ABSとは、アンチロック・ブレーキ・システムの略で、急ブレーキ時などにタイヤがロックするのを防ぐ装置のことです。もう少し詳しく見てみましょう。
そもそもロックとは?ロックするとどうなるの?
タイヤロックとは走行中に急ブレーキをかけると起きる現象のことです。タイヤがロックすると、タイヤが回転せず、ただ路上をスリップするだけの状態になります。この時、制動力もハンドル操作も機能しなくなります。このタイヤロック状態に陥ると、ロックするまで進んできた方向に、スリップしながら進んでいきます。
ABSとは
このタイヤロック状態から抜け出すには、一度ブレーキを緩めてタイヤを回転させるようにして、タイヤロックから抜け出したら、再びブレーキを踏むという操作が必要になります。
しかし、この操作を完璧にこなすのはプロのレーシングドライバーでも不可能でしょう。そこでこの操作を自動で行うのがABSなのです。
ABSの構成と仕組み
ABSは主にABSコントロールユニット、ABSアクチュエーター、各車輪の回転速度を計るセンサーで構成されています。ABSが作動する流れとしては
1.強くブレーキを踏む
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2.センサーがロックしそうなタイヤを検知
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3.アクチェーターが働き、余分な油圧をポンプで吸い上げブレーキを弱める
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4.ブレーキが弱まったタイヤは回転しはじめる
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5.ブレーキのかかっていないタイヤは回転が速くなる
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6.アクチュエーターが働き、ポンプで油圧を送り出してブレーキを強める
といった流れを数ミリ秒という短い時間で2~6までを繰り返し、車両が十分減速するまで行います。
ABSのデメリット
ABS装着車はスピードや路面状況によって、ABS非装着車より制動距離が伸びることがあります。例えば、砂利道や未舗装路、新雪の積もった道路などといったシチュエーションです。このような路面状況では、タイヤの進行方向に砂利や砂、雪が集まって大きな抵抗となり、ABSが付いていない車の方が制動距離が短くなる傾向にあります。それでもABSは車両のコントロールを失うリスクを重く見ていることから、現代の車のほとんどに採用されています。
ABSの歴史と現在
ABSは1936年に、ドイツにある「ロバートボッシュ社」が鉄道用に開発したのが始まりです。自動車では1969年に、フォードのコンチネンタルマーク3が初めてのABSを搭載。日本で1982年に日産のプレジデントで初めて採用されました。現在では2014年11月以降の新型車、および2017年2月には継続生産車へのABS装着が義務づけられています。