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エンジンブレーキとは?アクセルを戻すと減速する理由

エンジンブレーキとは?アクセルを戻すと減速する理由 アイキャッチ

アクセルから足を離すと、車はだんだん減速します。これに関わるのが「エンジンブレーキ」。さっきまで車を進めていたエンジンが、今度は進む邪魔をするわけです。急にどうした。一体何が起きているのか、仕組みを見ていきましょう。

アイキャッチ画像:Adrian Kusznirewicz / A close up of the engine of a car / Unsplash License。縮小・WebP形式へ変換。(16:9にトリミング)

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加速するときと、力の流れが逆になる

前にエンジンを置いて後輪を回すFR車の配置図。赤い塊がエンジンで、その後ろの灰色の変速機・軸から、青い後輪へつながります。Front-engineは前置きエンジン、Rear-wheel driveは後輪駆動の意味です。エンジンブレーキでは、このつながりを車輪側から使います。
前にエンジンを置いて後輪を回すFR車の配置図。赤い塊がエンジンで、その後ろの灰色の変速機・軸から、青い後輪へつながります。Front-engineは前置きエンジン、Rear-wheel driveは後輪駆動の意味です。エンジンブレーキでは、このつながりを車輪側から使います。
Moebiusuibeom-en / Automotive diagrams 01 En.png / CC BY-SA 3.0。縮小・WebP形式へ変換。

図のエンジンから、変速機、車体の中央を通る軸、後輪へとつながる部分を見てください。これは、前にエンジンを置いて後輪を回す車の配置例です。加速中はこの道をエンジン側から、エンジンブレーキ中は車輪側から力が伝わります。部品の配置は車で違っても、つながっている部品を車輪から回すという考え方は同じです。

加速中は、エンジンが燃料を燃やして回り、その力が変速機などを通って車輪へ届きます。ところが、アクセルを戻してエンジンがあまり力を出さなくなっても、走っている車は、慣性によって進み続けようとします。

エンジンと車輪のつながりが保たれていれば、今度は車輪側から変速機を通してエンジンを回す形になります。エンジンを回すには抵抗があるので、その分、車を進め続けるエネルギーが使われ、減速につながります。[1]

エンジンブレーキは、ブレーキパッドという別の部品がエンジンの中で出てくる仕組みではありません。エンジンを外から回すときの抵抗を、車の減速に使っているんです。

ボルトくん

エンジンの中に、見えないブレーキパッドがあるわけじゃないのね。

ハグルマ先生

はい。車輪からエンジンを回すときの抵抗を、減速に使っています。
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エンジンを回すと、何に抵抗するの?

4ストローク記事でも使った吸気行程の図。ピストンを動かして空気を出し入れする構造に注目してください。通常の燃焼サイクルの説明図であり、減速中の燃料噴射やバルブ制御をそのまま再現した図ではありません。
4ストローク記事でも使った吸気行程の図。ピストンを動かして空気を出し入れする構造に注目してください。通常の燃焼サイクルの説明図であり、減速中の燃料噴射やバルブ制御をそのまま再現した図ではありません。
Wapcaplet at English Wikipedia / Four stroke cycle intake.png / CC BY-SA 3.0。縮小・WebP形式へ変換。

エンジンの中では、ピストンや軸などが動いています。その摩擦や、空気を吸って吐く仕事などにエネルギーが必要です。特にガソリンエンジンでは、吸い込む空気を絞った状態で動かす抵抗も関係します。

ピストンは、空気を圧縮するためにも力を使います。ただし、圧縮された空気は、そのあと膨らむときに力を返します。「圧縮した分が全部、そのままブレーキになる」と説明すると正確ではありません。摩擦や空気の出入り、熱などをまとめて考える必要があります。

減速中に燃料の供給を減らしても、内部の部品が抵抗なく動くわけではありません。エンジンを回すために車の進むエネルギーが使われるので、速度が落ちます。

ボルトくん

アクセルを戻しても、エンジンはスルスル空回りとはいかないんだ。

ハグルマ先生

内部の部品を動かし、空気を出し入れするには力が要ります。その分、車の勢いが使われます。

低いギヤほど減速しやすいのはなぜ?

