夜に道を照らすライトだけが、車のライトではありません。曲がる、止まる、ここにいる。周りへ伝えるための灯りもあります。名前と、点く条件を一緒に見ていきましょう。
ヘッドライトは、前方の車や見通しで切り替える
車のライトには、自分が周りを見るためのものと、周りから車の存在や動きを分かりやすくするものがあります。前照灯は前の道を照らし、方向指示器は曲がる方向などを知らせます。
後ろでは、尾灯が車の存在を知らせ、ブレーキランプが減速に関わる情報を伝えます。同じ灯具の中にまとまっていても、点く条件や明るさが違うことがあります。外側のケースと、中の灯りの役目を分けてみましょう。
- ロービーム:対向車などへのまぶしさを抑えながら前方を照らす配光です。
- ハイビーム:より遠方まで確認しやすい配光です。周囲の車両などにはまぶしく感じられるため、状況に合わせて使い分けます。
暗い道で前方に車がいなければハイを活用し、対向車や前を走る車がいるとき、交通量の多い街中ではローへ切り替えます。対向する自転車にも気を配りましょう。
光が届く範囲が、全部同じ明るさとは限りません。雨、霧、地面の色、見るものでも変わります。点いていても、見える距離に合う速度が必要です。使い分けは警察庁の夜間運転の案内も参考になります。
光源の種類と、光を配る構造は別

プロジェクター概念図。右の光源から出た光を反射面で集め、中央の遮光板と左のレンズで照らす範囲をつくります。Headlight projector schematic.png — Duk / 出典 / CC BY-SA 3.0
図のLight Bulbは光源、Reflectorは反射面、Shieldは光を遮る板、Lensはレンズです。一部を遮り、レンズで道へ配る仕組みです。何で光るかと、どこへ照らすかは別なんです。

D2S型の放電式光源。写真は故障品ですが、ハロゲン電球とは違う内部と口金の形を見られます。Xenonlamp.jpg — Michiglaser / 出典 / Public domain

H7型ハロゲン電球。ガラスの中に細いフィラメントを持ちます。写真は断線した使用済み品です。Philips H7 F925 Headlamp bulb-6741.jpg — © Raimond Spekking (via Wikimedia Commons) / 出典 / CC BY-SA 4.0
ハロゲンは細い線を熱して光らせます。HIDはガスの入った光源の中に電気を流して発光させ、LEDは電気を流すと光る小さな素子を使います。こちらは、光を作る方法の分類です。光の向きを整えるレンズや反射面とは別の役割なんです。
リフレクターとプロジェクターは、光の配り方です。反射面で広げる、レンズと反射面を合わせるなどがあります。プロジェクターだから必ずHID、とは限りません。
光源だけ明るくしても、配光、放熱、電気が合わなければ、必要な道を照らせません。部品の適合は、後の節でも確認します。
オートライト、オートハイビーム、ADB
オートライトは周りの明るさなどで点灯し、オートハイビームは前方の車を見て上下を切り替えます。ADBなどは、車がいる範囲だけ暗くする配光の調整です。
名前と動きはメーカーで違います。自動でも見つけられない状況はあるので、まぶしさを与える、視界に合わないときは、説明書に従って手で切り替えます。
| 呼び方 | 自動で行うこと | 運転者が確認すること |
|---|---|---|
| オートライト | 周囲の明るさなどに応じて点灯・消灯 | 昼間の悪天候などで必要な灯火がついているか |
| オートハイビーム | 上向き・下向きの切替 | 対向車や先行車へのまぶしさ |
| ADB | 照らす範囲を部分ごとに調整 | 検知条件と取扱説明書の制限 |
車幅灯とDRLは、前から見つけてもらうための灯火
車幅灯・ポジションランプ
車幅灯は、前の道を遠くまで照らすための灯りではありません。ほかの人に、車の位置や幅を見つけてもらうための灯りです。「スモール」「ポジション」と呼ばれるものも、この車幅灯を指します。道を見る灯りと、こちらを見つけてもらう灯りを、まず分けましょう。
普通はヘッドライトと一緒に点き、走行中も役目があります。ただ、道路を十分照らすものではなく、夜の前照灯の代わりにはなりません。

BMW Z4 E85の車幅灯が点灯した例。ヘッドライト内の細いリングが光っています。道路を照らす前照灯とは別の機能です。BMW Z4 Standlichtringe.jpg — Wikisympathisant / 出典 / CC BY-SA 4.0
昼間走行灯・DRL
DRLは、昼に自分を見つけてもらうライトです。車幅灯と同じ場所を、違う明るさで使う車もあります。
DRLが光っても、後ろの尾灯まで点くとは限りません。メーターが明るくても、外の必要な灯火が点いているとは限りません。夕方やトンネルでは、前照灯と尾灯を、表示と状況から確認します。

