点火やノッキング対策にも関わります。ディーゼルも、NOxとすすの両方を見て調整しています。
コンピューターは、弁の位置だけでなく、空気量、圧力、温度から働きを確かめる場合があります。警告が出なければ正常、とも限りません。排気に関わる変更は、掃除の代わりにはなりません。
新しい触媒などがあっても、EGRが不要とは限りません。エンジンの中でNOxをできにくくすることと、出た後で処理することを組み合わせています。
ボルトくん
触媒があれば、EGRはなくてもいいの?
ハグルマ先生
作られにくくする仕事と、出た成分を減らす仕事は別ですよ。その車では、両方を合わせて性能と排出ガスを整えています。
よくある疑問
EGRはディーゼル専用?
ディーゼルだけではなく、ガソリンでも使います。目的や量、使う条件はエンジンごとに違います。
EGRクーラーはラジエーター?
EGRクーラーは、戻す排気を冷やす装置です。冷却水を使うものがありますが、車の前でエンジンの熱を外へ逃がすラジエーターとは、場所と役目が違います。
アクセル全開でも必ず使う?
車の制御によって違います。全開で止める方式も、冷やしたEGRを使う方式もあります。




