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車の擦り傷は磨けば直る?塗装の層・研磨・タッチアップの違い

駐車場で撮影された車のフェンダーの損傷
駐車場で撮影された車のフェンダーの損傷。Car damage on fender observed in a parking lot.jpg — Shixart1985 / 出典 / CC BY 2.0。

車に擦り傷を見つけたら、「磨けば消えるかも」と期待したくなります。でも、傷の深さを考えずに磨くと、消えていくのは傷ではなく残っていた塗装です。

今回は、塗装の層と傷の深さの関係から、研磨で目立たなくできる傷と、タッチアップなどで塗料を補う傷の違いをやさしく解説します。

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塗装の傷は、どの層まで達したかで対処が変わる

車の側面に線状の傷が付いた実例です。写真だけから傷の深さや研磨の可否を確定することはできません。
ドアの塗装に線状の傷が付いた例
車の側面に線状の傷が付いた実例です。写真だけから傷の深さや研磨の可否を確定することはできません。KeyedPaintOnCar.JPG — Athol Mullen / 出典 / CC BY-SA 4.0。表示用に縮小・WebP変換。

車の塗装は、一枚の色の付いた膜だけではありません。一般的な塗装では、下地や色の層、その上を守る透明な層(クリヤー)などが重なっています。擦り傷は、そのどこまで届いたかによって、できる補修が変わります。

研磨は、表面を少し削って整える作業です。何かを塗って、元の塗装を生やし直す魔法ではありません。表面の浅い傷と、色の層や下地まで届いた傷では、同じように磨くだけで済まないんですね。

日本ペイントの電着塗装解説も、複数の層で見た目、天候への強さ、さび防止を受け持つ構成を紹介しています。細い線にしか見えなくても、どの層まで傷が届いたかで、できる直し方が変わります。

ボルトくん

磨けば磨くほど、きれいになるんじゃないの?

ハグルマ先生

削れる塗装には限りがあります。傷を消そうとして削りすぎれば、かえって補修が大きくなることもあるんですよ。

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表面に付いたものと、塗装が削れた傷を見分ける

1. 塗装の上に付いた汚れや相手の塗料

白い線が付いていても、必ず自分の塗装が白く削れたとは限りません。相手の塗料などが表面に付いただけの場合もあります。いきなり磨く前に、水で砂やほこりを流し、車に合う方法で汚れを落としましょう。そのうえで明るい場所で見ると、付着物なのか、塗装が削れた傷なのかを確かめやすくなります。

「すぐ落としたい」と強い溶剤や粗い研磨剤を使うのは避けましょう。自分の塗装やコーティングまで傷めることがあります。

2. 表面の浅い擦り傷

洗車でできた細い線や、光の角度で目立つ浅い傷は、クリヤーの中に収まっていれば、磨いて改善できる場合があります。ただし、クリヤー内なら全部消せるとは限りません。残った厚さや、以前の補修も確認する必要があります。

3. 色の層が欠けている傷

色がなくなり、下の層が見える傷は、コンパウンドでは色が戻りません。小さい範囲なら、合うタッチアップ塗料で目立ちにくくできる場合があります。ただ、色、艶、段差を完全にそろえるのには限界があります。

4. 下の素材が見える傷や、へこみのある傷

補修作業中のドアの実物。傷の深さや、内部の補強部品の損傷まで写真から判断しません。
塗装面と外板を分けて見る
補修作業中のドアの実物。傷の深さや、内部の補強部品の損傷まで写真から判断しません。Silver car door shows signs of wear and tear during restoration work in an auto shop.jpg — Shixart1985 / 出典 / CC BY 2.0

金属が見えていれば、腐食への対処が必要です。鋼板はさびが広がるおそれがあるので、放置せず相談します。樹脂のバンパーには同じ赤さびは出ませんが、割れ、変形、取り付け部分の傷みも確認します。

爪に引っかかるか、水で濡らすと見えにくいかだけでは、正確な深さは決められません。強くこすったり削ったりせず、分からなければ磨く前に相談しましょう。

傷の深さと作業を分ける目安
見えている状態 候補となる作業 注意
表面に付着したもの 適合する洗浄で状態を確認 溶剤や強い研磨で塗装を傷めない
表面の浅い傷 状態に応じた研磨 削れる厚さには限りがある
色の欠け・下地の露出 補修塗装などの相談 研磨で失われた塗膜を戻すことはできない

ボルトくん

白い線があったら、塗装が削れてるの?

ハグルマ先生

相手の塗料が上に付いているだけかもしれませんよ。砂やほこりを流して適切に洗い、強くこすらず状態を見ましょう。

ボルトくん

爪に引っかからなかったら、磨いても平気なの?

