車輪の中心付近には、「ハブベアリング」という部品が付いています。重い車を支えながら、どうして車輪をスムーズに回せるのでしょうか?詳しく解説していきます。
ハブベアリングは、車輪を支えながら回せる部品
ホイールを取り付ける場所がハブ

Cschirp / Wheel hub assembly.jpg / CC BY 3.0

図:メカニズモ(模式図)
タイヤをはめたホイールは、車輪の中心にある「ハブ」という部品へ固定します。ハブはホイールと一緒に回ります。
その回る部分を、車体につながる部分で支えるのがハブベアリングです。ベアリングは、回るものを滑らかに支える部品で、軸受とも呼ばれます。車輪を好き勝手に動かさず、決まった場所で回せるようにしているわけです。[1]

イラスト:メカニズモ(形・位置の概略)
エンジンで回していない車輪にも付く
前輪駆動の車では、後ろの車輪をエンジンで回しているわけではありません。それでも後輪には、車の重さを支えながら回る仕組みが必要です。
ハブベアリングの仕事は、回す力を作ることではなく、車輪を支えて回れるようにすること。車輪が道路に転がされて回る場合も、しっかり働いています。[1]
ボルトくん
エンジンで回さない後ろのタイヤなら、棒に付けるだけでいいの?
ハグルマ先生
後ろのタイヤも、重い車を支えていますからね。その力を受けながら、スムーズに回れる仕組みが必要なんですよ。
中のボールや小さなローラーが転がる
金属の輪の間に、転がる部品がある

図:メカニズモ(模式図)
よく使われるベアリングは、内側と外側の金属の輪、その間に並ぶボールや小さなローラーでできています。ローラーは「ころ」とも呼ばれます。
金属同士をそのままこすり合わせるより、間の部品をコロコロ転がしたほうが、軽く動かせます。その仕組みで、車輪を滑らかに回しているんです。もちろん、抵抗が完全にゼロになるわけではありません。[1]
中には、こすれを減らす油も入っている

図:メカニズモ(模式図)
ベアリングの中には、グリースという、粘り気のある油を使うものがあります。部品同士が触れる場所を滑らかにして、すり減るのを抑えます。
その油を中に保ち、水や砂が入るのを防ぐのがシールという部品です。最近の乗用車には、ハブなどと一体になり、中を開けて普段から油を足す使い方をしないものも多くあります。[1]
ボルトくん
変な音がしたら、外から油をかければスルスル回るようになるの?
ハグルマ先生
外からかけても、閉じた中へきちんと届く方法にはなりませんよ。ブレーキのまわりに油が付くのも危険なので、まず点検を相談しましょう。
重さだけでなく、曲がるときの力も支える
車輪には、いろいろな向きの力がかかる

図:メカニズモ(模式図)
ハブベアリングが受け止めるのは、車の重さだけではありません。曲がるときの横向きの力や、段差を踏んだときの力も受けます。車輪を傾けようとする力もかかるんです。
専門的には、軸を横から押す力を「ラジアル荷重」、軸に沿って押す力を「アキシアル荷重」と呼びます。ここでは、いろいろな方向から押される部品、と考えると分かりやすいですね。[2]
二列に並べて、しっかり支えるタイプもある

図:メカニズモ(模式図)
車輪用には、ボールやローラーを二列に並べたものなどがあります。二列の配置を工夫して、いろいろな向きの力や、車輪を傾けようとする力を受けやすくしています。
丸いボールを使うものも、先細りのローラーを使うものもあります。必要な強さや大きさ、回りやすさに合わせて選ばれるので、中身はどれも同じとは限りません。[1]
ボルトくん
曲がるときの力も受けてるんだ! 回すだけじゃないんだね。
ハグルマ先生
そうなんです。車輪の場所を保ちながら、いろいろな向きの力を受けます。小さく見えても、なかなか忙しい部品ですね。
うなるような音や、ぐらつきは点検のきっかけ
傷んだベアリングでは、走行中にうなるような音などが出る場合があります。タイヤの回る速さを読み取る仕組みと一体になった部品では、その部分の不具合がABSなどの警告に関わることもあります。[1][3]
ただ、似た音はタイヤやほかの部品からも出ます。「いつから」「どのあたりで」「どんな走り方のときに」気付いたかを、整備工場へ伝えましょう。
強い振動やぐらつきがあり、走りが不安定なら、安全な場所へ止まって救援を相談します。原因探しのために急に曲がったり、ジャッキだけで持ち上げた車の下へ入ったりするのは危険です。
新品でも、取り付け方が大切
ベアリングは、新品を付ければ何でも安心という部品でもありません。取り付けるときに力をかける場所を間違えたり、固定する部品を正しく締めなかったりすると、傷む原因になります。[1]
車輪のサイズを変えると、ベアリングへの力のかかり方が変わる場合もあります。交換には、その車の部品と取り付け方に合った作業が必要なんです。
ボルトくん
新しい部品に替えたら、それだけでもう安心なの?
ハグルマ先生
取り付け方も大事ですよ。正しい場所に、正しい方法でしっかり付いてこそ、車輪を支えられますからね。
よくある疑問
何万km走ったら交換するの?
どの車も同じ距離で交換、とは決められません。車の構造や使い方、部品の状態を点検して判断します。
ABSの警告が出たら、ハブベアリングの故障なの?
必ずそうとは限りません。センサーや配線など、ほかの部分にも原因があるので、点検で確かめます。
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参考資料
- NTN「Hub Bearings」:ハブ軸受の構造、形式、荷重、取り付け。
- NSK「荷重と負荷圏」:ラジアル荷重とアキシアル荷重。
- NTN「Technical Review No.79」:ハブ軸受の傷みと異音、厳しい使用条件への対応。
アイキャッチ写真:Cschirp / Wheel hub assembly.jpg / CC BY 3.0