オートマ車のシフト操作部の例。選べる位置や、低いギヤを選ぶ方法は車種で異なります。
オートマ車のシフト操作部の例。選べる位置や、低いギヤを選ぶ方法は車種で異なります。
Maxim Hopman / black and silver gear shift lever / Unsplash License。縮小・WebP形式へ変換。

まず「低いギヤ」は、発進するときなどに使う1速や2速のことです。同じ速さで走っていても、低いギヤを使うと、車輪が1回転する間にエンジンがより多く回ります。車輪とエンジンの間にある歯車が、回転の比率を変えているからです。

アクセルを戻したときは、進んでいる車の勢いでエンジンを回しますよね。低いギヤではエンジンをたくさん回すことになるため、その抵抗も車輪側へ強く伝わりやすくなります。これが、低いギヤほどエンジンブレーキが強く感じられる主な理由です。

オートマ車でも、長い下り坂などで減速しやすくするために、ギヤや走行モードを選べるものがあります。シフトのそばにあるS・L・Bなどがその操作に関わる場合もありますが、文字の意味や働きは車種によって違います。自分の車の説明書で、下り坂で使う位置を確認しましょう。

特にハイブリッド車のBは、「充電をいっぱいにする位置」とは限りません。モーターで発電する減速に加え、エンジンを回す抵抗も使う車があります。回収する電気を増やすことと、減速を強めることは、同じではないんです。

なお、速度が出ているときに急に低いギヤへ変えると、エンジンの回転数や減速の強さが急に上がるおそれがあります。むやみに試さず、その車で指定された操作方法を守って使います。

ボルトくん

Bって、バッテリーをいっぱいにするボタンじゃないの?

ハグルマ先生

車によってはエンジンの抵抗も使って、下り坂などで減速しやすくする位置です。充電量を最大にするとは限りません。

フットブレーキと、役割を分けて使う

起伏のある道路を走る車の例。長い下り坂では、その車で指定された方法でエンジンブレーキも使います。撮影場所の勾配や車のギヤ位置を示す写真ではありません。
起伏のある道路を走る車の例。長い下り坂では、その車で指定された方法でエンジンブレーキも使います。撮影場所の勾配や車のギヤ位置を示す写真ではありません。
Ronan Furuta / a car driving down a road next to a hill / Unsplash License。縮小・WebP形式へ変換。

エンジンブレーキは、速度を調整する助けになります。長い下り坂などで、フットブレーキだけに負担を集中させない考え方にもつながります。ただし、必要な停止操作をエンジンブレーキだけで済ませるものではありません。

先の交通状況に合わせて早めにアクセルを戻すと、穏やかに減速できる場面があります。JAFも、車の減速の強さを把握して使う考え方を紹介しています。減速しすぎて再加速を繰り返さないことも大切です。[2]

また、電気自動車のアクセルを戻したときの減速は、主に回生ブレーキなどで作られます。足の操作が似ていても、エンジンが回る抵抗を使う減速と、モーターで発電する減速は仕組みが違います。

ボルトくん

足を離しただけで、ブレーキまで全部済んだつもりだった。

ハグルマ先生

停止に必要な減速は、ブレーキペダルで行います。エンジンブレーキの強さも車や状況で違いますよ。

よくある疑問

減速中の燃料消費は必ずゼロ?

条件がそろうと燃料噴射を止める制御がありますが、回転数や温度などで再開します。すべての減速中が必ずゼロとは限りません。

ニュートラルで下れば燃費がよくなる?

エンジンとのつながりを切ると、減速の性質も変わります。燃費目的で下り坂をNで走る使い方はせず、取扱説明書が指定する位置を使ってください。

関連記事

参考資料

  1. Honda FIT:ブレーキシステム(エンジンブレーキ)
  2. JAF:減速時のエコ運転術

車種を指定しない基本構造の解説です。実車の操作・点検は、その車の取扱説明書に従ってください。

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この記事を書いた人
ハグルマ先生のイラスト

ハグルマ先生

メカニズモ編集長

2016年より自動車業界に携わり、輸入車ディーラーや中古車販売店などで実務経験を積む。

自動車専門ウェブメディアの運営にも携わり、業界で培った知識と講師としての経験を活かしながら、車の構造や部品、メンテナンスに関する情報を分かりやすく発信している。

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