オートマ車には、駐車するときに使う「P」があります。なのに、別に駐車ブレーキまで付いています。駐車、そんなに念入りにやるものなのか。同じように見える二つは、一体何が違うのでしょうか?中で止めている場所から見ていきます。
アイキャッチ画像:Acgskup / 2023 Audi A4 B9 Avant Allroad – gear selector (automatic transmission).jpg / CC BY 4.0。縮小・WebP形式へ変換。(16:9にトリミング)
Pと駐車ブレーキは、止める場所が違う

Selit / Pawl brake engaged.png / Public domain。縮小・WebP形式へ変換。
まず、Pは「パーキング」の意味です。一般的なオートマ車では、変速機の中などにある駐車用のロック機構を働かせ、車輪につながる軸が回りにくい状態にします。車輪のブレーキを踏み続けている状態とは違います。
一方の駐車ブレーキは、止まった車をその場に保つために、車輪側のブレーキを働かせる装置です。サイドブレーキとも呼ばれます。レバー式、ペダル式、スイッチ式など、操作の形は違っても、主な目的は駐車中の保持にあります。
つまり、Pと駐車ブレーキは同じ仕組みの複製ではなく、別の場所で車の動きを抑える組み合わせです。トヨタの取扱説明書でも、車を離れるときはPと駐車ブレーキを使うよう案内しています。[1]
Pの中では、駐車用のロックが働く

Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha / US7731007B2 図2 / 米国公開特許図面(USPTOの利用条件参照)。図2の図面部分を抜粋、余白調整・WebP変換。
機械式のパーキングロックでは、歯のある部品に「パーキングポール」と呼ばれる爪をかみ合わせる構造が使われます。爪と歯が引っ掛かることで、車輪につながる軸の回転を止めます。配置や駆動方法は変速機によって異なります。[3]
図では、20が歯の付いた歯車、30がそこへかみ合う爪です。40の棒を動かすと爪が押され、歯車の回転を止める位置へ移ります。実物写真では見えにくい、爪と歯車の位置関係に注目してください。[3]
車が止まる位置と、爪がかみ合う位置には、わずかなずれや遊びがあります。そのため、ブレーキをゆるめたあと車体が少し動き、ロックに力がかかる場合があります。坂道では、その力が大きくなりやすいんです。
ただし、Pなのに大きく動く、異音が続くといった状態を「遊びだから」と決めつけるのは禁物です。駐車を保持できない疑いがあれば、安全を確保して点検を相談します。
電動パーキングでも、Pと同じ装置になったわけではない

ACG Komis / Close-up of a car's electronic parking brake button / Unsplash License。縮小・WebP形式へ変換。
電動パーキングブレーキは、スイッチ操作などで電動機構を動かしてブレーキをかける仕組みです。Pへ入れる操作と連動して、自動でかかる設定を持つ車もあります。[2]
一回の操作で両方が働くと、同じ装置に見えますが、操作が連動していることと、機械として同一であることは別です。自動作動の設定、表示灯、解除条件は車種で違います。
ブレーキホールドも別の機能です。信号待ちなどで停止を保持できても、そのまま車を離れてよい意味にはなりません。駐車ブレーキの作動表示と、Pの表示を取扱説明書どおりに確認しましょう。
「どちらか一つ」より、車が指定する組み合わせで使う

Zion C / A white car parked on the side of the road / Unsplash License。縮小・WebP形式へ変換。
駐車ではブレーキペダルで停止を保ち、車の説明書が指定する手順でPと駐車ブレーキを使います。自動作動する車もあるため、全車共通の操作順を丸暗記するより、自分の車の手順を確認するほうが確実です。
また、凍結が予想される場所では、駐車ブレーキの扱いについて特別な指示がある車もあります。普段の駐車方法を自己判断で省略せず、輪止めなども含めた車両指定の方法に従います。[2]
走行中にPへ入れて止めようとしてはいけません。Pは普段の減速操作に使う位置ではありません。走る車を減速することと、止まった車を保持することを分けて考えると、使い方も整理できます。
よくある疑問
Pに入れれば四つの車輪が全部ロックする?
そのように一律には言えません。駆動方式や差動装置の構造も関わるため、Pを四輪のブレーキと同じものと考えないでください。
Nに入れて駐車ブレーキだけで駐車していい?
Pを備えるオートマ車では、原則として取扱説明書が指定するPと駐車ブレーキの組み合わせを使います。車両固有の指示を優先してください。
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参考資料
車種を指定しない基本構造の解説です。実車の操作・点検は、その車の取扱説明書に従ってください。




