オートマの車は、ブレーキを離すとじわじわ進むことがあります。アクセルは踏んでいません。まだ進めとは言ってないんですが、一体どこから力が来ているのでしょうか?今回は、この「クリープ現象」の仕組みを見ていきます。
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じわじわ動く「クリープ現象」って何?

Acgskup / 2023 Audi A4 B9 Avant Allroad – gear selector (automatic transmission).jpg / CC BY 4.0。縮小・WebP形式へ変換。
クリープ現象は、走行する位置にシフトを入れた車が、アクセルを踏まなくても動こうとすることです。前進のDだけでなく、後退のRでも起こります。ここでは、主にトルクコンバーターを使うオートマ車から考えます。
エンジンは、アクセルから足を離しても、止まらない程度の速さで回っています。これがアイドリングです。その回転の力が変速機へ少し伝わるので、車輪も動こうとします。「アクセルを踏まない=車を進める力が完全にゼロ」ではないんですね。
車種や暖まり具合、エアコンの使用、路面の傾きなどで動き方は変わります。決まった速さで走る機能ではなく、坂道で止まったまま支えてくれる機能でもありません。[1]
つながっていないのに、オイルで力が伝わる

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エンジンと変速機の間には、トルクコンバーターという装置があります。内部にはオイルと、羽根を持った部品が入っています。エンジン側のポンプがオイルを流し、その流れが変速機側のタービンを押して回します。[2]
イメージとしては、風を送る扇風機と、その風で回る風車の組み合わせに近いものです。実際に使うのは空気ではなくオイルで、内部の形ももっと複雑ですが、金属同士を直結しなくても回転する力を渡せます。
ブレーキで車輪側が止まっていても、エンジン側は回り続けられます。この回転差を許せることが、停車中にエンジンが止まらず、ブレーキをゆるめると進める理由につながっています。
CVTや電気自動車も、全部同じ仕組み?

Cxpr / TNGA platform in Toyota Prius 2016 at the Tokyo Motor Show 2015.JPG / CC BY-SA 4.0。縮小・WebP形式へ変換。
CVTは変速機の種類を表す名前で、発進時の力をどうつなぐかとは別の話です。トルクコンバーターを組み合わせるCVTもあれば、クラッチを使う構成もあります。「CVTだからクリープしない」とは言えません。
DCTなどのクラッチを使う車では、電子制御でクラッチのつなぎ方を調節し、似た動きをさせる場合があります。例えば、フォルクスワーゲンのゴルフR32やトゥーランに搭載された6速DSG(02E)がその一例です。メーカーの技術資料でも、アクセルを踏まずに少しずつ進むための制御が説明されています。[3]
また、電気自動車やハイブリッド車にも、モーターを制御して「ジワジワ進む」感覚を作る車があります。クラッチで力をつなぐ場合と、モーター自体を回す場合は、同じ動きに見えても仕組みが違います。
つまり、動きが似ていても、中の仕組みまで同じとは限りません。クリープの有無や、停止保持機能との関係は、乗る車の取扱説明書で確かめます。
停車するときは、車の「進みたい」をブレーキで受け止める

Adhitya Sibikumar / Three car pedals on the floor / Unsplash License。縮小・WebP形式へ変換。
DやRで停車するときは、ブレーキペダルを確実に踏みます。ブレーキホールドがある車でも、作動条件や解除条件は車種ごとに異なります。表示を確認し、装置が働いていると決めつけないことが大切です。[1]
車から離れるときは、クリープを使う場面ではありません。取扱説明書どおりにPや駐車ブレーキなどを使い、車が動かない状態にします。坂道でアクセルを踏み、力をつり合わせて止まり続ける使い方も避けましょう。
いつもより強く飛び出す、反応が急に変わる、警告表示がある場合は、「クリープだから正常」と片付けず点検を相談します。仕組みを知ることと、異変を我慢することは別です。
よくある疑問
Dで進まなかったら故障?
停止保持やアイドリングストップ、車種の制御でも変わります。普段との違いと表示を確認し、取扱説明書を優先してください。
坂道でも必ず前に進む?
いいえ。傾きによる力が上回れば後ろへ動くこともあります。坂道で車を保持するためにクリープを頼りにしないでください。
関連記事
参考資料
- トヨタ:ピクシス エポック取扱説明書(クリープ現象)
- ZF:トルクコンバーターの解説
- Volkswagen:Self-study programme 308、DSG 02E(冊子5ページ:搭載車とクリープ制御)
- トヨタ:プリウス(2023年1月)取扱説明書、運転にあたって・発進するとき
車種を指定しない基本構造の解説です。実車の操作・点検は、その車の取扱説明書に従ってください。




