雨の日、左右に働き続けるワイパー。スイッチを切ると、途中でへそを曲げて居座ることもなく、ちゃんと下へ戻っていきます。なぜ「OFFにされた場所」で止まらないのでしょうか?今回は、ワイパーが動く仕組みと、帰る場所を知っている理由を見ていきます。
アイキャッチ:フロントガラスとワイパーの実物例。車によって、駆動方式や停止位置の制御は異なります。
Nick de Partee nickdepartee / 出典 / CC0(一部加工)
ゴムを動かす力は、ガラスの下にあるモーターから

Jacek Rużyczka / 出典 / CC BY-SA 4.0
ガラスに触れて水を払うゴムなどの部分をブレード、それを支える細長い部分をアームと呼びます。アームはばねの力などでブレードをガラスへ押し付けています。力の入っていないほうきでは、水をうまく払えないのと同じですね。
一般的な構成では、ボンネットの後ろ側など、フロントガラスの下に電動モーターがあります。電気でモーターを回し、その力を棒や支点を組み合わせた「リンク」に渡します。デンソーも、モーター・リンク・アーム・ブレードの組み合わせを説明しています。[1]
モーターが自分でガラスまで出張して拭くわけではありません。見えているアームへ、隠れた部品を通して動きを届けています。ただし左右を別々のモーターで動かすなど、別の構成もあります。
ぐるぐる回る動きを、左右の往復へ変える

Kemmi / 出典 / CC BY-SA 3.0
モーターは回転する装置です。一方、ワイパーのアームは、ガラスの上を行ったり来たりします。この違う動きをつなぐのが、リンクの役割です。
代表的な仕組みでは、モーターで小さな腕のような部品を回します。そこへつながる棒の位置が、回転に合わせて押されたり引かれたりし、ワイパーの軸を左右へ揺り動かします。自転車のペダルのような回転から、棒の往復を取り出すイメージです。
二本のワイパーを一つのモーターとリンクで動かす構成なら、棒の組み合わせが左右のタイミングも決めます。モーターが必ず毎回逆回転するから往復する、というわけではありません。反転制御を使う方式もあるので、写真のリンク式をすべての車の内部構造だとは考えないでください。
OFFは「その場で停止」ではなく、定位置まで戻る合図

Mkamara9540 / 出典 / CC BY-SA 4.0
運転者がスイッチをOFFにしても、一般的なワイパーは、すぐに電気を完全に断つわけではありません。ガラスの下側など、決められた停止位置へ戻るまで動かす仕組みがあります。この位置をパーク位置と呼びます。
従来からある方式では、モーター内部の歯車などと連動する接点が、戻る位置を知らせたり、電気を流す経路を切り替えたりします。制御装置が信号を受けてモーターを止める構成もあります。Linkのワイパー制御資料でも、繰り返し同じ位置へ戻すためのパークスイッチを説明しています。[2]
つまり、OFFは「もう拭き続けなくていい」という指示であって、「今この瞬間、どこにいても停止せよ」とは限らないんです。ただし電源そのものが切れたときや異常時などに、途中で止まる場合はあります。
途中で止まる・変な位置へ戻るときは

Jacek Rużyczka / 出典 / CC BY-SA 4.0
OFFにするたび途中で止まる、戻る位置が以前と違う、片側だけ動かない。こうした症状には、停止位置の検出や電気系統、モーター、リンク、取り付け部など、複数の原因が考えられます。「ゴムを替えれば直る」とは限りません。
凍り付いたワイパーや、雪で動けないワイパーを無理に作動させるのは避けます。止まったアームを力で押して、位置を直そうとするのもやめましょう。動けない状態でモーターへ負担がかかったり、部品を傷めたりするおそれがあります。
雨で視界を確保できないときは、安全な場所へ停めて点検や救援を相談します。交換のためにワイパーを立てる方法も車種で違い、「サービス位置」へ動かす操作が必要な車があります。自分の車の取扱説明書で確認してください。[3] ガラスの内側が曇っている場合は、ワイパーでは取れません。窓の曇り取りとA/Cの使い方を確認しましょう。




