【簡単解説】MT(マニュアルトランスミッション)の仕組み

マニュアルトランスミッション ドライブトレイン

MT(マニュアルトランスミッション)は、トランスミッションの1種で、摩擦クラッチと平行軸歯車式変速機で構成されています。もう少し詳しく見てみましょう。

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クラッチとは

【簡単解説】クラッチとトルクコンバーターの仕組みと役割

一般的に、車のクラッチには摩擦クラッチと呼ばれるものが使われています。この摩擦クラッチは
円盤状や円筒形などの部品で、摩擦力により動力を伝達する仕組みです。圧着力を調整することで滑らせながら、回転数を同調させることができます。

また、摩擦クラッチは摩擦する面がオイルで潤滑されている湿式クラッチと、潤滑されていない乾式クラッチがあります。車の場合、主に乾式クラッチが使われており、クラッチが接続した時のショックを吸収するために、スプリングゴムなどを備えています。

クラッチの操作は運転席足元にあるクラッチペダルで行われます。操作機構にはクラッチ本体までケーブルで伝える機械式クラッチと、油圧で伝える油圧式クラッチがあります。

平行軸歯車変速機

Yones – Drawing by me, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=12225153による

平行軸歯車式変速機は、平行軸に複数の変速比の異なる歯車をを持ち、これを油圧や電動などで切替え、ギア比を選択する変速機のことです。プラネタリーギア式よりも歯車の組合せの自由度が高いのが特徴です。2段変速機を例に構造を見てみましょう。

2段変速機の場合、入力シャフト出力シャフトが平行になるように配置され、入力シャフトにはドライブギアが、出力シャフトには対応するドリブンギアが備えられて、それぞれは常時かみ合わせ状態になります。ドリブンギアは出力シャフトに固定されていますが、ドライブギアは空転できるようになっています。

しかし、この状態だと、エンジン回転数がどれだけ上がっても、動力をタイヤに伝えることができません。そこで、スリーブと呼ばれる部品を入力シャフト上のギアとギア間に配置します。このスリーブは入力シャフトと共に回転し、回転軸方向にスライドすることができます。

スリーブを1速ドライブギアと嚙合わせると、入力シャフトとともに1速ドライブギアも回転できるようになり、1速ドリブンギアに回転を伝える事が出来るようになります。1速ドリブンギアは出力シャフトに固定されているので、回転は出力シャフトにも伝わり、タイヤへと回転を伝える事が出来るようになります。

この時、2速ドライブギアはスリーブとかみ合っていないので空転しています。2速に変速すると、2速ドライブギアとスリーブが噛み合い、1速ドライブギアは空転します。

シンクロメッシュ機構

A7N8X – 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=7997162による

ドライブギアとスリーブが噛み合う時、シャフトの回転速度と歯車の回転速度の差が大きいと、スムーズに噛み合わず、変速操作が困難となる場合があります。そこで登場するのがシンクロメッシュ機構です。シンクロメッシュ機構の主な役割は、入力シャフトと共に回転するスリーブと、ギヤの間で摩擦力を作用させて、回転速度差を無くすことです。スリーブ側には、ギヤ※1との間で摩擦を発生させるシンクロナイザーリングという部品が取り付けられています。このシンクロナイザーリングは、スリーブと共に回転します。そしてこのリングを異なる速度で回転するギヤ※2に押し付け、摩擦接触させます。この摩擦力により、異なる速度で回転しているギヤとスリーブの回転速度が近づき、スムーズな変速を可能にします。

一般的なMT

マニュアルトランスミッション

一般的なMTでは前進が4~6段、後進が1段のギアを備えています。変速機の切り替えはシフトレバーで行われ、レバーを操作するとスリーブが移動して、変速が可能になります。この操作方法には直接操作するダイレクトコントロール式と、ケーブルでレバーの操作を伝えるリモートコントロール式があります。

この記事を書いた人
自動車ライター
YOSHIKI

1999年 東京生まれ。幼少期を自動車大国アメリカで過ごし、車に興味を持つ。レンタカー屋やBMW正規ディーラーを経て都内高級中古車ディーラーに勤務。愛車はGR スープラ RZ。

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