Audi A4 B8のLED昼間走行灯の実例。昼間に車の存在を見つけてもらうための灯火で、夜に前方の道路を照らす前照灯とは役割が異なります。LED DaytimeRunningLights.jpg — Thermos / 出典 / CC BY-SA 3.0
ボルトくん
前は光ってても、後ろは暗いことがあるの?
ハグルマ先生
DRLだけなら、そういう車もありますよ。夕暮れとトンネルでは、前照灯と尾灯も確かめましょう。
ウインカーとハザードで、方向や危険を知らせる
ウインカーは方向指示器です。曲がる、車線を変える意思を点滅で伝えます。前後のほか、側面やミラーにも付くものがあります。
ハザードは、左右を同時に点滅させる非常点滅表示灯です。状態と危険を周囲へ知らせます。ただ、点けたから駐停車禁止の場所へ止めてよい、とはなりません。
強く減速したとき、点滅で知らせる緊急制動表示もあります。働く条件は車と装置の基準で違い、普通のウインカーや制動灯と同じ動きではありません。
ボルトくん
ハザードを点ければ、少し路上に止めていいの?
ハグルマ先生
危険を知らせる灯火ですよ。点けても、禁止された場所への駐停車が許されるわけではありません。
フォグとコーナリングライトは、見えにくい場所を補う
前部フォグランプ

前部フォグの照射を写した写真。霧の中での透過性能や、日本での個別車両の基準適合を示す試験写真ではありません。Fogson.jpg — Scheinwerfermann / 出典 / CC BY-SA 3.0
前部フォグは、霧などで見えにくいときの補助です。普通は低い場所から、手前と横へ広く照らします。光の向きと配り方が正しいことが前提です。
点けても霧の水滴による散乱は消えず、遠くまで見える保証はありません。不要になれば消し、前照灯の代わりに使いません。白と淡黄色の条件は黄色いヘッドライトとフォグの保安基準で解説しています。
コーナリングライト
コーナリングライトは、曲がる側の近くを照らします。ハンドル、ウインカー、速度で働くものがあります。ヘッドライトの向きを変えるAFSと、別の灯を点ける方法は違います。
Hondaは、2025年のフリードの一部タイプへ、LEDアクティブコーナリングライトを設定しています。使える速度と条件は、その車の説明書を確認します。
ボルトくん
フォグがあれば、霧の向こうまで見えるの?
ハグルマ先生
遠くまで見える保証はないんですよ。前方を補助するものなので、必要な前照灯を使い、見える範囲に合う速度へ落とします。

1983年Oldsmobile 98 Regencyの例。前輪の前、バンパーのすぐ後ろにある四角い透明レンズの灯器がコーナリングライトです。曲がる側の近くを照らす別体灯の配置を見られます。写真は点灯や配光を示すものではありません。Cornering lamp on Oldsmobile 98.jpg — Olds 403 / 出典 / CC BY 3.0
後ろの灯火は、存在・制動・後退を知らせる
ボルトくん
後ろの赤いのって、全部ブレーキランプじゃないの?
ハグルマ先生
普段から点いて車の存在を知らせる尾灯と、制動を知らせる灯りは別の働きです。同じ場所を兼用するものもありますよ。

Genesisの後側の灯器。形状を見る写真で、各発光部分のすべての点灯状態や機能をこの一枚で判断していません。2020 Genesis G90 3.3T (facelift) brake lights on, rear 1.23.20.jpg — Kevauto / 出典 / CC BY-SA 4.0
テールランプ・尾灯
尾灯は、夜などに後ろから存在と幅を知らせる赤いライトです。普通は前の車幅灯や前照灯と一緒に点きます。後ろの灯器全体を、テールランプと呼ぶこともあります。
ブレーキランプ・制動灯

2013 Ford Escapeの後部灯器。赤いレンズと透明なレンズを組み合わせています。各部分の役割は、操作に合わせた点灯で確かめます。Rear Brake Lights of 2013 Ford Escape (6615503049).jpg — Michael Sheehan / 出典 / CC BY 2.0
制動灯は、ブレーキを知らせる赤いライトです。ペダルのほか、車によって回生や運転支援でも点きます。ただし、減速するたび必ず点くわけではありません。
高い位置のハイマウントストップも、減速を知らせます。尾灯と同じ場所なら、明るさを変えて区別します。見分け方はブレーキランプとテールランプの違いで説明しています。
後退灯・番号灯
バックランプは、後退を知らせ、後ろを見ることを助ける白いライトです。車がまだ動かなくても、Rなどを選べば点くものがあります。
番号灯は、後ろのナンバープレートを照らします。普通は尾灯などと一緒です。運転席から見にくいので、点検で忘れずに見ましょう。

