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コンロッドとは?小端・大端・軸受と往復を回転につなぐ仕組み

エンジン内部でクランクシャフトにつながるコンロッド
エンジン内部でクランクシャフトにつながるコンロッド。Connecting rod of an engine.jpg — Seedlesslime / 出典 / CC BY-SA 4.0。

エンジンの中にある、コンロッドという棒。名前は短いですが、大きな力を受け持つ部品です。何と何をつなぎ、どう動くのかを見ていきます。

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コンロッドは、ピストンとクランクシャフトをつなぐ棒

コンロッドは、コネクティングロッド、つまり「つなぐ棒」の略です。片方をピストン、もう片方をクランクシャフトにつなぎます。燃えたガスに押されたピストンの力を、回る軸へ渡す役です。[1]

中央の棒の下端がクランクにつながっています。小端部の穴は写真では見えません。
エンジン内部に組み付けられたコンロッド
中央の棒の下端がクランクにつながっています。小端部の穴は写真では見えません。Connecting rod of an engine.jpg — Seedlesslime / 出典 / CC BY-SA 4.0

直列エンジンの図では、ピストンの下に棒、その下に軸が描かれます。ただし、筒を横向きに置くエンジンなどでは、向きも変わります。どの車も下向きの棒というわけではありません。

ボルトくん

コンロッドは、いつもピストンの下に付いてるの?

ハグルマ先生

筒の向きで変わるんですよ。大切なのは、片方がピストン、もう片方がクランクシャフトにつながることです。場所より、何をつなぐ部品かで覚えましょう。

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両端の穴は、同じ仕事をしていない

小端部は、ピストンピンを受ける

小端部、大端部、軸部、分割するキャップの関係を示す構造図。実際の断面や締結方法はエンジンによって変わります。
コンロッドの部位を示す図
小端部、大端部、軸部、分割するキャップの関係を示す構造図。実際の断面や締結方法はエンジンによって変わります。Drawing of a connecting rod in an automobile engine.jpg — Abouttools / 出典 / CC BY-SA 4.0

小さい方の端が「小端部」です。穴へピストンピンを通して、ピストンとつなぎます。軸が回ると棒の傾きも変わるので、このつなぎ目は動ける必要があります。

穴にブッシュという筒状の軸受を入れるものもあります。ピンをどう固定し、どう油を届けるかは設計によって違います。大きい方の端と同じ、半円の軸受が付くとは限りません。

大端部は、クランクピンを囲む

上がピストン、下がコンロッド。コンロッド下側の大きな穴がクランクピンにつながる大端部で、穴の周囲には分割するキャップと締結部が見えます。
ピストンとコンロッドを組み合わせた実物
上がピストン、下がコンロッド。コンロッド下側の大きな穴がクランクピンにつながる大端部で、穴の周囲には分割するキャップと締結部が見えます。Piston and connecting rod.jpg — Sonett72(原写真)/Ian Dunster(背景整理・トリミング) / 出典 / Public domain

大きい方の端が「大端部」です。軸の回転中心からずれたクランクピンを囲みます。一般的な車では、本体とキャップという部品に分かれ、内側に軸受を入れてボルトでつなぎます。

キャップは、大端部を閉じる部品です。ボルトも、ふたが落ちないようにするだけではありません。繰り返しかかる大きな力に耐え、組み合わせを保っています。締める方法は、指定どおりにする必要があります。

ボルトくん

そのボルトは、クランクシャフトにねじ込むの?

ハグルマ先生

普通は、コンロッドの本体とキャップをつなぐボルトですよ。その内側で軸が動きます。軸そのものをボルトで固定しているわけではありません。

往復する動きを、回転につなげる

機構図。0:固定された本体、1:ピストン、2:コンロッド、3:クランクシャフト。数字は図の凡例で、部品の数を示すものではありません。
往復と回転をつなぐ構造
機構図。0:固定された本体、1:ピストン、2:コンロッド、3:クランクシャフト。数字は図の凡例で、部品の数を示すものではありません。Piston bielle vilebrequin coupe et schema cinematique.svg — Zephyris; derivative work Cdang / 出典 / CC BY-SA 3.0

ピストンは筒に沿って往復し、クランクピンは軸の中心の周りを回ります。コンロッドは両端が動けるので、この違う動き同士をつなげられます。

自転車も、中心から離れたペダルを押すから軸が回りますよね。エンジンでは、ピストンから棒を通して、中心からずれたクランクピンへ力を送ります。部品は違いますが、離れた場所を押して回す考え方は似ています。

棒が斜めになると、ピストンを筒の横の壁へ押す力も出ます。その力はガスの圧力、部品の動き、棒の角度で変わります。ピストンの下側の形と、油でこすれを減らすことが大事なのは、そのためでもあります。[2]

ボルトくん

コンロッドは、ピストンに押されるだけなの?

ハグルマ先生

押されるだけでなく、引っ張られることもあるんですよ。往復する部品の速さや向きを変えるためにも力がかかります。棒もボルトも、その繰り返しに耐えるように作ります。

太くすれば丈夫。でも重さも増える

押される力だけでなく、引っ張られる力も受ける

前の機構図の2がコンロッドです。ピストンの往復と軸の回転をつなぐとき、棒自身の傾きも変わっているところに注目してみてください。

コンロッドは、燃えたガスがピストンを押す力に加え、動く部品の速さや向きを変える力も受けます。後者が、慣性による負荷です。走っている人が急に向きを変えるにも力が要りますよね。ピストンも同じです。

部品が重いほど、同じ動きをさせる負担が増えます。高回転では、短い時間で何度も動きを変えるので、その負担が大きくなります。丈夫さだけでなく、重さと形も大切です。

鋼製が一般的だが、材料だけで性能は決まらない

車のコンロッドでは、鋼がよく使われます。断面の形や材料の処理、作り方を工夫して、強さと軽さを両立します。太そう、高そうという印象だけで、よい部品かは決められません。

初代ホンダNSXのC30Aは、往復する部分を軽くするためにチタン製コンロッドを使いました。これは、そのエンジンに合わせた設計です。ほかの車もチタンにすれば同じ効果、とは限りません。[3]

ボルトくん

チタンなら、鋼より必ず丈夫なの?