ハグルマ先生

それだけでは、傷の深さや残った厚さは分からないんです。判断が難しければ、磨く前に補修店へ聞いてくださいね。

コンパウンドは、塗膜を少し削って表面を整える

塗装工場で研磨する実作業。機械や研磨剤を自己流で使う手順ではなく、周囲の塗膜も削る作業の例です。
塗装後の研磨作業
塗装工場で研磨する実作業。機械や研磨剤を自己流で使う手順ではなく、周囲の塗膜も削る作業の例です。Polishing of car after spraying 01.jpg — Wun-nam Rahimatu / 出典 / CC BY-SA 4.0

浅い傷が磨くと目立ちにくくなるのは、周りを少し削って、高さの差と光の反射を整えるためです。消しゴムのように、傷だけが消えて元の厚さへ戻るわけではありません。

コンパウンドは、周りの表面を少し削って、凹凸をならすものです。「消えるまで磨くぞ!」と続けると、艶がまだらになったり、下の色の層が出たりするおそれがあります。ソフト99のコンパウンド注意事項も、磨きすぎと、使えない材料や仕上げを注意しています。

使うなら、塗装に合うかと製品の手順を確認し、きれいな道具で、小さな範囲を少しずつ見ながら行います。直射日光や熱いボディでの作業は避けてください。変わらないからと力を強くしたり、長く続けたりせず、白っぽさや艶の変化が出たら中断します。

コーティング車は、研磨でその被膜も変わる可能性があります。施工店に、保証と補修方法、磨いた後に再施工が必要かも確認しましょう。

ボルトくん

傷が消えるまで磨いたら、きれいになるんじゃないの?

ハグルマ先生

削りすぎると、塗装を傷めるんですよ。よくならないからと強く続けず、白っぽくなったり艶が変わったりしたら止めてくださいね。

タッチアップは、小さく欠けた塗装を補う選択肢

タッチアップは、飛び石などで小さく欠けた場所へ、塗料を足す方法です。色番号を確認し、素材と塗装に合う製品を選びます。ただ、同じ色番号でも、実車の色あせや塗り方で見え方が違います。塗った場所の色や艶、段差が残ることはあります。

洗う、乾かす、必要な下地処理をする、重ねて塗るまでの時間を守る。こうした手順は製品表示に従います。違う塗料やクリヤーを勝手に組み合わせないでください。ソフト99の塗料に関するQ&Aも、組み合わせによってうまく膜ができない場合があると説明しています。

さび、広い剥がれ、深いえぐれ、へこみがあるなら、塗り足す前に板金塗装工場へ相談します。作業するときは、換気、火気への注意、皮膚と目の保護を守り、子どもや動物を近づけないようにしてください。

ボルトくん

色番号が同じだったら、塗った場所も分からなくなるの?

ハグルマ先生

色あせや塗り方で、見え方が変わるんです。小さな欠けを目立ちにくくできますが、色や艶まで完全にそろうとは限りませんよ。

マット塗装やフィルムは、通常の研磨をしない

マット塗装は、表面の細かな凹凸で艶を抑えています。磨いたり埋めたりすると、そこだけ艶が出て、傷より目立つこともあります。トヨタのマットクリア塗装の説明も、この質感の変化を注意しています。

普通の艶あり塗装向けのコンパウンドやタッチアップを、そのまま使わないでください。保護フィルムやラッピングの傷も別扱いなので、施工店へ確認します。ガラスやヘッドライトにも、ここで説明する塗装の補修方法は使いません。

ボルトくん

艶消しでも、ちょっとだけなら磨いていいの?

ハグルマ先生

そこだけ艶が出ることがあるんです。普通の艶あり塗装向けの用品をそのまま使わず、メーカーや施工店に確認してくださいね。

修理は、方法と仕上がりの見込みを確認して頼む

修理費は長さだけでなく、深さ、素材、色、へこみ、外す部品、塗る範囲でも変わります。同じ長さだから同じ料金、とは限りません。補修前に全体と接写の写真を撮り、次の点を確認すると比べやすくなります。

  • 研磨、部分補修、部品全体の塗装のどれを想定しているか
  • 色や艶、補修跡がどの程度残る可能性があるか
  • さびや下地、センサー周辺など追加確認が必要な箇所はあるか
  • コーティングの再施工や部品脱着を含んだ見積もりか

へこみもある傷は、塗装の状態によって直し方が変わります。傷を防ぐ工夫は、ドアのへこみを減らすための駐車と乗り降りの工夫も参考にしてください。

ボルトくん

同じ10cmの傷なら、修理代も同じくらいなの?

ハグルマ先生

深さや素材、色、へこみ、塗る範囲で違うんですよ。磨いて済むのか、部分補修か、全体を塗るのか、見積もりで確認しましょう。

研磨で平らにすることと、塗料を補うこと

研磨は表面を削る方法、タッチアップは塗料を足す方法です。傷の深さや仕上げの種類に合うかを確かめ、分からなければ作業前に補修店へ相談しましょう。

よくある疑問

爪が引っかかれば必ず再塗装?

爪の感触だけでは、どの層か、どう直すかは決まりません。素材、塗装の方式、深さと範囲を専門店で確認します。

マット塗装も普通のコンパウンドを使える?

普通に磨くと、質感が変わる場合があります。車と製品の指定を確認し、艶あり塗装の方法をそのまま使わないでください。

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ドアパンチ対策|駐車と乗り降りの5つの注意点/モノコックボディの構造|ピラー・骨格の名称と役割

参考資料

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この記事を書いた人
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ハグルマ先生

メカニズモ編集長

2016年より自動車業界に携わり、輸入車ディーラーや中古車販売店などで実務経験を積む。

自動車専門ウェブメディアの運営にも携わり、業界で培った知識と講師としての経験を活かしながら、車の構造や部品、メンテナンスに関する情報を分かりやすく発信している。

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