Mercedes-Benz SLR McLarenの後退灯が白く点灯した実例。左右の明るい白色部が後退灯です。赤い灯火と位置が分かれています。後退灯は、尾灯や制動灯とは目的も点灯条件も異なります。2005 – Norway – reversing light slr.jpg — Harry Wad (User:Harrywad) / 出典 / CC BY 2.5

1961年Volkswagen Beetleの後部。ナンバープレートのすぐ上に、小さな番号灯のカバーがあります。プレート自体を照らす灯器は、後退灯とは別に設けられます。写真は灯器の取り付け位置の例です。1961BeetleRear.jpg — Sugarcaddy; contrast enhancement by DarkEvil / 出典 / CC BY 2.5
後部フォグランプ・リヤフォグ
リヤフォグは、ひどい霧で後ろから見つけてもらう赤いライトです。尾灯より強いので、晴れた後も点け続けると、後続車の妨げになります。
前のフォグとは、向き、目的、色の基準も違います。スイッチと表示を確認し、必要な場面で使います。

Ford Focus Mk Iの後部バンパーに付くリヤフォグ。写真の下側にある赤いレンズの灯器が後部霧灯です。部品の形と配置を示す写真で、点灯時の明るさを示すものではありません。Rear fog light of Ford Focus Mk I.jpg — Frettie / 出典 / CC BY 3.0
室内灯は、車内や乗り降りの足元を照らす

Citroën C3の室内灯。天井から客室を照らします。点灯スイッチとドア連動の条件は、その車の説明書で確認します。Dome light Citroen C3.jpg — Lionel Allorge / 出典 / CC BY-SA 3.0
ルームランプは車内、マップランプは手元を照らします。カーテシーはドアなどに連動し、足元を照らしたり、開いたドアを知らせたりします。荷室や化粧鏡のライトもあります。
自動で消えるかは車によって違います。消し忘れや半ドアで電池が減る場合もあるので、駐車したら、いらない灯が残らないか確認します。
ボルトくん
ドアを閉めたら、室内灯は必ず消えるの?
ハグルマ先生
手で点けたままになる、自動消灯しない車もありますよ。駐車後に確かめ、電池を使い切らないようにしましょう。
暗い・点かないときは、電球以外も確認する
暗さは、電球だけでなく、レンズの汚れと劣化、光の向き、配線と電源でも起きます。安全に止めて、点灯、汚れ、左右の違いを確認します。
交換できる電球は、電圧、定格、口金、用途が合うものを選びます。一体LEDは電球だけ替えられない場合があり、HIDは高電圧も使います。販売店へ依頼する指定の部分は、分解せず頼みます。
LEDなどへ替えるなら、車種への適合と、付けた後の光の向きと配り方を確認します。点くかだけでなく、道を照らし、周りへまぶしさを出していないかも大切です。
ボルトくん
暗ければ、もっと明るい電球にすれば直るの?
ハグルマ先生
レンズ、光軸、電源も候補ですよ。替える前に安全に止まり、点き方と左右の差を見ましょう。
場所、光る方法、知らせる役割を分けて見る
ヘッドライトは装置の名前、LEDは光源の方式、ローは照らし方です。同じライトの話でも、どこを分けるかが違います。
後ろのコンビネーションランプも、一つの箱に尾灯、制動灯、ウインカーなどが入ります。箱一つで仕事一つ、とは限りません。停車中に、どの操作でどこが光るかを見ます。
交換も、口金が付くだけでは足りません。その灯器の光源と配光に合う必要があります。点いたから、照らす範囲と後ろからの見え方も同じとは判断できません。
ボルトくん
LEDとロービームは、同じライトの種類なの?
ハグルマ先生
LEDは何で光るか、ローはどこを照らすかですよ。場所、光源、役割を分けると分かりやすいです。
よくある疑問
AUTO表示があれば自動ハイビームも付く?
AUTOの点灯と、自動ハイビームは別です。実際の装備と条件を確認します。
前のDRLが点けば夜も十分?
DRLは前照灯の代わりではなく、尾灯が点く保証もありません。夜とトンネルでは、必要な灯火を確認します。
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