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ブレーキブースターの仕組み|踏む力を助ける装置

切断展示された負圧式ブレーキブースターとマスターシリンダー

車のブレーキには、「ブレーキブースター」という装置が付いています。ペダルを踏む力を助けてくれるのですが、その力はどこから来るのでしょうか?詳しく解説していきます。

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ブレーキブースターは、踏む力を助ける装置

足の力に、助ける力を上乗せする

足の力をブースターが助け、ブレーキ液で車輪側へ力を伝えます。
足の力をブースターが助け、ブレーキ液で車輪側へ力を伝えます。
図:メカニズモ(模式図)

多くの車のブレーキは、ペダルを踏んだ力でブレーキ液を押し、その力を車輪のブレーキまで伝えます。液体を押す力を作る部品が「マスターシリンダー」です。

その手前で足の力を助けるのが、ブレーキブースター。別名は倍力装置です。「足だけで頑張らなくていいですよ」と、力を上乗せしてくれる役ですね。[1]

左からペダル、ブースター、ブレーキ液を押す装置の順に並ぶ例です。
左からペダル、ブースター、ブレーキ液を押す装置の順に並ぶ例です。
イラスト:メカニズモ(形・位置の概略)

タイヤを止める仕事は、車輪側のブレーキが担当

切断展示された負圧式ブレーキブースターとマスターシリンダー
切って中を見せたブースター。左がペダル側、中央が助ける装置、右が液体を押す装置です。
Paul Day / Servofreno seccionado.jpg / CC0 1.0

車輪のところでは、ブレーキパッドなどが回る部品を押さえ、こすれる力で速度を落とします。

足の力を助けるのがブースター。その力で液体を押すのがマスターシリンダー。そして車輪側のブレーキが回転を抑えます。この順番で考えると、それぞれの仕事が見えてきます。

ボルトくん

大きいブースターにしたら、もっとピタッと止まれるの?

ハグルマ先生

足を楽にすることと、車がどれだけ止まれるかは別なんです。車輪のブレーキや、タイヤと路面の状態も関係しますよ。

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空気が押す力で、ペダルを助けるタイプがある

中は薄い膜で二つの部屋に分かれている

ペダルを踏む前は、膜の両側の空気を低い圧力に保ちます。
ペダルを踏む前は、膜の両側の空気を低い圧力に保ちます。
図:メカニズモ(模式図)

よく使われるタイプでは、装置の中が薄い膜で二つの部屋に分かれています。この膜はダイヤフラムと呼ばれます。

ペダルを踏んでいないときは、膜の両側の空気の圧力を、外の空気より低くしておきます。この低い圧力が「負圧」です。両側が同じくらいなら、膜を片側へ強く押す力は生まれません。[1]

踏むと、片方の部屋に外の空気が入る

踏むと片側へ外の空気が入り、膜を押す力が加わります。
踏むと片側へ外の空気が入り、膜を押す力が加わります。
図:メカニズモ(模式図)

ペダルを踏むと、中の通り道が切り替わり、膜の片側へ外の空気が入ります。もう片側は、低い圧力のままです。

すると、圧力の高い側の空気が膜を押します。その力が足の力に加わり、マスターシリンダーを押してくれるわけです。ペダルを戻すと、また両側の圧力差が小さくなる方向に切り替わります。[1]

ボルトくん

真空が膜をぎゅーっと引っ張ってくれるの?

