ガソリンエンジンは、小さな火花を飛ばして燃料に火をつけます。ところがディーゼルエンジンは、その火花なしで燃えています。着火係がいないのに燃え始めるなんて、台所で起きたら普通に事件です。
ディーゼルが使うのは、空気を強く押し縮めると熱くなる性質。その熱で燃料を燃やす「圧縮着火」の仕組みを、順番に見ていきましょう。
アイキャッチ:4気筒ディーゼルエンジンの断面展示。写真はAGCO Sisu Powerの産業用エンジンです。
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ディーゼルは、押し縮めて熱くした空気で燃料に火をつける

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ディーゼルエンジンは、強く圧縮して熱くした空気へ燃料を噴き込み、その熱で着火させるエンジンです。一般的な自動車では軽油を使います。ガソリンエンジンのように、スパークプラグの火花で燃やし始める方式とは違います。
空気を短い時間で押し縮めると、押すために加えたエネルギーで温度が上がります。自転車の空気入れを続けて動かすと熱くなるのにも、空気の圧縮が関わっています。ディーゼルは、エンジンの中でこの温度上昇を利用します。
ここで空気を押し縮めるのが、筒の中を動くピストンです。どれくらい小さく縮めるかを表す数字が圧縮比。燃料を燃やせる温度になるように空気を圧縮することが、火花なしで動くための土台です。[1]
空気を入れる、縮める、そこへ燃料を噴く

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一般的な4ストロークのディーゼルで、動きを追ってみましょう。まず空気を取り込み、ピストンが上がって空気を押し縮めます。この段階では、燃やすための燃料はまだ噴いていません。
十分に熱くなった空気へ、燃料を細かく噴く部品の「インジェクター」が軽油を送り込みます。燃料は熱い空気と混ざって着火し、燃焼で生まれる圧力がピストンを押し下げます。最後に燃えた後のガスを外へ出し、同じ動きを繰り返します。[1]
つまり、空気を熱くして待ち構え、そこへ燃料を入れる順番です。現在広く使われるコモンレール方式では、高い圧力をかけた燃料を共通の管にため、各インジェクターへ送ります。噴くタイミングや量を細かく調整するための仕組みです。[2] エンジン全体の往復運動は4ストロークの基本も参考になります。
寒いときは、グロープラグが熱を助ける

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寒い日にエンジンが冷え切っていると、圧縮した空気の熱が冷たい金属へ逃げやすくなります。始動のときに燃料へ火がつきにくくなるため、その助けとして使われるのが「グロープラグ」です。
グロープラグは、電気で先端を熱くする部品です。スパークプラグのように火花を飛ばすのではなく、小さなヒーターのように周囲を温め、着火しやすい状態を作ります。形にプラグ感はありますが、仕事は別物なんです。[3]
グロープラグの働き方はエンジンによって違い、始動前だけでなく、始動後の燃焼を安定させるためなどにも使われます。「ディーゼルは火花がいらない」と「電気の助けが一切いらない」は、同じ意味ではありません。
勝手に燃えるけれど、燃え方はきちんと調整している

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熱い空気に入れれば燃えるとはいえ、燃料を好きなだけドバッと噴いてよいわけではありません。いつ、どれくらい、どんな細かさで噴くかによって、力の出方や音、排気の状態が変わります。
例えば、一度に全部を噴くのではなく、少量を先に噴き、その後に主な燃料を噴くなど、何回かに分ける制御があります。燃え始めを整え、急な圧力の上がり方を抑えるためなどに使います。回数や噴き方は、運転状態やエンジンの方式で変わります。[2]
一方、ガソリンエンジンで、予定した炎が届く前に混合気が燃え始めると、ノッキングにつながります。ディーゼルの圧縮着火は、その性質を前提に空気と燃料の入れ方を設計したものです。「自分で燃える」という一部分だけが似ていても、狙った燃焼と異常な燃焼は分けて考えましょう。




