信号待ちでエンジンが止まり、ブレーキから足を離すと、また何事もなかったように動き出す。初めてだと「え、今エンストした?」と、こっちの心臓まで一瞬止まりそうになります。
条件がそろったときにエンジンを自動で止め、必要になったらかけ直すのがアイドリングストップです。何を止めていて、どうやってすぐ復帰するのか。その裏側を見てみましょう。
アイキャッチ:アイドリングストップ機能を切り替えるスイッチの実物例。写真はCitroën Berlingoです。
Thilo Parg / 出典 / CC BY-SA 3.0(一部加工)
アイドリングストップは、待ち時間の燃料を節約する仕組み

Arivumathi / 出典 / CC0(一部加工)
アイドリングとは、車を走らせずにエンジンを回している状態のことです。信号待ちで停車していても、エンジンが回っていれば燃料を使います。そこで、停止中などに条件がそろうとエンジンを止め、燃料の消費を減らすのがアイドリングストップです。
止めるときは、コンピューターが燃料の供給などを止めます。燃焼が続かなくなるので、エンジンの回転も止まります。故障で突然止まるエンストとは違い、かけ直すことも含めて制御しています。[2]
ただし、車全体の電源を切っているわけではありません。メーターや制御装置など、必要な電装品はバッテリーの電気で動き続けます。エンジンは休んでいても、次に動かす準備まで投げ出しているわけではないんですね。
発進するときは、モーターなどでエンジンをかけ直す

Willdre 00:20, 8 February 2007 (UTC) / 出典 / CC BY-SA 3.0(一部加工)
止まったエンジンは、燃料を送るだけでは回り始められません。まず外から回して、空気を取り込み、燃やせる状態にする必要があります。その最初の回転を作る代表的な部品が、セルモーター(スターター)です。
一般的な方式では、ブレーキを離すなどの操作を合図に、モーターでエンジンを回し、燃料の供給や点火を再開します。エンジン自身で燃焼を続けられるようになれば、始動の手助けは終わります。基本の流れはエンジンがかかる仕組みと同じです。[1][2]
ただし、再始動の方式は一つではありません。発電も担当するモーターを使うものや、マツダが開発したように、止まるときのピストン位置を整え、燃焼の力も利用して素早くかけ直すものがあります。後者も、すべてを燃焼だけで済ませるという話ではなく、スターターの補助を組み合わせます。[3]
何度もかけ直すために、バッテリーにも条件がある

Cjp24 / 出典 / CC BY-SA 4.0(一部加工)
エンジンをかけるときには大きな電力が必要です。停止中も電装品に電気を送り、また発進時にモーターを動かすとなれば、バッテリーの負担も増えます。アイドリングストップ車では、その使い方に対応したバッテリーなどを採用します。[1]
さらに、車はバッテリーの電圧や流れる電流、温度などを使って、充電状態を見ています。電気の余裕が少ないと判断したら、エンジンを止めなかったり、停止中でも再始動したりします。次にかけ直せなくなっては、節約どころではありませんからね。[4]
スターターなども、繰り返す始動を想定した設計になっています。ただし、専用部品なら永久に傷まないわけではありません。交換するときは、大きさが同じというだけで選ばず、その車に適合する部品と、必要な設定・点検を確認します。
止まらない日や、勝手に再始動するのにも理由がある

Elilopes / 出典 / CC BY-SA 4.0(一部加工)
昨日は信号で止まったのに、今日は止まらない。これだけで故障とは限りません。エンジンがまだ冷たい、バッテリーの充電が足りない、エアコンの働きを優先したいなど、停止を見送る条件があります。[2]
停車中に何もしていないのに再始動するのも、電力や室内の温度を保つためなどの制御で起きます。例えば、エンジンで冷房用の装置を回す車では、停止を続けると冷えにくくなることがあります。設定温度などに応じてエンジンを再始動し、快適さを保つわけです。
どの操作で止まり、どの条件でかけ直すかは車種によって違います。始動直後の高い回転数と同じように、車はそのときの状態で働き方を変えます。ただし警告灯が点く、再始動に失敗するなどの変化があれば、取扱説明書を確認して点検を相談しましょう。