ハグルマ先生

外から入った空気が、圧力の低い側へ膜を押すんです。両側の圧力が違うことで、助ける力が生まれるんですよ。

エンジンやポンプで空気を抜く。電気で助ける方法もある

空気の圧力を下げる準備が必要

エンジンの吸い込む力や専用ポンプで、ブースターへ低い空気の圧力を用意します。
エンジンの吸い込む力や専用ポンプで、ブースターへ低い空気の圧力を用意します。
図:メカニズモ(模式図)

ガソリンエンジンでは、エンジンが空気を吸い込む通路の低い圧力を利用するタイプがあります。十分な低い圧力を作りにくいときは、専用のポンプを使う方法もあります。

ホースや、空気が戻るのを防ぐ部品も大切です。ブースター本体が大丈夫でも、そこまでの通り道がおかしいと、十分に助けてもらえないことがあります。[2]

モーターで踏む力を助けるタイプもある

モーターで踏む力を助けるタイプの仕組みです。
モーターで踏む力を助けるタイプの仕組みです。
図:メカニズモ(模式図)

空気の圧力差を使わず、モーターで力を上乗せするタイプもあります。例えばBoschのiBoosterは、センサーでペダルの動きを読み取り、モーターと歯車などで押す力を助けます。[3]

電気自動車やハイブリッド車では、モーターで減速して電気を回収するブレーキも使います。これを回生ブレーキと呼びます。車はこれと、パッドなどでこすって止めるブレーキを組み合わせています。液体を押す装置と、その調整を一つにまとめたタイプもあります。[4]

ボルトくん

エンジンがない電気自動車でも、ブレーキを軽く踏めるのはなんでなの?

ハグルマ先生

モーターなどで助ける力を作れるからです。エンジンがなくても、きちんとブレーキを使えるように作られていますよ。

ペダルが急に硬くなったら、点検が必要

空気の圧力差を使うタイプでは、エンジンを止めた後も、残っている低い圧力で何回か助けられる場合があります。ただ、繰り返し踏むとその助けを使ってしまい、ペダルが硬くなることがあります。何回まで、という回数は車によって違います。

走っているときに急に硬くなった、強く踏まないと速度が落ちない、という変化があれば、安全な場所へ止まって点検を相談しましょう。「強く踏めば何とかなる」と走り続けるのは危険です。電動式では仕組みが違うので、警告表示と取扱説明書の指示も確認します。

ブレーキアシストやABSとは、担当する仕事が違う

ブレーキブースターは、普段から踏む力を助ける装置です。ブレーキアシストは、車が「急いで止まろうとしている」と判断したときに、必要なブレーキの力を助ける機能です。

ABSは、タイヤが回転を止めたまま滑り続けるのを防ぐため、ブレーキの力を調整する仕組みです。同じ装置の中で協力することもありますが、担当する仕事で分けると分かりやすいですね。[4]

ボルトくん

『助ける』って名前にあれば、みんなブースターの仲間なの?

ハグルマ先生

普段の足の力を助ける役もあれば、急ブレーキのときに助ける役もあるんです。名前が似ていても、働く場面が違うんですよ。

よくある疑問

エンジンを止めて踏んだら硬い。故障なの?

空気の圧力差を使うタイプでは、残った助ける力を使うと硬くなる場合があります。ただし、走行中に急に変わったり、警告が出たりしたときは点検を相談してください。

ブースターは、ブレーキ液をためるタンクなの?

ブースターは踏む力を助ける装置です。液体をためるタンクや、液体を押すマスターシリンダーとは別の役を持っています。

関連記事

参考資料

  1. Bosch「Vacuum brake booster」:膜、二室、圧力差による作動。
  2. Bosch「Low pressure sensor」:負圧の監視と電動負圧ポンプ。
  3. Bosch「iBooster」:負圧に頼らない電動倍力装置。
  4. Bosch「Integrated power brake」:液体で伝える力発生と制御をまとめた構成。

アイキャッチ写真:Paul Day / Servofreno seccionado.jpg / CC0 1.0

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この記事を書いた人
ハグルマ先生のイラスト

ハグルマ先生

メカニズモ編集長

2016年より自動車業界に携わり、輸入車ディーラーや中古車販売店などで実務経験を積む。

自動車専門ウェブメディアの運営にも携わり、業界で培った知識と講師としての経験を活かしながら、車の構造や部品、メンテナンスに関する情報を分かりやすく発信している。

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