ホイールとはボディとタイヤを繋ぎ合わせ、エンジンの動力をタイヤそして路面へと伝える部品です。そんなホイールの役割・構造・製造方法・素材について見ていきましょう。
ホイールの役割
ホイールの主な役割は「エンジンの動力をタイヤに伝える」、「摩擦熱を放出する」、「個性を出す」などが挙げられます。
エンジンの動力をタイヤに伝える
エンジンの動力はドライブトレインを介してこのホイールに伝わります。ホイールに伝わった動力はホイールに取り付けられ、共に回転するタイヤに伝わります。このタイヤが路面を蹴ることによって車は前進・後進が可能になります。
摩擦熱を放出する
ブレーキは、運動エネルギーを熱エネルギーに変える事によって車を止めています。ホイールが回転することで、熱を放出して摩擦熱を冷やす役割があります。
個性を出す
ホイールのカスタムは個性を出すための第一歩として、多くのユーザーが行うことです。デザイン重視のカスタムや、より軽量なホイールを装着することにより、サスペンションの動きを高めたり、ハンドリングやブレーキ性能を向上させる、パフォーマンス重視のカスタムもあります。
ホイールの素材
ホイールの素材は「スチールホイール」「アルミホイール」「カーボンホイール」「マグネシウムホイール」などがあります。それぞれの特徴を見ていきましょう。
スチールホイール
スチールとは鉄のことで、その名の通り鉄を素材とするホイールです。鉄は強度や耐久性があり、何より価格が安いのが特徴です。スチールホイールは「鉄チン」とも呼ばれ、比較的価格の安い車や低いグレード、商用車などに採用されます。
アルミホイール
アルミホイールはアルミで作られたホイールで、サビなどに強く、高い放熱性があり、なにより軽量なのが特徴です。輸入車や中級の国産車に採用されています。
カーボンホイール
アルミホイールよりもさらに軽いのがカーボンホイールです。カーボンは軽くて丈夫なのが最大の特徴ですが、加工が難しいので製造できるメーカーも限られています。素材面、加工面でも費用が掛かるので、アルミやスチールホイールに比べて非常に高価です。
マグネシウムホイール
マグネシウムホイールは、アルミよりも軽量なマグネシウムを使ったホイールです。非常に軽量ですが強度が低く、ぶつけたり負荷が掛かったりすると壊れやすい特徴があります。F1カーかゴーカート、ランボルギーニなどのスーパーカーにも採用されています。
各部の名称
・ディスク・・・ホイールの表面部分。
・リム・・・ホイールの外周部のことで、タイヤと接合する部分。ホイールのサイズを表すインチとは、このリムの直径の事です。
・ホール・・・ハブボルトやホイールボルトを通す部分。通常は4つか5つ穴が開いています。
・センターキャップ・・・ホイール中心にある穴を埋めるキャップ。自動車メーカーやホイールメーカーのロゴが入るのが一般的です。
・PCD・・「Pitch Circle Diameter」の頭文字をとったもので、各ホールの中心線を結んだ円の直径のことです。国産車では100mmや114.3mmが一般的ですが、輸入車では120mmや108mmなどメーカーごとに異なる場合もあります。
ホイールサイズの見方
ホイールのサイズは下記のように表されます。
19×8.0 J 5 112 36
19・・・リム径の事で単位はインチ(この場合は19インチ)
8.0・・・リム幅の事で単位はインチ(この場合は8インチ)
J・・・フランジの形状を表しています。JJ、J、Bなどがあります。
112・・・PCDの数値を表しています。
36・・・後述するインセットを表しています。
インセットとは?
インセットとは、リム幅の中心線とホイールの取り付け面との距離を表したものです。ホイールの取り付け面が中心線よりも外側であれば「インセット」、内側であれば「アウトセット」。中心線上であれば「ゼロセット」と呼びます。
ホイールの構造
ホイールの構造は、「1ピース構造」「2ピース構造」「3ピース構造」の3タイプに分かれます。
それぞれの特徴を見ていきましょう。
1ピース構造
ディスク・リムなど全ての部品が一つの構造で作られているホイールです。
作りもデザインもシンプルなため軽量で剛性が高く、価格が安いのが特徴です。
2ピース構造
ディスクとリムが分かれている構造のホイールです。ディスク位置を調整しやすく、自分の車に合ったサイズをオーダーメイドできます。ただし、1ピース構造のホイールより価格が高く、剛性を確保することが難しいのが欠点です。
3ピース構造
アウターリム・インナーリム・ディスクという3つに分かれている構造のホイールです。
2ピースよりもデザインの自由度が高いのが特徴です。その反面2ピース構造よりもコストが高く、剛性の確保も難しい特徴があります。
製造方法
近年でアルミホイールが主流です。その製造方法について見ていきましょう。
鍛造
鍛造製法はアルミ合金の塊を巨大なプレス機で高圧プレスしてディスク部分を成型し、その後リムを延ばす圧延加工を行う製造方法です。できあがったものを削って加工して形を整えていきます。イメージとしては、1つのホイールを1つの金属の塊か作る感じです。当然その分高価になります。
金属の密度を濃くして、その分肉厚を薄くできるので、強度がありながら軽量なホイールを作ることができます。
鋳造
鋳造とは、現在の一般的な製造方法で、溶かしたアルミを型に流し込んで成形する方法です。型をに流し込むのでデザインの自由度が高く、大量生産が可能でその分コストを抑えられるのが特徴です。金属の密度を鍛造ほど濃くはできないので、鍛造よりも肉厚が厚くなり重量があります。