ハグルマ先生

材料の名前だけでは決まらないんですよ。大きさ、形、作り方、回転数や負荷も合わせて考えます。NSXも、そのエンジンで軽さと強さを両立した例なんです。

燃えるときには押され、ピストンの向きを変えるときには引かれることもあります。静かに一方向の重さを支える棒とは、働き方が違うんですね。回転数とガスの圧力の両方を考えて設計します。

大端部の軸受には、油膜が欠かせない

人とくるまのテクノロジー展2007で展示されたクランクシャフト用の軸受。主軸受とコンロッド軸受は、使う場所や寸法が異なります。
エンジンの滑り軸受の実物
人とくるまのテクノロジー展2007で展示されたクランクシャフト用の軸受。主軸受とコンロッド軸受は、使う場所や寸法が異なります。Bearings for crankshaft journal.jpg — 160SX (talk) / 出典 / CC BY-SA 3.0

大端部とクランクピンの間には、薄い軸受が入ります。整備では「コンロッドメタル」と呼ぶこともあります。回転する軸と油が作る薄い油膜で、力を受け止めます。金属同士を直接こすり続けるための仕組みではありません。[6]

ただし、始動や停止の前後まで、油膜がいつも同じ状態とは限りません。油の量だけでなく、届き方、粘り、隙間、表面の状態が必要です。油が入っていれば何でも大丈夫、とはいきません。

写真は、クランクシャフト本体を支える軸受の例です。このコンロッドへそのまま使える部品ではありません。軸全体を支える軸受と、棒の端の軸受では、場所も寸法も違います。

ボルトくん

オイルポンプの力で、コンロッドを浮かせてるの?

ハグルマ先生

ポンプは油を届けますが、支える圧力は軸の回転と隙間の油で作られるんですよ。油が届くことに加え、隙間や油の状態も大切です。

わざと割ってキャップを作る「破断分割」

大端部を一体で作った後、わざと割ってキャップを分ける作り方があります。「破断分割」、英語ではフラクチャースプリットです。割れた面の凹凸がぴたりと合うので、組み直すときに位置を合わせやすくなります。[4]

壊れたものを再利用する話ではなく、最初からそう作る方法です。ただし本体とキャップは、元の組み合わせで使います。別の組へ替えたり、割れた面に傷や汚れを付けたり、向きを間違えたりすると、正しく合わなくなります。

普通の平らな合わせ面を持つものも、好きなキャップに交換してよいわけではありません。どちらの作り方でも、指定の組み合わせと整備手順を守ります。

ボルトくん

同じ形のキャップなら、ほかの棒に付けてもいいの?

ハグルマ先生

特に破断分割は、もとの割れた面同士を合わせるんですよ。別の組に替えたり、面を傷つけたりしてはいけません。ほかの方式でも、組み合わせと向きは指定に従います。

曲がりや損傷は、原因まで調べる

コンロッドは、かなり大きな力を受けます。回しすぎや軸受の油不足などで傷むことがありますが、傷を一つ見ただけで原因が決まるとは限りません。

金属音や振動は、ほかの部品からも出ます。油圧の警告や急な異音が出たら、運転を続けずに点検を頼みましょう。棒の曲がり、穴の寸法、ピンや軸、油の届き方まで、関連するところを調べます。

ボルトくん

金属の音がしたら、もっと回して確かめた方がいいの?

ハグルマ先生

油圧の警告や急な異音があるなら、負担を増やして試すのは避けましょう。運転をやめて点検し、音が出る場所と、傷んだ原因を調べるんですよ。

よくある疑問

長いコンロッドなら、排気量が増える?

棒を長くするだけでは、排気量は増えません。一般的な仕組みでは、ピストンの動く距離はクランク半径で決まります。棒の長さは、ピストンの位置や途中の動き方に関わります。

コンロッドボルトは、再使用できる?

再使用できるか、どんなときに交換するか、どう締めるかは指定を確認します。見た目に傷がないから使える、とは決まりません。

コンロッドは、回転する部品?

大きい端は軸の周りを回り、小さい端はピストンと一緒に往復します。棒全体は傾きを変えるので、ただ回るだけ、ただ上下するだけの部品ではありません。

関連記事

ピストン/クランクシャフト/エンジンオイルとオイルポンプ

参考資料

  1. Motorservice:Connecting rods。部品、製法、負荷。
  2. Motorservice:How the piston works。コンロッドの傾きと横方向の力。
  3. Honda:C30A NSX。チタン製コンロッドの採用例。
  4. Motorservice:Cracked connecting rods — SI 1492。分割面と組み合わせの扱い。
  5. MAHLE:エンジン部品。軸受とコンロッド部品。
  6. MAHLE:Technical Information — Motorsport Engine Bearings。軸・軸受・すき間と動圧油膜。
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この記事を書いた人
ハグルマ先生のイラスト

ハグルマ先生

メカニズモ編集長

2016年より自動車業界に携わり、輸入車ディーラーや中古車販売店などで実務経験を積む。

自動車専門ウェブメディアの運営にも携わり、業界で培った知識と講師としての経験を活かしながら、車の構造や部品、メンテナンスに関する情報を分かりやすく発信している。

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